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カテゴリ:first kiss ケースケ×ミリ
後ろ手にドアを閉め、溜息をつく。ごめん、ミリ。俺だって実家になんて帰りたくないんだ。一瞬だって離れたくない。だけど俺、ミリを早く抱きしめたい。・・だから、だよ?
エントランスを出、実家に向かうため、公園の方に歩き出す。途中、噴水に腰掛ける。心の中で、ヒロトに話しかける。なあ、兄貴、俺、間違ってないよな?大丈夫だよな?ミリと。。 そこで、ケータイが鳴りだす。一瞬ドキッとしたけれど、それはミリからの着信音。 ・・もう?早いな。・・ミリも相当、限界だったんだ。 俺は、微笑んで、でも、急いで電話に出る。 「ミリ?」 沈黙・・。いや、泣いてる?しゃくりあげる音。 「どした?泣いてんの?」 どしたもこしたもないよな?俺が泣かしたんだ。ミリは小さな声で、 「ね。。何もしないから帰ってきて」 そんなこと言うミリが、どうしようもなく可愛く愛しく思える。苦笑し、 「どっちのセリフだよ。すぐ戻るから、待ってろ。な?」 急いで戻りながら思う。ミリからの電話。予想より早かったけど、展開的には予定通り。 ・・でも、まだ、終わりじゃない。 ドアを開けるとすぐそこにミリが座っていた。 「ただいま」 「お、かえり」 見上げる潤んだ目。完全に泣き声、口はへの字になってるし。 「そんなとこ座って、何してんだよ。ほら」 俺は手を差し出す。だけど、ミリは掴まない。しゃがんでミリを見つめながら聞く。 「なあ、ミリ、・・俺、何か変わったか?」 視線を逸らさせないように、しっかり見つめて、もう一度聞く。 「俺、確かに他の人とキスしたよ。だけど、それで何か、変わっちゃったか?」 俺の瞳には、ミリへの変わらない想いが溢れているはずだ。これまで通り、いや、お預けを食った分、きっとこれまで以上に熱く強く。緩く首を振るミリ。 「じゃあ、俺のこと、もう一度、ちゃんと受け入れてくれよ」 ミリは、俺を見つめながら、少し首を振り、顔を歪め、、 「・・ごめん、私、なんで・・?」 俺は微笑む。素直なミリ。いいよ、十分だよ。 「それでも一緒にいて欲しいのか?さっきも言ったけど、襲っちゃうかも知れないぞ?」 「・・ケースケは、そんなこと絶対しないもん」 あ~、先手打ったつもりだったのに、返り討ちにあった気分。読まれてる。確かに絶対しないよ。ミリが嫌がるなら。無理矢理ヤるのも荒療治の1つとしてはいいかも、だけど。ってつい思ってしまってから、その鬼畜な考えを頭から追い出す。 「ったく、一生俺にガマンさせたって当たり前って思ってんだろ」 そう言った俺に文句ありげに、でも、黙って唇を尖らせるミリ。 「わかったよ。実家に帰るのやめる。さ、リビングに行こ」 言葉だけで促して、独り言みたいにぼやく。 「でも、もう、何日目だっけ。これ以上、そばにいてもできなくて、ガマンしきれなかったらどうすっかな。どうせ、ミリが一生触らせても、させてもくれないなら、、どっかで誰かと」 ミリが、後ろで足を止めた。俺は振り返って笑う。 「・・冗談だよ?」 「ひどい~っ」 「ごめんごめん。冗談冗談」 あっさりとだけ謝ってリビングに入る。ミリはまだ、怒ってるみたいだったけど、それ以上何も言わなかった。 ミリがパスタ、俺がサラダを作って、久しぶりの一緒の食卓。ぎこちなかった空気も、食卓では、すっかり日常を取り戻し、自然にほどけていく。楽しそうに話すミリ。(てか、聞けば、またあの新谷と飯食ってたし。今度は、お父さんも一緒だったらしいけど。思っきり面白くねえって顔してやった。オトナゲないな、俺。) ただ、会話を交わすだけで、その笑顔を見るだけで、随分癒される。 食後もいつも通り、俺は、ソファで台本を読み、ミリはパソコン。 