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あずさわ日記 [全2186件]
昔、黄梅山弘忍禅師の元に門下七百人の僧が師の徳風に引かれて修行の為に集まったという。偉大なる教えには多くの善男を集める魅力があるらしい。しかし如何なる教えも、人が説くと成れば、やがては衣鉢を誰が継ぐかと言う時がやってくる。ここでは、神秀と慧能の悟りが雌雄を決する事になる。結果禅宗は南北に分かれる運命と成ったらしいが、稚拙な自分が書くのも僭越ですが、真実を求めて共に切磋琢磨することは素晴らしいと思います。共に語り、共に生活する中に、何時の時代にもある若者の生き様がある。
このところ、毎日のように雷雨、集中豪雨が続きます。もう日本の気候が変わってしまったのでしょうね。そろそろ、新しい日本の気候に合った、暮らし向きを考えなければならないんでしょう。 元に戻すことの難しさは子供でも判りそうなもの。
トムは十七歳の若者であった。 彼の仕事は、王宮で黒の王の警備だった。 黒の王は名君と云われ多くの国民に慕われた。 或る年の秋に王は重い病に倒れてしまった。 国民は寄ると王の病の話で、国中が暗い気持ちに包まれた。 それから二ヶ月して街の予言者の言葉によると 北の果てのクイーンズランド王国のオーロラ姫の歌声により、 黒の王の病は癒されるであろう。 或日お城の当直が明けてトムは王妃に呼び出された。 玉座の王妃は云った。 「トムや知っての通り我が黒の王は病に倒れて居る。」 「はい。」 「王の病を治すには、北の果ての クイーンズランド王国のオーロラ姫の歌声が良いと聴く。 尋ねるが王の為に北の果てまで行って来れぬか。」 するとトムは真っ白な顔をして、 「王妃様、お許し下さい。私には年老いた母が居ります。」 すると王妃はハッと気付き、 「是は惨い事を望んだ。ならば良いぞ。」 トムは 「一晩母に相談したく思います。お許し下さい。」 「そうか、判った。許せ。」 「申し訳ありません。」 「下がって良いぞ。」 トムが家に帰ると母は云いました。 「トムや、私の事は良いのだよ。 貴方の勇気を試してごらん。」
此は源氏の陣営奥深く、 小高い丘の上である。 鬱蒼とした山上の木の間越しに瀬戸の穏やかな海が見えた。 遥か先には御座船が豆粒の様に眺める事が出来た。 その日義経は気の利いたる若者を三人従えて、 山中をそぞろ歩いて居た。 すると森の奥から、 普段は耳にする事も無い筈の笛の音が聞こえて来た。 主従は誘われる様に笛の音が聞こえる方へ歩いて行った。 太古の時から茂り人の手付かずの森で有った。 見知らぬ少年が、大切な笛を愛おしむ様に吹いて居た。 その容貌を見た若者の一人が、 「我が源氏の者ではござらぬ。」 「姓名を問い申うさん。」すると義経は、 「問うには及ばん。」 と差し止めた。 暫し笛の音に酔いしれる主従に、 若者は気付いたのか笛は、はたと止んだ。 「これは罪な事を致した様だ。」 若者は華奢な見掛けでは有るが、 利発そうな眼差しは既に相手がどのような人物か おおよそ見当は着いた様で有った。
過去の成果で未来を生きることはできない。 人は一生何かを生み出し続けなければならない。 カール・ハベル 人生はどんどん変化する 世界は限り無く展開する 其処に喜びも多い 停滞は退歩 遮二無二考え無く前進するのは 失敗を招くが 知性をもって進もう 何物かを生みだそう。
平家の使者を残し、 頭領義経と近侍の者は円陣を作った。 「はっはっはっは。如何なものであろう。」 重鎮弁慶が口火を切った。「うむ。」 義経は一人難しい顔をして居た。 当代一の武将ではあり、笛の名手である事は、 家来弁慶と五条での出会いでも有名であった。 しかし今は源平両陣営決戦の時。 座興と言っても、一族を率いる頭領が、 座興如きで侮りを受けては甚だ面白くもない。 家来の佐藤某が 「恐れ多くも申し上げまする、平氏の拙い策に乗じられますな。」 すると梶原某は、 「貴公は殿に分は無いと思われるか。」 「いや、そうは言っておらん。」 「はっはっはっは。」 話題の主が笑い出した。 「人は力量有ると自負しても敵を侮る勿れだ。」 「そうですとも。」 「しかし、音曲の技を競うと言えども敵に背を見せぬのが源氏武者の心意気。」 「何の平家の青侍。怖れるに足りん。」 「殿。流石、我が殿。」 こうして義経は平家陣営の座興を受けて立つ事となった。 たちまちにして、 厭世観に苛まれて居た源平両陣営にこの噂は広がり 様々な風評を醸し出したのである。 平家の御座船が七隻程並んだ小さな浦が有った。 浜辺の仮御殿と御座船の間を行き来する女房共や、 それに仕える女子衆には、格好の噂話の種だった。 平家一門のたまり場には、遠く都を離れ、親子、 孫の代もが都落ちの悲嘆の中に日々暮らして居た。 「聞いたかい。」 「何の事だね。」 「源氏の田舎侍が平家の公達に笛の音で張り合おうってんですよ。」 「無駄な事だ。」 「戦しか知らない田舎者に笛など吹ける訳がない。」 「い~や、それが源氏の大将義朝公のお子、義経はんどす。」 「あ~牛若はんか。」 「それなら話は別じゃ。」 「平家はどんなお方が出られるのかいな。」 「平氏一門やったら誰がお相手かいな。」 「い~や。平氏の兵は弓矢はともかく芸事には強いぞ~。」 「だから都落ちなど切ない思いするんじゃ。」 「治に居て乱を忘れず。」 「誠、その通りじゃ。」
ブダペストは著名なピアニストであるリストが 活躍した音楽の聖地でした。 そのリストの暮らした建物は「リスト記念館」になっています。 或る霧の深い早朝、新聞配達の少年は 記念館の裏口から慌てて立ち去る人影を見た。 その日、当地の夕刊三面記事に「リスト記念館に賊が侵入、 被害は見当たらず。」と云う小見出しが有った。 数週間後、市のセントラル公園は大勢の人混みで溢れ返って居た。 公園の広場には大きな大木が有り木陰では 一人のアーティストが古びたピアノに向かって リストの小品集をメドレーで弾いて居た。 その音の軽やかさ、鮮烈さは人々を酔わせるに十分でした。 「ブラボー、ブラボー。」 ひとしきり喝采が続きやがて人々の アンコールを希望する熱烈な叫び声に変わりました。 「ら・かんぱねーら」 「ら・かんぱねーら」 「ら・かんぱねーら」 熱情の沸き上がる特設のステージに奏者も 戸惑いを隠せませんでした。 彼は愈決意せざる負えなくなり、 強く唇を噛み締めると、 リストの名曲「ラ・カンパネーラ」 を弾き始めたのでした。 或る女性が目を止めました。 未だ若い新鋭のピアニストの手が 蒼い革手袋に包まれて居た事を。 つづく (この話は事実無根ではあります。真に受けないでください。) |一覧|Recommend Item |
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