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カテゴリ:first kiss ケースケ×ミリ
14 ~ケースケ~ first kiss
ミリが出て行った音を聞いて、俺は目を開けた。寝転んだままの体勢で、大きくため息をつく。 今日はミリ、自分から、俺のすぐそばに来てくれた。寝顔を見つめてくれた。 でも、俺には触れられずに・・・。そのためらいを、葛藤を、濃厚に感じた。 少しでも、俺に触れてくれたら、すぐに抱きしめようと思っていたけど。 ・・・だけど、いいよ。無関心になられてるわけじゃない。 俺だって、ミリの寝顔を見ながら、葛藤した。 ミリに触れたい。抱き寄せたい。抱きしめたい。 キスしたい、キスだけじゃなくて、もっともっと、いろんなことしたい。 だけど、、やっぱり、ミリの意思に反しては、できなかった。 寝顔だけ見詰め合う俺達。心は、寄り添っているのに。体は、、拒絶、、されてる。 あ~、、、、、、、、まだ、恋人じゃなくて、ただ、添い寝、だった頃と、どっちがマシなんだろう? 。。。考えたって仕方ないよな。。くだらない比較を頭から追い出す。 まだ時間は早かったけれど、俺は思い切り伸びをしてから、起きることにした。 そして、ダイニングテーブルの上に、ミリからのメモ。 『ケースケ、おはよ。毎日お疲れ様。体、、大丈夫?朝食作っておいたから、時間があったら、食べて行ってね。行ってきます。 ミリ。』 俺はミリの用意してくれた朝食をしっかりと食べながら、、、何度もそのメモを読み返す。 愛してる、、は、ないんだよな。。、今の状況なら、、、当たり前、、か。。 いや、てか、こうなる前から、・・・なかったっけ? ・・うん、なかった。 そうだよな、いっつも、いっつも、俺だけが、、愛してるって。 ミリから愛してるなんて言ってもらえたこと、ほんと、ほとんど、ない。。ような。。 キスだって、抱き寄せるのだって、求めるのだって、いつも全部俺から、、で。。 俺が、、俺から、しすぎ、、なのかなあ。。 だって、ミリの顔見るだけで、もう、隙さえあればすぐに、抱きしめてキスしたくなっちゃうからな。。 あ~、だめだっ。頭を振って、妄想を追い出す。 顔見てなくても、思い出すだけで・・じゃないか、と、苦笑する。 ミリの作った朝食。野菜もたっぷりで、うまい。 きっと、俺の体のこと考えてくれてる、ミリの愛情だらけだからだよな。 そう、ミリは、、今も、きっと、俺を愛してるはずなんだ。 こんなに拒絶され続けていても、それだけは、確信できる。 だったら・・・・、俺は思う。 兄貴の死んだ後は、ミリが俺を選んでくれるまで、ただの添い寝で気長に2年も待ったけれど、もしかして、またそんなに?、なんて、思うだけで、ぞっとする。てか、もう、ミリの唇も、吐息も、全部を知ってしまった俺には、ガマンなんて、到底無理な話だよ。 まして、ミリの心は今も俺にあるのに。 体だけの拒絶・・・。 こうなったら、荒療治でいくか。 ミリ、覚悟しとけよ。 と、思いつつ、俺もそれなりに、覚悟を決める。 俺は、食事を終え、いつもどおり片付けながら、 もしかしたら、「危険」かもしれない賭けのことを考えていた。 ××××××××××××××××××××××××××× 15 ~ミリ~ first kiss 私がベッドに入ってから帰ってくるケースケ。そして、目覚める前に出かけるケースケ。 それ以外の日は、私は無理に用事をつくってでかけたりして・・。 寝顔を見つめ合う以外、全く顔を合わせない日々が続いたある夜。 部屋に帰ると、遅く帰るとメモを残していたはずの、ケースケがいた。 ソファに寝転んで台本を読んでいる。寝転んだ首をこちらに向けて、にっこり、 「お帰り」 といわれ、でも、私の方は笑うこともできずに、すごく、ぎこちなく、 「ただいま・・。早かったの、、ね?」 といった。 「ああ、今日は、予定より早く終わったんだ」 前なら、すぐに駆け寄ってきてくれて、抱き寄せてキスをしてくれたけれど。 それは、、今は、ないままで。 ケースケはソファに起き上がるだけで、こちらにはこない。 私は、自分勝手なこと、よく分かってるけど、哀しくなる。 あのベッドでケースケの手を「イヤ」って拒絶した夜以来、ケースケは、もう、私に、手を伸ばそうともしない。 伸ばされても受け入れられないんだから、、一緒なんだけど。。。 そのこと、ケースケもきっとよく分かってるんだろうな。。 結局、すれ違いが続いて、、、というより、私がすれ違いを続けて、、ろくな会話もないままだった。 ただ、顔を合わさず、会話もなく、お互いに触れることもない、生活。。メモとメールをやりとりするだけの日々。 ケースケ、何も言わないけれど、、、もう、このままでいいと思ってるのかな。。 私は、、このままじゃ、、。。 このまま、、いつか、ケースケの心まで離れてしまったら。。。 そんなこと、耐えられるはずがない。 だけど、今だって、ケースケの手も体も、もちろんキスも、 受け入れられるようになったとは思えないから、 私からは、、どうしようも、、なくて。。 