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ちょっと本を作っています

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Nov 14, 2004
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カテゴリ:本を作る
先ず、本を売るための一般的なお話です


本の販売ルートに乗せよう


どのようにして本屋さんに本が並ぶのか


出版社で作られた本は出版物の卸問屋である「出版取次」に持ち込まれます。

出版取次へ持ち込まれた本は、全国の本屋さんへ配送されて店頭に並びます。


従来は、この出版社から出版取次を経由して本屋さんに並べる方法が一般的でした。

この方法を、出版業界では「正常ルート」と呼んでいます。

ほかには通信販売の「通販ルート」、割賦販売などの「直販ルート」があります。


ネットショップも「正常ルート」の延長

最近急速に普及した販路にアマゾンや楽天ブックスなどのネットショップがあります。

これは一見、従来の「通販ルート」に似ていますが、ほとんどの商品は出版取次経由です。


出版社から読者へ直接本を届ける従来の通販ルートとは本質的に異なります。

どちらかと言うと、本屋さんがアマゾンや楽天ブックスに変わっただけの話です。


従来の正常ルートにネットショップが加わり、これが今の主流と言えるでしょう。

どちらも「出版取次」経由であることに注目しておく必要があります。


効率を考えるとやはり出版取次利用

この出版取次、「トーハン」「日販」の2大大手の寡占化が進んでいます。

統計の取り方にもよりますが、私はこの2社で市場の7割を占めていると見ています。


今、この「出版取次」と「書店」は多くの問題点を抱えています。

ここで現況と問題点を紹介すると長くなりますので、その紹介は後日に稿を改めます。


今日は、出来上がった本がどのように出版取次に納められるかまでの紹介です。

「多品種少量生産」。これが出版物の特徴です。


たとえ数千部、数万部の本であっても、他の商品と比べれば少量です。

毎日のように数百点もの新刊が発行されます。


さらには数十万点にも及ぶ既刊本のバックオーダーもあります。

これだけの多品種の商品を捌き続けるのですから、それなりのシステムの流れも必要です。


一般的な新刊の流れ

先ずは新刊の流れを見て下さい。

新刊が出来ると、出版社は新刊の見本を出版取次に届けます。


その場で全国の本屋さんへ何冊ぐらい配本するかの交渉となります。

このときに、出版社のほうは当然、出来るだけ多くの本を書店に並べようとします。


出版取次は返品率を上げたくないものですから、極力小部数に押さえようとします。

著名な著者の本や話題を呼びそうな本の場合には、この逆もあります。


出版取次はより多くの本を確保したがり、出版社は部数を押さえにかかります。

私の手掛けた本でも大手取次で3万部頼まれて、8千部しか認めなかったこともあります。

当然、地方の本屋さんや小さな本屋さんにはその本は回りません。


出版社と出版取次の取引条件

新しい本が出来るとすぐに、このような出版社と出版取次の攻防戦が始まります。

毎日のように悲喜こもごも出版取次の仕入窓口と呼ばれるところで駆け引きが続きます。


この取引交渉の前提として、出版社と出版取次の取引条件の問題があります。

個々の商品を、定価の何割で出版取次が仕入れるかを「正味」と呼んでいます。


この条件は出版社によってまちまちです。一般的には古い出版社ほど高率です。

それも定価別正味と言って、本の定価によって何段階かに分けている例もあります。


ここ20年くらいの間に出来た新しい出版社だと定価の67%というのが一般的でした。

1000円の本だと670円で仕入れられることになります。


卸値だけでない取引条件

問題はこの「正味」だけではありません。「歩戻し」というものもあります。

主に新刊配本のときに手数料の意味を込めて出版社が負担する経費です。


これもここ20年ぐらいの新しい出版社だと配本する本の定価合計の5%です。

古い出版社だとこの歩戻しを払わなくてもいいところが結構あります。


売上げ清算の時期も出版社によって異なります。

他にも、地方格差是正協力金だとか返品梱包料だとか個々の口座によってさまざまです。


「取次口座」と呼んでいますが、これらの取引条件を包括した口座があります。

よく出版社が売り買いされるのは、この取次口座が付いているからです。


売り買いされる取次口座

幽霊口座の売買と言って、会社の売買によって取次口座を収得する方法です。

以前ですと卸正味68%、歩戻し3%ぐらいだと2000万円程度の値段が付いていました。


当然、条件のいい口座は売買価格も高額です。雑誌の口座が付いていればもっと高額です。

私も数千万円から数億円の口座売買に、幾度もかかわりました。


この取次口座が売買される背景には、新規の口座が取り難いと言うことがあります。

実績のない会社とは出版取次も新規口座を開いてくれません。


結構顔の効く私でも、新規の口座はもらえても、卸正味68%、歩戻し3%が限度です。

ましてコネもなく、実績もない会社では、丁重にお引取り願われるのが実態です。


個人で作った本を書店に並べるには

さて本題です。

自分で作った本を本屋さんに並べたりアマゾンなどネットショップで扱ってもらうかです。


個々の本屋さんに個別に持ち込んでお願いすることも不可能ではありません。

でもその手間たるや大変です。非効率この上ありません。


どうしても出版取次を利用しなければ広範囲に広げることが出来ないのが現状です。

でも、あなたの本が優れた企画であっても、出版取次は口座のない単品商品は扱いません。


だからと言って先に紹介した取次口座を買ったり新規に開設することは無意味です。

自前の取次口座を持った出版社を作ることさえ、今は止めたほうがいいでしょう。

「毎月4点以上の新刊が出せる保証がなければ止めなさい」と私は言っています。


