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2004.11.25
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カテゴリ:レビュー
ガブリエーレ・サルヴァトーレス監督(「エーゲ海の天使」1991でアカデミー外国語映画賞を受賞)の2003年監督イタリア作品である。原作は同名のニコロ・アンマニーティーの小説で、脚本も本人が担当した。



 70年代イタリア南部。美しい麦畑に囲まれた5軒からなる小さな集落で暮らす黒髪の少年ミケーレ。彼はふとしたことから、村のはずれの高台に深い穴を見つける。そしてそこにいる、脚輪をはめられた少年を・・・。



 これは映像と音楽で見せる(魅せる でもある)映画である。原作のテーマとしてある「穴」の、70年代に特に増大したというイタリアの社会の穴、人間存在そのものの「穴」といった思想的な意味は、その映像を見ているときには思い起こされない。美しい草原と、ぬかるんだ暗い穴や、無邪気ながら大人社会をどことなく模倣した子供たちの遊ぶ風景と、なにかうらぶれたやりきれなさを抱えた大人たち、穴の外にいるミケーレと中にいる少年、といった意図された対比や、主人公の母親や父親のセリフに細かにちりばめられた深い意味に気が付くのは、ラストで一気に見せる衝撃的な展開が過ぎ、そのあまりにも美しい映像と音楽が終わってからである。

 主人公の二人を演じるのはオーディションで選ばれた少年たちで、彼らが実に自然に呼吸をするような演技を見せてくれている。特にミケーレを演じるジュゼッペ・クリスチアーノは、大人の社会を垣間見てしまったために子供の無邪気な世界へと戻れなくなってしまうミケーレの心境を、遠くを見るその視線ひとつで語る逸材であり、将来が期待される。

 音楽はイタリア音楽の新鋭エツィオ・ボッツオ。ペルトとナイマン、グレツキなどの現代音楽を優しく解釈したようなその聴きやすくもミニマルな音楽は、黄金色がどこまでも続くイタリア南部の風景や、少年たちの無邪気な笑い顔と溶け込み、この映画をひきたてている。

一度目はその映像と音楽に身を任せて主人公の優しさとストーリーの意外な展開を楽しみ、二度目にその背後のイタリアにおける社会的な意味をじんわりと考えながら鑑賞する。そんな楽しみ方を薦めたい映画である。



映画として 7/10
原作として 8/10
映像と音楽として 10/10





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Last updated  2012.04.18 11:39:43
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