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世間一般に広く公表されているにも関わらず、実際に読む人が殆どいない印刷物の一つに、「ボロ株の財務諸表」を挙げたいと思います。
その心は・・・ 「賢明な投資家は四季報の段階で却下するし、ボロ株マニアはそもそも財務諸表など見ないで資金を投入する。まともに見るのは監査法人の担当者のみ。」 したがって、「ボロ株の財務諸表を見る効用はあるのか?」という話になると、「大抵は時間の無駄になるが、一度は見てみると勉強になるのではないか」というのが私の主張です。 もちろん、「お宝を発見する」に至る可能性は殆どないのですが、少なくとも「失敗する企業の事例」を格安で学べるとは思います。 起業セミナーなどにおいても、優秀な講師達は口を揃えるように「成功例からではなく失敗例から多くのことを学べる」と言います。単純に上場企業のボロ株と比較することは出来ないかもしれませんが、「事業の失敗」という点においては共通しています。 そして、時間の無駄ということさえ気にならなければ読み物として面白いです。突っ込みどころ満載って感じで。(笑) その魅力(?)の全てをここで列挙することは不可能ですが、簡単に紹介したいと思います。(特徴だけを簡単に列挙していきます。) (1)貸借対照表 *キャッシュが殆どない *ソフト資産の割合が高い(繰延資産) *不良債権化しそうな資産が堂々と計上されている(売掛金・棚卸資産) *無形固定資産で資産額を水増ししている(償却した途端に債務超過になったりする) *価値のない子会社株の評価が高い *借入金が多い (2)損益計算書 *売上総利益がマイナス(さすがに、これは稀) *営業利益がプラスに転じる兆候がない *「当期純利益」と「配当金+株主資本変化幅」がやたらと乖離している(ダーティー・サープラス) (3)キャッシュフロー計算書 *恒常的に営業キャッシュフローのマイナスである(もしくは当期純利益と比較して大幅に低い水準で推移している) *売掛金と棚卸資産の増加が特に目立つ *場当たり的な資金調達が目立つ(財務キャッシュフロー) (4)注記 *突っ込みどころが満載で、ここでは網羅できません (5)大株主・役員の状況 *前の期の決算と比較して異動が激しい (6)監査報告書 *「ゴーイング・コンサーン(企業の継続性)に問題がある」という指摘(一度見てみるべし!) (7)社長のコメント どうでもいい 財務諸表を読むための特段の専門知識がなくても(私もそうです)、「事業がうまくいってなくてヒーヒー言ってるんだろうな」ということだけは感じ取れるかと思います。 ボロ株マニアの方も資金を投じている企業の財務諸表を読んでみることをおススメします。「自分はこんな会社に資金を託しているのか!」と愕然とするでしょう。(まあ、確信犯的な部分があるので、そんなの気にしないかも知れませんが。) ボロ株の財務諸表を読んでいると、バリュー投資家が保有している銘柄など格段にまともに見えてきます。(実際、まともだと思いますが。) 「株主資本比率が60%以上でないと投資できない」とか「無借金でないと安全じゃない」とか、そんな「保守的な固定観念」がちっぽけなことに思えてきます。 いや、もちろん重要ですよ。賢明な投資をするために「財務の健全性」に関する自分なりの基準を持つことは。 今日の言葉: 「ボロ株の財務諸表は事業がうまくいっていない歴史が刻み込まれた『反面教師』のテキストである。」 P.S. ボロ株の財務諸表を積極的に見る人たちという意味で「帝国データバンク」という存在を忘れていました。倒産の事例を研究する人たちにとっては欠かせない存在ですね。 事業がボロなんだから経費削減の一環として、有価証券報告書は「監査法人」「帝国データバンク」「証券取引所」の3ヶ所にだけ印刷すればいいのではないかと思うのは私だけでしょうか?どうせ誰も見ないんだから・・・。 いや、これは冗談ですが・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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