俺は、ミリが一緒に眠れないこと気にしないで済む様に、先に寝ることにする。 「俺、もう寝るわ」 そのままソファに横になると、驚いたようにミリが、 「今日も、ここで寝るの?」 そんなこと言われたら俺だって驚く。 「だって、触っちゃダメなんだろ?まだ」 言いながら、ミリの体に手を伸ばすと、やっぱり磁石の反発のように体を捩って逃げてるし。 俺は笑って、リモコンで電気を消し、 「おやすみ」 と言った。ミリはしばらくそこにいたけれど、結局、寝室に行った。 目を閉じ、今夜のやりとりを思い出してみる。・・上出来だろう、多分。 こんな感じで、ミリを少しずつ・・。でも、あんまり不安にさせ過ぎちゃダメだから、さじ加減が難しいよな、なんて考えつつ。。そして、一瞬眠りに誘われた、と思った次の瞬間、ミリの気配をすぐそばに感じ、目を開けた。 いつからそこにいたんだろう。ソファの前に座って、俺を見つめている。 「ミリ・・?」 呼びかけると、薄闇の中、ミリが、 「何もしないから、、私も、ここで眠っていい?」 俺は、また苦笑して、 「何もしないからって、、ミリさ、我慢するのこっちなんだぞ?」 ミリは、泣きそうに顔をゆがめて、 「だって、さみしいんだもん。そばにいたい。床でいいから、ね?」 「そんなことさせられないよ。和室行く?」 ミリは、それには答えず、ポツリと呟く。 「・・本当に、、他の人と、しちゃう?」 そんなに気にしてたんだ。俺は微笑んで、 「しないよ」 「・・本当に?」 縋るような問いかけに、またイヂメ心で。 「多分」 「っ!」 「冗談だよ」 「笑えないっ」 「ごめん。絶対、しないよ」 「・・ケースケ」 「なに?」 「綺麗な人と、・・キスして、心、揺れた?」 「まさか。・・ちゃんと分かってるだろ?」 微かにうなずいたミリ。俺は聞く。 「それでも、体は受け付けてくれないんだ?」 「・・自分でも、分からないの。体が勝手に」 「いいよ。ミリ。ミリが受け入れられないなら、仕方ないよ。だって」 俺はそこで言葉を切る。さ、一気にカタをつけるか。 「?」 「だって、元々、ミリが、俺を欲しがったわけじゃないもんな。俺がミリを欲しくて欲しくて、それでやっと受け入れてくれたんだもんな」 「そんなことっ」 「・・実際、愛してるって言われたこともあんまりないし、キスだってミリからは一度もない。Hだって、したがってくれたことないし」 「それは、、だって、ケースケが・・」 俺は取り合わず、続ける。 「俺は、俺の心も、俺の体も全部を使ってミリを欲しがってきた。求めてきた。そうせずにはいられなかったから。でも、ミリはそうじゃなかった。キスシーンのことがショックなのは分かる。傷つけて悪いと思ってる。だけど、ずっと拒否されて、俺、段々自信がなくなってきた。・・ミリは、俺のこと、愛してないのかなって。ただ、守ってくれる、ミリを望んでくれる相手がいれば誰でもいいのかなって」 「・・なんでそんなこと・」 「なあ、ミリ。俺が、他の女としてもいい?」 「ヤだ」 「そこは即答なんだ。・・じゃあ、俺のこと、欲しい?」 「・・って?」 「心は、今も全部ミリのものだよ。でも、体は、、宙ぶらりんだろ?」 「・・・」 俺は笑って、 「そこは即答じゃないのか。・・ま、いいや。俺は、ミリを愛してるから、他の女を抱いたりはしない。抱けない。だけど、もうミリが、このまま俺の体受け入れてくれないならなら・・」 「?」 俺は最後の追い討ちをかける。 「俺がこの先、キスするのも抱きしめるのももう、ろくに知りもしない女優さん達だけになるな~。あ、そういえば、今、俺の唇、最後の感触はミリじゃなくて、。。・・ッっ」 感触を思い出すフリをしかけた俺に、突然、ミリは、思いっきり抱きついて、キスしてきた。 それも、くらくらするような、濃厚なキス。 すげーっ、ミリっ。やればできるんじゃんっ。、、久々のミリの感触。