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February 25, 2024
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カテゴリ:文化

危機の連続だった徳川家康

歴史作家  河合 敦

 

家臣らとのチーム力で乗り切った〝伊賀越え〟

来年のNHK大河ドラマ「どうする家康」。言うまでもなく主人公は、天下をとった徳川家康だ。NHKHPによると、「家康が直面した数々の困難と向き合い、一緒に〝どうする?〟とともに考え、乗り越えたチーム家康」を描くそうだ。

慈際、家康ほど多くの困難に直面した人はいないだろう。そもそも6歳から19歳までは人質生活を送っていた。そんな過酷な状況から独力で一国の大名となり、同盟者の織田信長にこき使われつつ、コツコツと領地を拡大、その後は豊臣秀吉に屈して臣下となり、秀吉天下統一後は父祖の地から関東へ飛ばされてしまった。それでもめげず、秀吉没後に一気に権力奪取に動き、関ヶ原合戦の勝利を経て江戸に幕府をひらいたのである。

波乱の人生の中でも、家康の三大危機と呼ばれるのが「三河一向一揆」、「三方ヶ原の戦い」、「伊賀越え」だ。このうち今回は、伊賀越えを紹介しよう。

15823月に竹田勝頼を滅ぼした信長は、5月、多年苦労を共にしてきた家康を安土城に招いて歓待。その後、家康は堺を見物していたが、62日朝、京都に向かおうと堺を出立したさい、本能寺で信長が自刃したことを知る。まさに驚愕の事態だ。信長を死に追いやった明智光秀は、家康が堺にいるのを知っていた。安穏としていれば、明智軍が行く手を塞ぎ、敵兵や落ち武者狩りの連中に命を奪われてしまう。

が、このとき家康は、周囲を仰天させる言葉を発した。「私は京都へ行き、知恩院で追い腹を切る」と言ったのである。

ここで重臣の本多忠勝は「三河へ戻って軍勢を整え、弔い合戦で討ち死にすべきす」と進言。それでも家康は「この人数で三河へ戻るのは難しい。途中、匹夫の矢に当たって死ぬより追い腹のほうが良い」とごねた。このとき、同行していた織田家の長谷川秀一が案内役を買って出たので、ようやく家康も翻意し、美川を目指すことにした。

まずは京都の豪商・茶屋四郎次郎が先回りして金銭をばらまき、通行の安全を図った。また、伊賀の忍200人が家康の周囲を守護した。服部半蔵正成の父・保長が伊賀出身だったので、彼らに協力を求めたのだ。家康一行のルートには諸説あるが、通説では62日のうちに堺から山城国の宇治田原に入ったという。距離にして13里。50キロ以上も移動したのだ。ここで一泊し、翌3日は近江国甲賀郡信楽の多羅尾光俊の城館に泊まり、翌4日は多羅尾の案内で伊賀越えをした。そして伊勢国へ入り、関、亀山を経由して白子から船で三河国へと抜けたという。あしかけ3日間の逃避行だった。

代々の危機を脱した家康は、道64日、蒲生賢秀・氏郷父子に宛て「信長から受けた長年の厚恩が忘れがたく、是非とも明智光秀を成敗するつもりだ」と弔い合戦の決意を述べている。実際、帰国後すぐに領内に大規模な動員をかけている。ただ、雨など天候悪化を理由に、ようやく家康が出陣したのは14日のことだった。この前日、山崎合戦で羽柴英世氏が明智軍を撃破しており、19日には秀吉から「光秀は倒したので御帰陣ありたし」との連絡をうけ、家康は三河へ引き返している。

どうも仇討は世間へのポーズであり、家康が欲していたのは光秀の首ではなく、信長の死によって空白地帯と化した武田領だったようだ。事実、66日の段階で家康は武田の旧臣・岡部正綱や曾根昌世を通じて開国に手を伸ばし始めている。このように、強大な同盟者・信長が消滅したことで、堺から生還した家康には、新たな野望が芽生えていったのである。

(かわい・あつし)

 

 

【文化】公明新聞2022.10.26






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Last updated  February 25, 2024 06:47:19 AM
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