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カテゴリ:歌舞伎
作家の赤江瀑さんの歌舞伎入門書。
題名に「平成」とある通り、今日における歌舞伎界の話題を取り上げて、 とても読みやすかったです。 この本で興味深かったのが、歌舞伎を巨大な怪獣に例え、「つかみ所のない 得たいの知れないことでは名うての巨大怪物」と表現しているところ。 私も歌舞伎を見続けてきて、その懐に深さにいつも感心させられるとともに 時より、圧倒されることも感じつつあったので、まさに言い当てている言葉だなと 思いました。(その巨大な怪物の手綱を永山会長が握っていたとあり、その功績を 讃えていました。) 歌舞伎って、最初はつかみどころがないんだけど、一旦つかむとどこまで行っても、 出口が見えないとっても深い演劇なんですよ。 だから、面白いし、はまっていくんでしょうが、、。 またこの本では、幸四郎さんと勘三郎さんの違いを精神性と肉体性で捉えたりと 結構鋭く切り込んでいますね。入門書とはいえ、玄人の方にもなるほどと、思わせる だろう章もありました。 最後のほうには、歌舞伎の創造した一番の美点に「女形」を取り上げていました。 この歌舞伎独特の美を、芳沢あやめ、六世歌右衛門、雀右衛門、芝翫、玉三郎と 江戸から現代まで受け継がれるこの芸道についてそれぞれの側面で的確に 解説しているともに、女形の歩む一筋の道へと結んでいます。 全体と読むと、 今の第一線の役者の芸風を一気に捉えることができるとともに、 群雄割拠の今の歌舞伎界の隆盛に対して問題提起をし危機を訴えかけている一冊と いえると思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年07月24日 23時52分17秒
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