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石坂千穂つれづれ日記

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2005年01月04日
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 12月県議会で、やむなく議員提案で可決した山口村の越県合併を総務省に申請することを、田中知事が午後の記者会見で表明した。

私自身も苦悩の末、住民自治尊重の立場からやむを得ず議員提案という異例の形となった山口村の越県合併が、民主主義のルールに従って総務省に申請されることになり、正直言って、安堵している。

 今回の問題をめぐっては、日本共産党県議団も議員提案の共同提案者、賛同者となったため、売国奴ならぬ「売県奴」と言われたり、「自民党と共産党が一緒になって知事に敵対するとは何事か。」などと批判されたりもして、私たちの立場が一部の人たちに誤解されたことは、大変残念で、悲しいことだった。

 しかし、憲法に保障された「法のもとの平等」からも、たとえ、越県合併であっても、その村の進むべき道は、最終的にはその村の村民自身に決める権利がある、という大原則を私たちは尊重せざるを得ない。山ノ内町は、町長自身は合併推進だったが住民投票の結果、14票差で合併反対が上回り、町長はそれを尊重して、合併協議会から離脱の道を選んだ。最近では野沢温泉村が、住民投票の結果、合併反対多数となり、合併を推進してきた尊村長は、「事実上の不信任」として、村長を辞任することになった。これらの住民の選択を、知事や県議会も当然、尊重しなければならず、県レベルで、それをくつがえしても良いということになれば、市町村には、また、市町村の住民には、自分たちの町や村の運命を決める権利が認められず、結論は県が出すということがまかり通ることになってしまう。

 山口村の村民が、アンケート調査や村長選挙、知事も勧めた投票方式の意向調査(賛成派も反対派もこの方法を同意して行なわれた)など、3度にわたって合併賛成多数という結論を出したことは、「平成の合併」に基本的には反対の立場の私たちにとっては、とても残念なことではあるが、その意味で尊重されなければならない。
 大切な長野県の一部が引き裂かれる思いに居たたまれない気持ちはあっても、島崎藤村や馬籠、信州木曽路、山口村の豊かな自然や文化に断ち切れない思いがあっても、長野県に残ることこそ正義だと、私たちが村民の皆さんに、その思いを押しつけることはできない。

 意向調査にあたっての情報提供が不充分だった、合併に賛成した人たちは、生活の利便性に目を奪われて、山口村の価値に気がついていない、という人たちもいる。
 しかし、そう言う人たちも、私たちも、一体、どれだけ山口村の人たちの本当の思いに寄り添うことができたのだろうか。昭和の合併のとき、知事や県議会の反対で村の意思は無視されて、総理大臣裁定で当時の神坂村が二分された傷跡の、いったいどれほどを私たちは理解し、共有できたのだろうか。
 山口村の村民の皆さんの気持ちは、当事者が一番わかっているはずだ。その村民の皆さんの選択を認めない、という権利は誰にもない。「少数であっても長野県に残りたいという人々を護らなければならない。」という知事の主張も、痛いほどわかるけれど、村民多数の選択を否定したとき、否定された人たちの人生に、誰が責任をおえるのだろうか。

 「越県合併は、県民全体の問題」と言う知事の問題提起、そのための1万人意向調査には、私たちは賛成したが、その意向調査がもし実施されたとしても、その結果が結論ではなく、それは、あくまで、山口村の村民の皆さんの最終判断の参考にしてもらうものだったはず。

 情報提供について言えば、知事が、県として派遣したまちづくり支援室の職員のアドバイスを得て、「財政シュミレーション」や、住民説明会の資料は作られた。意向調査の前も、後も、その情報提供が間違っているという公式な指摘は知事からは一度もなかった。そればかりか、意向調査の結果を受けて、山口村が合併申請を県に正式にあげた4月以降も、知事は、山口村村長や中津川市長に、「困ったことがあったら何でも言ってください。まちづくり支援室の職員がお手伝いします。」と言い続け、現に、県の職員と協議しての合併の事務手続き(600項目以上の)や、合併後を予想しての子ども達の交流などの準備を着々と進めさせてきた。

 2月13日の合併期日に間に合わせるための最終段階の9月県議会の直前になって、反対を表明したり、議案提出を見送るくらいなら、ここまではしごをかけてはずすようなやり方で、山口村からの合併申請をもてあそぶようなことを、なぜ、やったのか、と、私は知事の道義的な責任を痛感せざるを得なかった。
 山口村の村民の皆さんに、長野県に残ってもらう、長野県を選択してもらうためには、少なくとも、4月の申請直後に、「もう一度、考え直してほしい。」と、知事自身が、村民の皆さんに直接呼びかけるべきだったのではないだろうか。

 記者会見の中で、知事は、この越県合併を認めてしまうと、道州制につながりかねず、「長野県が溶けて流れてしまう。」と、従来の主張を繰り返した。
 また、県議会に対し、「仮に山口村に続いて今後、他の県内自治体から『越県』合併の申請がなされた場合にも、今回と同様の議決を下さねば、整合性に欠けるであろうからです。県庁所在地から遠く離れた山口村だけの特例とするのでは、憐憫という名の無関心が斎した議決だと、歴史の厳しい審判を受けるでありましょう。」と述べている。

 そんなことはあってほしくはないが、仮に、今後他の県内の自治体から「越県」合併の申請がされれば、それが住民多数の意志であるならば、残念ながら、私たちは認めざるを得ないことは明確である。山口村が、県庁から遠く離れた村だから、越県合併しても良い、などと考えたことは一度もない。知事が、何を根拠に繰り返し、そのことにふれるのかわからないが、そんな議論は皆無だった。

 私たちは道州制にも賛成できないが、長野県が「溶けて流れる」か、流れないで踏みとどまれるかは、ひとえに、長野県民の意志の力、住民自治の力を強力に作ることができるかどうかだと思う。
 政府の方針で、たとえ道州制の嵐が吹き荒れようとも、魅力ある長野県作りを県民とともに成功させ、県民自身の意志で長野県を選んでもらえるように、長野県に残り、住み続けたいと願う県民の多数派を作ることに成功できるよう、私たちは努力しなければならないのではないだろうか。

 合併しても、しなくても、小泉内閣のもとでの地方自治体を取り巻く環境はますます厳しさが予想される。
 年末のニュースでは、新年度の地方交付税の総額は、ほぼ今年度並みが確保される見通しとのこと。その「今年度並み」というのは、多くの自治体が、「これでは予算編成ができない」と悲鳴をあげた、かつてない大幅削減の地方交付税だった。しかも、今年度は補助金として確保されていた義務教育費の国庫負担制度の段階的廃止をはじめ、地方への抜本的な財源以上がないままに、各種補助金は次々に廃止されて一般財源化、つまり地方交付税に参入されていくのだから、「今年度並み」の交付税というのは、実はすざまじい交付税の削減なのだと言える。

 地方自治体が、住民の福祉向上という、憲法にうたわれた地方自治の役割を果たすためには、今年はまさに正念場になると言えるのかもしれない。県民の願いの届く県政をめざして、いっそう、がんばらなければならないと思う。





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最終更新日  2005年01月11日 01時26分45秒


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