効率的なのは既存の出版社の利用

日々のバックオーダーに対応するための商品管理も大変です。

毎日のように出版取次に納品したり請求書を起こしたり返品を受けたり……。


ほかにも出版取次との交渉や本屋さんからの注文の電話受けなどもあります。

とうてい個人でこなせる範囲の仕事ではありません。


個人では、おのずと既存の出版社に依頼することになります。

取次口座のある出版社から取次店に持ち込んでもらって売る方法です。


「本屋さんに並べます」に踊らされないで

自費出版募集の「出版社」は本を作ることと販売ルートの提供をセットにしています。

「あなたの本を全国の本屋さんに並べてあげますよ」これを謳い文句にしているのです。


確かに1,000冊くらいの本が、200~300軒の本屋さんに配られます。

でもそんなのは毎日配本される本の千分の1にもなりません。


本の洪水に押し流されてお終いです。時には店頭に並べもせずに返品されてしまいます。

それが分かっていながら「本屋さんに並びます」という自費出版業者にも問題があります。


大切なことは、まず売れる本(読んでもらえる本)にするにはどのようにすればいいか。

そして、売るためにはどのように工夫すればいいかです。


協力してくれる出版社はいくらでもある

ただ漫然と出版取次から本屋さんへ配本してもらっても売れるわけがありません。

一緒になって本の売り方を考えてくれる出版社を探すことが第一歩です。


取次口座を持つ出版社は約3,000社もあります。

その中で、自分の本の出版傾向に合った出版社を探せばいいのです。


本屋さんで自分の傾向に合った本を探して直接交渉してもいいでしょう。

選択の方法はそれこそ電話一本で済みますから私に問い合わせて下さっても結構です。


大手から中小まで、私のお付き合いしている出版社だけでも数十社はあります。

いくらでもご紹介は出来ます。


発行元と発売元を分けることも出来る

私は最近になって、自分の持っていた幾つかの出版社を整理しました。

今持っているのは、「発行元」の出版社だけです。


発売元はすべて他社に依頼することにしました。

自分の出したい本だけを作りたい。これが会社整理の出発点でした。


当然、新刊が出るのは不定期です。納得がいかないと発売は延期します。

これは発行元に特化したから出来ることです。


発売元でもあろうとすると無理をしても毎月数点の新刊が必要です。

固定経費のかかる「発行・発売」の両方をやろうとすると事業として不安定です。


発売元を使い分けています

メインの発売元は太陽出版というところを使っています。

でもその時々の企画内容によって他の発売元も使っています。


それぞれの発売元出版社の取次口座の条件、そして出版傾向を考えながら選んでいます。

私の言う個人出版(自費出版)や一人出版社にとってこの方法が一番いいと思っています。


個々の自分が作る本の費用や経費、さらにはリスクまでは自分持ちです。

でも事業を継続するための固定経費は大幅に削減されます。事務所さえ不要になりました。









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Last updated  Nov 24, 2004 01:06:21 AM
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38万円で本ができた


第一章 もっと手軽に自分の本を作れたら


第二章 協力出版と懸賞募集の甘い罠


第三章 自分の本を作りたい理由を考えよう


第四章 本にする原稿をまとめよう


第五章 自分の本を売ってみよう


第六章 安く本を作る方法を考えよう


第七章 物書き稼業と編集者稼業の裏表


第八章 昨今の出版業界のお寒い事情


第九章 いまどきの本屋さんと物流事情


第十章 出版業界こぼれ話


【出版後記】


負けてたまるか


その1


その2


その3


その4


その5


その6


舞台裏からの独白


すぐそこの田舎暮らし


第一章 先住民/黒猫の『タンゴ』


第二章 山里「コンタ」発見


第三章 知らないってことは


第四章 竹の子で仲間を釣り上げる


第五章 森の天使の小さな落し物


第六章 小悪魔『チビクロ』参上


第七章 チビクロ砦とチビクロ王国


第八章 まったくもう、田舎暮しってヤツは


第九章 チビクロ、チビコゲへ変身中


第十章 隠れビーチで日向ぼっこ


第十一章 チビクロ、何処へ行こうか


第十二章 何で、お前まで行ってしまうの


第十三章 ムジナに見送られ、街へ帰る


エピローグ みんなで遊ぼうよ


両国・千夜一夜物語


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後編


はみ出し人生・出版屋稼業


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第二話 ちょっぴり生意気だった理由


第三話 出版企画会議の話


第四話 土木から資格試験へ


第五話 工学書転じて実用書に 


第六話 なぜかスキー書


第七話 退職、そして創業


第八話 行け行けドンドンの始まり


第九話 原稿は役員専用車で届く


第十話 スパイにされちゃった


第十一話 ただ酒、ただ飯、お土産は仕事


第十二話 閃いた


第十三話 出版から映像へ


第十四話 ヒットチャートに載っかった


第十五話 思えば、いろいろやったもんだ


身も心も捧げた女は飽きられる


プロローグ


第一章 身も心も捧げた女は飽きられる


第二章 したたか女はイイ女


第三章 女の勘違い


第四章 私の出会ったイイ女列伝


エピローグ


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第一話 なぜナタマメ茶を作ったのか?


第二話 やっぱり巻き込まれてしまった


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