だからって、私、、ケースケに、、どうして欲しいのかな。。 ただ、何か、、きっかけが欲しい。 キスシーンのこと、吹っ切るきっかけが。。。 だって、ケースケを失うことなんて、、、できないもん。 ぼんやり考え込んでいたら、ケースケが、すぐそばに来ていた。 「ミリ?」 突然近くに感じて、つい、後ずさる。頭では、また傷つけちゃうから、いけないっ、って思ったけど、体が勝手に。 ケースケは、私の反応を見て、自分も半歩下がった。手を胸の前でこちらに向けて広げて言う。 「ごめん。驚かせちゃった?近づきすぎた?何もする気ないよ。大丈夫だよ。触らないから」 私は、申し訳なくて、俯いたまま、で、何も言えない。 ケースケは、そのまま少し離れた場所から、私をもう一度呼んだ。 「ミリ」 私は、顔を上げた。私を優しく見下ろす微笑んだケースケの瞳。声が、、うまく出ない。ケースケが話し出す。 「ミリ、俺、今夜から、実家で寝るよ」 「・・・・ぇ?」 声になるかならないかのか細い声しかでない。ケースケは、優しく微笑んだまま、 「ミリが、、あんまり辛そうだから・・。だから、しばらく実家に帰るよ。そうしたら、ミリももう、眠れないのに寝たフリしたり、用もないのに、出かけたりしなくて済むだろ?ミリ、もっと、体、休ませなきゃ」 ケースケは、、全部、、分かって。。私が、、、ケースケと顔を合わすのを避けていたこと。。 私は一体、ケースケをどれだけ傷つけてきたんだろう。 余りの申し訳なさに、私は目を閉じた。ケースケは、静かに続ける。 「ミリ、俺、正直、、どうしたらいいか分かんないんだ。今のミリに、、何をしてやればいいのか。・・ただ、ミリを前にすると、バカみたいに、何度も愛してるって言ったり、抱き寄せたり抱きしめたり、キスしたり、ミリにそういうことしたいってしか思いつかないんだ。今だって、そんな不安そうな、泣き出しそうな顔見ると、抱きしめたくて、大丈夫だって、ずっと背中撫ぜてやりたくて。。だけど、ミリがそれを望んでないならできない。、、してやれない。だから、せめて、、、そんな顔させてる原因の、俺自身を、ミリの前から、取り除くよ」 ケースケ、、、。唇が震える。顔から血の気が引いていく。 「ごめん。辛いこと全てから、ミリを守ってやりたいのに。その原因が俺じゃ、、離れてやることしか、、ないんだよな。・・って、こんな言い方じゃ、まるで、別れ話みたいか。・・違うよ?ミリが、、俺のこと、受け入れられるようになったら、すぐに戻るから。」 ケースケの言葉が、耳を流れていく。ケースケは、ふっと笑って、 「・・さっきは、えらそうに、ミリが辛そうだから、なんていったけど。ほんというと、俺も、、辛いんだ。そばにいるのに、触れられないこと」 話しながらケースケは、一歩ずつそっとそっと私に近づいて、そっと私に手を伸ばす。そして、私の髪に、頬に、肩に、触れないように、そっと手をかざして動かす。 体が硬直する私。拒絶ではなく、・・・快感で。 ・・・触れられてもいないのに、どうして、こんなに感じるの? ケースケに、触れられたい。ただ、もう一歩だけ、、前に出ればいいのに。 ・・でも、足は動かない。、、、怖い。また拒絶して、傷つけてしまったら。。。? ケースケは優しい声で続ける。 「もう、、そろそろ、ガマンできそうにないんだ。、、前は、ずっと添い寝だけで、ガマンできてたのにな。あんなの嘘みたいだよ。俺、自分を抑えられなくなるのが怖いんだよ」 ケースケは手を握り締めて、自分の体にそって下におろした。 「隣の部屋で寝てたって、俺の心も、、体も、ミリをずっと求めてる。だから、、、このままだと、ミリに、、無理矢理、、ヤっちゃいそうで。・・だから、ミリ。俺、実家に帰る。もう、これ以上、ミリを苦しめたくないんだ。」 何も答えられない私に、ケースケは、 「愛してるよ、ミリ。俺の気持ちは、絶対に、変わらない。ずっと、ずっと、待ってるから。俺に、、会いたくなったら、いつでも、連絡して。夜中でも、飛んでくるよ。そんな日が、きっと来るって信じてる。・・それだけ、ちゃんと顔を見て言いたかったんだ。」 そう言って、笑って、、、 「じゃ、な。ちゃんと飯、食えよ?」 ケースケは、部屋を、出て行った。 私は、呆然とその場に立ち尽くす。 立ち去ろうとするケースケの大きな背中に飛びつけたら。 しがみついて、行かないでって、大声で泣けたら。 だけどだけど、ケースケの体に触れること。 それがどうしてもできなくて。 でも、やだ。 ケースケ、やだよ。 ケースケのいない部屋で眠るなんて。 一人ぼっちでここにいるなんて。 こんな風に離れ離れになったら、私たち。。 ケースケの気持ちだって、体だって。。 置いてかないで、ケースケ。 体も全部消えてしまって、心だけぽつんと取り残されたような気持ちになる。 気づけば、私は、子供みたいに声をあげて泣いていた。 ひとりぼっちの部屋で。 ←1日1クリックいただけると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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