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2010年03月04日
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カテゴリ:こんなん行った

見たのは『牛の鈴音』

先日歌舞伎を見たときに、この劇場看板の前を通りかかってびっくり。
「まだこれやってるんだ」
調べたら3月頭までやってることが判明。
もうすぐ上映が終了ってことであわてて行って来ました。



なんでまた見ようかと思ったかというと。
また、うちの猫ネタになってしまうのですが…。
ヨボヨボ牛と、うちの猫が同じ境遇だったから。



この映画の公開前にテレビ番組が取り上げていた。
ヨボヨボの年老いた牛と、これまたヨボヨボの年取った農夫婦の話。
それだけならば、別段引っかからなかったかもしれない。

この牛が体調を崩して、後一年ほどの命と宣告されてしまう。
農作業で機械を入れない主義のお爺さんは、
来年のことを考えて若い牛を新たに飼うのだけど、
その老牛もけして手放さない。

牛の寿命は15年なのに、その牛は40年も生きている。
確かに寿命を過ぎた、ヨボヨボの牛だけど。
そのヨボヨボした足取りで、爺さんのためにまだまだ働いている。

その足取りのおぼつかなさが、その当時のうちの猫に似ていたから。

その頃うちに居た猫は、もう病気でトイレまで歩く元気もなくて、
よたよたしていたのに、絶対にコタツの中で粗相はしなかった。
どんなにしんどくても、トイレまで自力で歩いていって、
トイレの中でへたりこんでも、とりあえず自分で歩いて用を足して、
自分の足で戻ってきていたから。

その姿があんまりにもかわいそうで、
トイレまでが遠かったので途中の場所に、
新しいトイレを設置してやったにもかかわらず、
もともとの場所に行ってしまうポンちゃん。
病気になっても律儀なのでした。

そんな時にこの映画の予告編を見てしまい、号泣。
牛と猫がかぶって見えました。
余命を宣告された牛。
余命を宣告されないながらも、厳しい状態のポン。

どうしても見たくなったのだけど、病気のポンを残して
映画になんて行けないよなあ…とそのままになってました。



そうこうしているうちに、月日は流れ。
銀座シネパトスの前を通ったときに、
「牛の鈴音 上映中」の文字。
ええ?まだ上映していたの~?

あの時は、まだまだポンの看病が続くと思っていたので、
見に行くことなんて考えられなかったけど。
そうか、まだ上映していたのかと思ったら是非とも見たくなって。



話は、老夫婦と老牛の日々の生活の話。
何か大きな事件が起こるわけでもなく、
淡々とした日々の話。
一番大きな事件といえば、牛が老衰してきているということ。

ネタバレもなにもありません。
予告編や、あらすじ出ている通りのストーリー。
それが目の前に、映像で流れるだけの映画です。

冒頭で寺院にお参りに来る老夫婦の会話から
すでに牛が死んでしまったことが判るので、
最後のシーンはわかりきっている結末なのですが。
それでも、映像で見せられると、非常に辛かった。

画面にほとんど音楽はなく、
全編を通して「牛の鈴」が鳴っています。
あの音がしている間は、牛は動いているのです。
その音がしている限り、牛は生きているのです。

最後は、体中にかけてあったすべての綱や縄を取ってやり、
その時、首にかけていた鈴も取り払われてしまうのですが。
牛がいなくなった後、その鈴はお爺さんの手に残ります。

うちにも、主のいなくなった首輪がある。
あれ、好きだったもんなあ>ポンちゃん。
お風呂に入れた後、つけるのを忘れると、
自分でおもちゃにして、遊んでから
「付けて付けて」って催促したし。

牛の話ですが、ヨボヨボの牛はいつしか、
ヨボヨボの猫に脳内変換されて、
かけがえのない家族の話に同化されていきます。

映画は映画で素晴らしかったけど、
私は非常に個人的な体験と、
そのストーリーをリンクさせて見てしまいました。

出来た米を自分達はさておき、子供に食べさせたいと
農村を離れた子供達に送ってやるばあさん。
ヨボヨボな牛だけど、この牛が居てくれたおかげで
田畑を耕して、子供を育て、生活してこれたと
自覚しているばあさん。
最後の最後まで面倒は見てやるというお爺さん。

悲しいお別れはありますが、
それでも人間は最後まで生きてゆかねばならんのだなあ、と。

それはまた、牛も同じ。
ヨボヨボになった体で、人のために、新しい牛のために、
荷を、草を、米を、運び続け、とうとう動けなくなるまで、
人間のために働き続ける。

新しくきた若い牛は食欲旺盛で、
そのための草を何度も老牛は運ばなくてはならない。
それなのに、若い牛は老牛に感謝することもなく、
餌場では隣で飼料を食む老牛に角を突きたて、
隅に追いやり若さを顕示する。

