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2005年12月23日
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テーマ:ニュース(100155)
カテゴリ:教育時事
超少子化国 来年にも「人口減少社会」(産経新聞)

 政府は十六日の閣議で、平成十七年版「少子化社会白書」を閣議決定した。一人の女性が生涯に産む子供の平均数(合計特殊出生率)が十六年に過去最低を記録した日本の現状について、「超少子化国」という表現を使い、死亡数が出生数を上回る「人口減少社会」が予想された十九年より早く到来する可能性を指摘した。
 白書によると、十六年の出生数は約百十一万千人で前年比で約一万三千人減少した。十六年の合計特殊出生率は1・289で、過去最低だった十五年の1・291を下回った。「人口動態統計速報」によると、十七年上半期の速報値は死亡数が初めて出生数を上回っている。
 白書は「社会全体で若い子育て世帯を支援し、少子化の流れを変えなければならない」と提言。地方自治体が独自に実施している事業などを紹介している。(以下略 産経新聞)


 ついに人口マイナス状態に入ったわけですが、政府の少子化対策については以前から言われているように、小手先の中途半端なものでしかないのが気になります。児童手当の拡充、育児休暇の復帰者支援など、確かに必要なことではありますが、少子化の根本的な解決につながっているとは思えません。

 まず第一に、職を持つ女性が子供を産みにくいとか、再就職先がないという問題は古くから指摘されており、さらには女性の社会進出とともに、自ら責任ある立場を産休で放棄できないという問題も発生しています。これを企業側の努力によって育児休暇の促進や再就職の促進を図らせるという、現在の政府の政策には無理があるでしょう。そもそも企業は営利組織であって、ワンマン経営ならばともかく、そうでない企業にとっては経営にマイナスになる行為に積極的に取り組むはずもありません。公務員でさえ、育児休暇があまり取られていないと言われている中、民間企業で実施されるのは到底無理というものです。
 こうなると、育児休暇を取らせない企業にはペナルティを与える制度にするか、もっと根本的に企業から多少白い目で見られようとも、女性自身が育児休暇を取った方が有利と思わせる支援制度を作るしかないのではないかと思います。最初は企業も仕方ないと思っていても、次第にそれが当たり前になる日が来ます。

 第二点目に、児童手当の拡充(小3から小6まで引き上げ)などの金銭的支援も出されていますが、我が家にとっては大変有り難いことは有り難いのですが、はっきり申し上げて、これから子供を産む人にとって、月5,000円の児童手当が貰えることで、「良し産もう」と思うかどうかは疑問です。
 そもそも、政府の少子化対策研究などを見ていても、かねてより税制調査会の馬鹿な委員発言などもあるように、政府の各諮問機関が少子化問題の本質をきちんと調査、研究しているとは思えないのです。いろいろな調査、アンケートを見ても、出産世代を対象に「何故子供を産まないのか」という統計はほとんど見ることがありません。少子化の原因は子供を産まないことであって、子供を産まない理由を直撃、分析することが一番重要なはずです。
 とは言っても、実は私もかつて少子化対策プロジェクトに関わったことがありますが、現在の「個人情報保護法」に引っかかって、出産世代の少子化原因の統計を得ることができませんでした。ただ、明確な根拠とデータを提示することはできないのですが、保育園、幼稚園児の親の年齢、学歴、収入による相関関係に着目したことがあります。実は、学歴と収入は思い切り個人情報なので外部に出すことは出来ないのですが、ある一定の法則性を見いだすことが出来ます。こういう言い方は極めて語弊があるのでしょうが、学歴が低い=脳力の余り良くない部類に属する人の比率が高いのです。つまり、ヤンママ系とも言われる若くして子供を多産する方々の比率が高い。それに対して、高学歴系は年齢も高く、初産の子が多いのです。
 このことは、言うまでもなくインテリ系の晩婚化、非婚化、非出産傾向を示しているものであり、少子化の最も大きな要因と思われます。つまり、このインテリ系に子供を産ませることが少子化対策の近道なわけです。実は、ここまでは政府機関も調査済みで、この対策が先の育児休暇促進政策につながっています。インテリ系=職業女性=育児休暇という構図なのです。
 しかし、ここから先が異なるのです。いわゆるインテリ女性に突撃アンケートを取ったらどうなるでしょうか。多分、育児休暇が取りにくいから子供を産まないという人はさほど多くないと思われます。別に根拠があるわけではありませんが、多くの女性はさしたる理由も持たないはずです。「相手がいない」「子供が嫌い」「子育てが面倒」などと言うかも知れませんが、それらは総じて「子供を産む義務感の欠如」として捉えられるのではないかと思っています。

 話がそれていきますが、そもそも旧社会(戦前、江戸時代以前)において、子供は地域社会の宝でした。宝というのは将来の働き手であると同時に、子供時代は地域の貴重な小間使いだったからです。自分の家に限らず、年長者が年少者の面倒を見、水汲み、買い物など些細な事は地域の子供達が担う社会構造です。ですから、成人して結婚して子供を産むのは当たり前で、産まないことは地域社会にとってはマイナスでしかないのです。
 現代になっても、社会構造は大きく変わったとはいえ、年金問題など子供たちが各家庭の次元を超えて社会の担い手であることは変わりがないのです。ところが、ある段階から、義務であった子育てが権利となり、さらには、産まないことが権利となってきたことに大きな要因があると思っています。
 そういう視点で、上記のインテリ女性たちの「子供を産む義務感」の欠如という表現をとりました。これは女性だけではなく男性も全く同じですが、自分のやりたいことが子育ての義務より優先するという結果を生んでいます。確かに法律的にも、結婚も出産も個人の自由です。誰からも強制されないし、好きなようにすればよい。ただし、昔は結婚、出産が当たり前という暗黙の了解が前提であったのであり、その前提が崩れたいま、その義務と権利については再考する必要があると思っています。

 現在の少子化施策は基本的に、一般的な税制・支援を基準に、子供が生まれると控除や補助などの付加的支援を加える構造になっています。しかし、上記の子育ての義務という概念を前提にするならば、子育て家庭を基準に、子供のいない人に課税していくようなシステムの方が有効かと思います。結果的には一緒のことかもしれませんが、やはり社会的義務に反しているという感覚を感じさせることが必要だと思うのです。

 言いたいことを勝手に言ってきましたが、現在のままでは少子化は食い止められないでしょう。さらに、大学等の教育費の軽減や医療費など様々なところで複合要因はあるでしょう。このあたりで、抜本的な対策を考える時期だと思うのですが。
 もしくは、少子化を見越した社会体制の整備をするかです。それこそ、日本は冬の時代に突入することになるでしょうが。





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最終更新日  2005年12月23日 12時18分03秒
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