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カテゴリ:first kiss ケースケ×ミリ
ベッドに入っても全然眠れなかった。ずっとケースケと、今のドラマの相手役の女優さんがキスするシーンが頭の中に浮かんできて。あんなにきれいな人とキスしたんだ。バカみたいにそればっかり。ケースケがきっともうすぐ隣に入ってくるのに。泣いたりしちゃいけないって、思えば思うほど、涙が溢れてくる。しゃくりあげてしまうほどに。
ケースケが部屋に近づく気配を感じて、私は必死で息をつめる。疲れてるはずのケースケに、これ以上、心配かけられない。せめて、ケースケが寝るまでは、私もちゃんと寝たふりをしなくちゃ。。できるはず。くたくたなケースケは、きっとすぐに眠ってしまうはずだから。 布団にしっかりつかまって、深呼吸する。そして、入ってきたケースケも、しばらくは私を見つめてる気配、、でも、そっと私に触れないように、横になった。あと、少し。・・・あと、少し、、、だったのに、こらえきれずに漏らしてしまったしゃくり声に、ケースケが反応した。そっと伸ばされた優しい手。・・だけど、、、やっぱり、拒絶してしまって。 「ミリ、、愛してる」 いつもどおり、優しくケースケが告げてくれる。ベッドで背中で聞きながら、私はしゃくりあげてしまうのを必死で止めようと手で口を塞いでいた。 ケースケは、静かに部屋を出て行った。ソファで寝るんだ。。。 私は口から手を離し、布団にもぐった。声を殺して泣き続ける。泣き止むことなんてできない。 ・・・どうして、「イヤ」なんて言ってしまったんだろう。 私は、、、、ケースケを傷つけた。 それなのに、あんなに優しく、「愛してる」なんて。 どんな思いで、この部屋を出て行ったの? どんな思いで、1人で眠っているの? ごめんね、、、ごめんなさい、、ケースケ。 私だって愛してる。 思い切り叫びたいくらい。 なのに。 とまらない涙。 とまるはずない。 いつも受け止めてくれるはずのケースケの腕の中に飛び込めないんだから。 涙に溺れながら、私はいつの間にか眠っていた。 ・・・ そして、目が覚めたら、いつもどおり、ケースケは出かけた後だった。ソファにたたまれたブランケット。ダイニングテーブルの上には、ケースケからのメモ。 「おはよ。今日もミリのこと、思いっきり愛してるよ。泣かせてごめん。愛してるしか言えないんだ。ごめんな。ミリ、きっと寝不足だよな?きっと目も腫れてるだろ?せめて、ちゃんと飯食って出かけるんだゾ。行ってくる。今日も多分遅いけど、俺はソファで寝るから、安心して先に眠ってていいよ。 ケースケ」 きっと辛いのに、変わらず、優しいケースケ。気付けば頬を涙が伝っていた。ケースケの優しさに触れて。 でも、今日も遅いと言う言葉に、すれ違う生活に、涙を隠さずに済むと、ほっとしてしまった自分が悲しい。 でも、『ソファで寝るから、安心していいよ』なんて・・。そんなこと言わせてしまってる自分だって悲しい。 頭の中、とってもとっても矛盾を抱えている。 頭が混乱してくる。 心が不安定になってくる。・・・1人で、、いちゃダメだ。 早目に、学校に行こう。 私は、ケースケの言いつけどおり、しっかりと朝食をとってから家を出た。 その夜、本当に遅く帰ってきたケースケは、またベッドで寝たフリをしていた私の顔を、しばらく見つめてから、 「ミリ、愛してるよ、・・・おやすみ」 と囁くようにいって、寝室を出て行った。 私は、その声に、安心して眠ることができた。 翌朝、珍しく、ケースケはまだ眠っていた。本当にまたソファで。ダイニングテーブルの上に、私宛のメモ。 『ミリ、おはよ。今日も愛してるよ。俺、多分、、寝てるよな?今日、俺、11時に出ればいいから、寝かせといて。目覚ましかけてるから、大丈夫だよ。ミリは、今日も学校かな?気をつけて。 ケースケ』 私は、足音を潜めて、そっと、ケースケに近づく。ソファからだらりと下がった手の先には、台本が落ちていた。拾い上げてサイドテーブルに置く。手もこんな状態じゃ、、辛そうだけど、、触れられない。。何度も触ろうとしてみるけれど、でも、できない。 私は、、小さなため息をついて、、ケースケの寝顔を見つめる。 夕べ、、ううん、夕べだけでなく、いつもケースケが私にそうしてくれるように。 ケースケ、私も愛してるよ。 ・・なのに、なんで。。。? ・・ううん、なのに、じゃなくて、、、、だから、なのかな。 どうしても、、ケースケに触れるのが、、辛い。触れられるのが、、辛い。 その日は、特に出かけなきゃいけない予定はなかったけれど、2人分の朝食を作り、1人で静かに食事を済ませると、メモを残して、私は家を出た。 すれ違っていれば、、、顔を合わさなければ、、拒絶してしまって、、ケースケを傷つけることもない。 だけど、こんなのは、、、逃げだよね。自分でも、よく分かってる。 私、、こんな風に、最愛の人を避けて生きていくの? 一体いつまで? 目的もなく歩き始めながら、答えが出ない問いが頭の中をぐるぐると回っていた。 ←1日1クリックいただけると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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