・・下半身にまでキいちゃうよ。エロ心に支配されそうになりながらも、心底、本当に心の底まで、ほっとする。あ゛~~っ、よかった。ミリが俺の中に戻ってきてくれて。 こうしてミリの中にあるはずの俺への愛情、俺の仕事への気遣いから、素直に出せなかった嫉妬心を、しっかりと刺激することが、俺のこと、「受け入れる」というよりも、「奪い返す」気持ちにさせることが、元通りになるための、近道だって思ったんだ。 危険な賭け、だったけど。一歩間違えば、完全に嫌われたかも。 でも、ま、、結果オーライ。いつものことだ。 心の奥底で、ホっとしている間にも、濃厚さを増すミリのキス。 抱きしめてぇ~っ。 だけど、俺は、拳を握り締め、我慢する。唇を離し、 「他の人とのキスのことなんて、私が忘れさせるもんっ」 顔をすぐそばに近づけたまま、俺の頬に手を添えて言うミリに、俺は笑って、 「・・そんなの最初から、覚えてないよ」 ミリは、不満そうに、 「・・なんで、、抱きしめてくれないの?」 俺は、わざと両腕をミリから遠く離して、 「腕も体もスネてんだよ。あんなに拒絶されたから」 「もうっ」 俺は、ミリの乱れた髪を耳にかけてやりながら、エロい目で見て言ってやる。最後の仕上げ。 「ミリ、俺をもっと欲しがれよ。体ごと、ミリに、求められたい。愛されてるって感じたい。俺のこと、芝居に、仕事に、キスの相手に取られたくないと思うなら、自分で取り返せよ。そして、もう二度と離さないって言え」 「・・イヂワル」 可愛く睨んでそういってから、ミリはまた我慢できないように、俺にキスをする。 「誰にも、何にも、渡さないよ、ケースケのこと」 「分かってる。俺は、最初から最後まで、ミリだけのもんだもんな?・・・ほら、体も欲しがってやって。体にも、求められてること分からせてやってくれよ」 そういってやると、ミリは恥かしそうに微笑んでから、体ごと俺の上に覆いかぶさり、唇に頬に耳に首に肩に胸に、そしてもっとその先に、俺の服をそっと脱がせては、指を、唇をずらしていく。いい子だ、ミリ。俺はそっと頭を撫ぜ、恥ずかしそうな、でも、必死で初々しいその動きに、身を任せる。 「ねぇ、もう、、これ以上、どうしたらいいのか、・・分かんない、、。ねぇ、して?」 ミリが、限界まで頑張って囁く。俺は、やっと我慢を解き、心のままに全身でミリを求める。 たちまち可愛い声をあげ始めるミリ。 俺は堪らず、下になったまま、ミリの下着をずらし、中に入って突き上げた。 「ぁあんっ、ケ、、スケ」 体を反らそうとするミリの腰を強く引き寄せる。それでも逃れようとするミリが俺を刺激する。しっかりと腰を抱えてやると、自然に、でも、ぎこちなく、動き出すミリ。切ない吐息とともに。ああっっ、たまんね、ヤバイ。俺は、ミリの中に入ったまま上になり、主導権を奪い返す。深く深くミリの奥に入る。久々の、そして、あまりの快感に、歯を食いしばって。だけどそのガマンもほんの束の間だった。ミリが、俺の背中に手を回し、しがみついて・・。そして、俺も後を追う様に・・。 ミリは、息を切らしたまま、俺に抱きついて、もう一度キスをした。 「ケースケ。愛してる。。」 最高の、言葉まで添えて。 「俺も愛してるよ、ミリ」 腕の中、あっという間に眠ってしまうミリを、愛しさのあまり抱き寄せる。可愛い寝顔。ずっと寝不足だったんだもんな。やっと腕の中に戻ってきたミリ。守るべきミリの寝顔を取り戻せた安堵の中、俺も、急速に眠りに落ちていく。 ミリ、 俺、きっと、一生忘れられないよ、 ミリからの、first kiss。 ←1日1クリックいただけると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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