ああ、年を取るって悲しいなあ。
若いってことは罪だなあ、としみじみ。
(それが実感できるってことは自分が年を取ってきた証拠です)

冬が来る前に薪を集めなくてはいけないのだけど、それも老牛の役目。
足の痛むお爺さんに連れられて出かけ、薪とお爺さんを運んで帰る。
でも、最後の最後では、お爺さんも足が痛いにもかかわらず、
荷車から降りて、ヨボヨボの牛の負担を少しでも軽くするために、
自力で歩いて、同じあゆみで家へと帰る。
ここまで来ると、家畜とか、畜生とかじゃないですね。
家族ですよ。

猫も、牛も、飼い主のために生きている。
飼い主の幸福のために生きている。
だから、飼い主は自分が受けた幸せを
猫や牛に返さなくちゃいけない。

私はポンと暮らせて間違いなく幸せでした。
だから、ポンにも楽しい毎日を送ってほしかった。
意地悪もしたし、怒ったりもしたけど、
基本的にポンは許してくれたから。
「ま、こいつはしょーがねーなあ」って顔で、
ずっと私を見ていたから。

私がポンの面倒を見ていたんじゃなくて、
ポンが私の面倒を見ていたんだと思う。

朝起こしてくれて、お弁当の用意をしろと命令して、
買い物に出れば「早く帰ってこいよ」といわれ、
遅くなると「心配したんだから!」と抗議される。
奈良から高速バスで朝帰りすると玄関で待っているし、
夜遊びして帰ると「遅いんじゃゴルア!」って怒られた。
家中のあちこちをチェックして回り、自分が昼寝をしている
サイドデスクの上にテキストやら、資料やらを散乱
させておくと「片付けろにゃー!」って注意された。
夕方の帰りましょチャイムが鳴ってから1時間後に夕飯の支度しな~
ポンちゃんは先に食べておくね~と早飯を食べて一眠りし、
8時になってもダンナが帰ってこないと目を覚まして、
「今日はまだ帰ってこない~!」と泣き叫んだ。
晩御飯を食べた後、早くこっちおいで~とパソコン部屋に呼ばれ
「ラジオ講座聞くんでしょ」「パソパソするんでしょ」
と許認可を与えてくれるけど、日付が変わる頃になると
「そろそろ寝な~」「明日起きられないよ」と声をかける。
その声を無視していると、寝るまで「早く寝ろ~!」って鳴き続けた。
パソコンやめたからって寝ているわけではないからってことで、
ベッドに入ったかまで確認に来て、ようやく安心してことで、
カーテンの隙間から戸締りと町の安全を確認してからようやく寝るポンちゃん。

毎日、お疲れ様でした。
おかげさまで規則正しい生活になりました。
朝はポンちゃんが起こしてくれないので一人で起きるようになったし。
夜はポンちゃんに注意されるような時間には眠くて起きてられなくなったし。
きっとポンちゃんは私の生活態度改善という激務に耐えかねての
過労が元で弱ったんじゃないかと思います。
もっとのんびり暮らさせてやればよかったなあ。
でも、『責任感の強い猫』(ダンナ談)だからして、
ゆっくり寝ててといっても無理だったろうし、
人が帰ってきたら寝てても玄関までお出迎えに出てくれたし。
それこそ、牛のジイチャンのように「もうゆっくりしたら」といわれても
そういうふうにできなかっただろうなあ。



とまあ、実に個人的な思い入れで見てしまった映画だけど、
これから上映となるところの人は、是非ともどうぞ足をお運びください。
私もまたシネウィンド@新潟で見ようかな~と思ったけど、
また号泣するのがわかっているので、再度映画館で見るのはちょっと、だな。

ポンちゃんがいなくなってから11回目の木曜日でした。






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Last updated  2010年03月04日 23時50分06秒
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名無し@ Re:マレブル旅行記★その6(ブルネイ入国の巻)(01/20) ランクルじゃなくてパジェロですね。 グリルに…
カルホ@ Re:クアラルンプール空港!(01/24) ソムリエA(笑)さん ほら、KLIAはなんか…
ソムリエA(笑)@ クアラルンプール空港! ねえねえ、クアラルンプール空港、最近ど…
カルホ@ Re:遠路お運びありがとうございました。(01/24) 学友さん その節は大変お世話になりました…

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