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2006.03.01
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カテゴリ:米国株式の魅力
前号でご紹介した私の投資方針、「良いビジネスを安く買う」についてさらに詳しく見ていきたいと思います。

恐らく多くの方が、「何故『良いビジネス』であって『良い株』ではないのか」という疑問を持たれたかと思います。例えばビジネスは不調でも、投資家の期待や夢、イメージなどで上昇していれば「良い株」と受け止められるかもしれません。またデイトレーダーにとっては値動きの大きい株の方が利鞘を稼ぐチャンスが多い訳ですから「良い株」となるのかもしれません。もちろんそのような株の取引にも利益を上げるチャンスはある訳ですが、これでは投資というよりも、投機に近くなってしまいます。中長期的に利益を上げようと思えば、ビジネスに投資する姿勢でなければならないと考えています。

ここで言うビジネスと株の違いは以下の例でご理解いただけると思います。株式時価総額1億円で借入金ゼロ、年間500万円の利益を上げる会社Aがあったとします。株価収益率は1億円÷500万円で20倍です。次に、株式時価総額が2000万円、借金が8000万円(金利2.5%=年間200万円)で年間300万円の利益を上げる会社Bがあったとします。会社Bの株価収益率は2000万円÷300万円で6.7倍となります。

この2社を比べた場合、株価収益率だけを比べれば会社Aが20倍で会社Bが6.7倍ですから、株式は会社Bの方が割安に見えます。しかしどちらの株がリスクが高いかと言えば、借金をしているBの方です。会社Bの業績がいくら悪くなっても、この会社にお金を貸している債権者は株主に優先して支払いを受ける権利があります。また借入金利が6%に上昇するような事になれば債権者は6%受け取る事ができますが、会社の利益は吹き飛んでしまいます。一方、2社とも資本(自己資本である株式と他己資本である借入金の合計)を1億円使って利払い前利益500万円を上げている事には変わりありません。即ち、会社Bの株式は割安に見えますが、それは単に、会社Aよりも高いリスクを覚悟している事に対する代償に過ぎないという事になります。

借入れによって株式を割安にできるなら、会社がやらなくても投資家がやればいいのです。例えば、銀行から8000万円借りてきて、自己資金2000万円と併せて会社Aを買収すれば会社Bと同じ状態になります(借入金利は同じ、1億円で買収できるという前提)。もっと言えば80万円借りてきて100万円分の会社Aの株式を購入しても同じ事です。即ちビジネスの価値は、資金の調達方法によって変わるものではないという事です。これはノーベル賞学者であるフランコ・モジリアニ教授とマートン・ミラー教授が提唱した「モジリアニ・ミラーの命題」と呼ばれています。

「良い株」と言った場合、会社Aよりも会社Bの株式の方が株価収益率が低い訳ですから、良い株に見えてしまうかもしれません。しかし実は、会社Bの低い株価収益率は多額の借入金の結果もたらされた架空の姿で、景気が良くない時などには思いがけないリスクを負う事になる可能性を孕んでいるのです。短期的な投機ならまだしも、中長期的に良いパフォーマンスを上げようと思えば、そのようなリスクは極力避けていかなければなりません。私が「良い株」ではなく、「良いビジネス」を追求する意味をお分かりいただけると思います。


堀古 英司
Horiko Capital Management LLC





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最終更新日  2006.03.03 11:30:30
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