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2006.04.19
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カテゴリ:米国株式の魅力
これまで私の運用方針である「良いビジネスを安く買う」の「良いビジネス」の部分を簡単に説明してきましたが、今回からは「安く買う」の部分についてご説明したいと思います。「良いビジネス」は定性的な要素が大きいのに対し、「安く買う」は定量的な部分です。そこでまず、簡単な株価評価モデルをお示しする事によって「安く買う」とはどのような事かをお示ししたいと思います。

株価評価モデルには様々な物がありますが、その中でもディスカウント・キャッシュフロー(DCF)というのが、一般にアナリスト等に用いられるモデルです。これは株主として将来に渡って得られるであろうキャッシュフローを現在価値に引き直した合計額が現在の株価、という考えに基づいたものです。モデル自体は大変優れたもので、異論の余地は殆どありません。ただ欠点はモデルに数値をインプットする上で非常に多くの予想値を入れなければならず、出力される株価自体が多くの予想値によって成り立っているため、結局自信を持てなくなってしまうという点です。

一方で最も単純に割高・割安を測る指標として株価収益率(PER)というものがあります。モデルはできるだけ単純な方が良いのですが、これでは単純すぎるので、株価評価に絶対に欠かせない3つの要素をこのモデルに加えたいと思います。

第一に国債の利回りです。何故国債かと言えば、国債というのは満期まで保有すれば利払いも元本も保証されており、確実に受け取る事ができる証券であるからです。ここでは便宜上、株価収益率の逆数である益利回りを取ってみます。例えば一株利益50円で、1000円で取引されている株の株価収益率は20倍(1000÷50)、益利回りは5%(50÷1000)です。市場金利が2%であるか10%であるかによって、この株が割高であるか割安であるかの判断は変わるでしょう。他の条件が一定であれば、国債の利回りが2%の時に5%の益利回りが出る株式は有利ですが、国債の利回りが10%の時に益利回り5%と言われても、それほど魅力的ではないと思います。即ち、同じ益利回り5%でも、その時の国債の利回りがいくらかによって株式の価値は大きく変わるはずです。

第二に利益成長率です。現在の利益が50円でも、5年後の一株利益が100円になる株と、5年後も同じ50円の株では価値が違って当たり前です。実は、この利益成長率の部分がこれまでご説明してきた「良いビジネス」の部分なのです。ただ申し上げてきた通り、ここで注意しなければならないのは、必ずしも高成長=良いビジネスという訳ではない事です。例えば来年利益が100%増加しても、再来年利益が50%減少した場合、2年間の利益成長率はゼロです(50円→100円→50円)。それよりも、少しずつでも良いから着実な利益成長率を見込めるビジネスが、良いビジネスだという事です。

第三にリスクプレミアムです。これがこれからご説明しようとしている「安く買う」の部分です。簡単に言えばこういう事です。株式投資というのは国債を満期まで保有した場合と比べて、元本保証がない、国債で利子に当たる利益は毎期大きく変動する、などのリスクがあります。こんなにリスクがある証券に投資するのに、元本保証のある国債と同じ利回り(リターン)だったら投資する意味がない。国債の利回りが2%だったら、株式からは7%のリターンは欲しい、と考えたとします。この2%と7%の差、即ち5%がリスクプレミアムです(リスクプレミアムに関してはまた詳しくご説します)。

次回、これら3要素を入れたシンプルな株価評価モデルをお示ししたいと思います。





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最終更新日  2006.04.21 18:51:54
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