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今日のまとめ
1.ロシア株式市場は下落幅の約半分を取り戻した 2.株式市場の好調は原油高に負う部分が大きい 3.その一方で経済指標はまちまちである 急速に戻すロシア株式市場ロシアの株式市場が急速に戻しています。RTS指数は1月23日に492.59のザラバ安値を記録し、去年5月の高値から約80%もの下落となりました。しかしその後は急速に戻しており、下落幅のほぼ半分を取り返しています。 原油高に連動するロシアの株式市場ロシア株式市場が戻している理由として原油価格の堅調が挙げられます。天然ガス、石油、石炭などのエネルギーはロシアの輸出の65%程度を占めています。また原油の輸出だけでロシア政府の国家予算の40%が賄われています。天然ガスの輸出価格はブレント石油価格に準じて決定されることから原油価格の動向はロシアにとって極めて重要なのです。今年に入ってからの原油価格の反発で石油会社のキャッシュフローは改善しました。また国庫の歳入見通しが安定したことはルーブルの売り崩しを狙う投機筋が売りを仕掛けにくくなったことを意味します。 政策面での進歩こうしたラッキーな要因に加えて、ロシア政府の努力に関しても言及しないわけにはゆきません。ロシアでは地下資源を掘り出した際とそれを輸出した際の二度、税金がかけられます。原油価格の上昇に応じて課税率が高くなる仕組みになっており、これが石油会社にとって大きな負担になっていました。しかしプーチン首相は東シベリア地方の石油開発を促進するために同地域から採れる石油については輸出税を無税にするという特例措置を発表しました。これにより東シベリアでは新しいプロジェクトが始動しています。 長期的に見た天然ガス・セクターのリスクさて、欧州はロシアの天然ガス輸出の大事なお客さんですが、最近、チョッと不安にさせる展開があります。それは欧州の石油会社がシェール(頁岩)とよばれる泥板岩層から天然ガスを採取する手法を利用してドイツやフランスでの天然ガスの探索・生産に乗り出す計画があることです。 この手法はアメリカのくたびれた天然ガス田で援用され、ここ数年、素晴らしい成果を上げています。アメリカで培ったノウハウを欧州大陸での天然ガス開発に使おうというわけです。 もちろん、これらのプロジェクトは極めて実現可能性が低い、スペキュラティブな案件です。しかし若しドイツやフランスでこうした試みが成功すればロシア産の天然ガスにライバルが登場することになります。 マクロ経済の状況はまちまち原油高の恩恵を受けてロシアの外貨準備はまた増加に転じています。 しかし良いことばかりではありません。下のグラフのようにロシアの鉱工業生産の戻りは鈍いです。 加えて小売売上高指数も低迷したままです。 ロシアの政策金利であるリファイナンシング・レートもまだ引き下げられています。 ロシアの場合、今年の初めまではルーブルの防戦に忙しかったので、金融は極端に引き締められたままでした。このため他のBRICs諸国に比べると中央銀行の金利政策は後手に回っている観が否めません。実際、BRICs諸国の中で今でも利下げ局面にあるのはロシアだけです。 原油価格は6月以降、少し上値が重かったのですが、10月に入ってから一段高しました。このためロシアの株式市場も引き続き強い展開となっています。しかし上で見たようにロシアの景気回復にはちぐはぐな面も多く、原油価格頼みの、薄氷を踏む状況であることは忘れたくありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年10月26日 15時46分36秒
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