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July 3, 2006
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2003年上期には重力ピエロ(70年代生れとしては、初の直木賞の候補となる)、
2004年上期にはチルドレン、下期にはグラスホッパー
2005年には死神の精度が直木賞候補になっている。
そして今年、2006年には砂漠が直木賞候補に上がった。
候補常連で、いつ、何で受賞するのかが気になる伊坂氏、今度こそ受賞なるか?

読み始めは地味な話かと思いきや、読了後にちょっとゾクっとした。
不思議な能力が出てくるのは恩田陸・常野物語シリーズ(「光の帝国」「蒲公英草紙」「エンドゲーム」)を彷彿とさせる。

作品リンクはバー「ドゥーチェ」(イタリア語で指導者の意)のマスターが作ったカクテル「グラスホッパー」か?
兄のパソコンの修理を担当した資材管理部で本来の仕事は「調査すること」と発言した千葉も気になる。どこかで出てきた人だったような気が…

魔王:
「考えろ、考えろ、マクガイバー」
人々の心をわし掴みにし、勢いに乗る若き政治家・犬養。
理路整然と話し、自分を甘やかさず、政治家も切り詰めるところは切り詰め、責任をちゃんと取ると公言。
今は小さな党であるが、彼の作り出す大きな流れはいつかファシズムを生み、
独裁者・ムッソリーニのようになるのではないかと不安にかられる安藤は友人・島や弟・潤也に考えすぎだと心配される。
だが、他人に一呼吸分だけ乗り移り、発言できる能力を持った彼は何か出来ないかと考えるのだった。

些細なきっかけで集団は凶器になる。
国民の心を一つにするために敵を作る(作中ではアメリカもその一つ)というのは近隣の某国家の政策でもあるよなぁ。
それが案外簡単になしえてしまうだろうと思うと怖くもなる。

「改革」を唱えて何も変わらなかったという二個前の首相のモデルはもちろん小泉氏だろう。
宮沢賢治の詩や物語を旨く織り込み流れを作り出す犬養。
きちんと責任を取り、腹を括った政治家が現在居るのだろうか?
犬養のような政治家が出てきたら、同じように流される可能性も大きい。
一度目の波には大騒ぎをするが、それ以後はそんなに反応しないなど、日本人の特質を露にしている。
「魔王」はシューベルトの「魔王」より~闇夜に馬車を走らせる父。連れていた息子が魔王の存在を知らせるが、到着する頃に子供は死んでいた。
安藤は犬養を「魔王」だと思う。
「でたらめでもいいから自分の考えを信じて、対決する(そうすれば世界は変わる)」ことを貫いた兄の結末はあっけない。

呼吸:
潤也君のお兄さんがなくなって5年、潤也の彼女・詩織は27歳になった。
3年前に潤也と結婚し、環境に関する調査で鳥を調べる仕事をはじめた彼と共に3ヶ月前に仙台に来た。
犬養は今は首相になり、憲法改正に対する国民投票が直前に迫っていた。
潤也は兄の死後から直感が冴え渡り、じゃんけんなど、10から1を選ぶくらいならば競馬予想も外さない小さな力が備わっていた。

憲法改正、今でも騒がれているが、実際に国民投票(この法律は現行では成立してない)が行なわれる時にも抱き合わせでなし崩しに入れ込んでくるような気がする。
妙なリアル感があって背筋が寒くなることしばしば。
「政治家が賢いのと馬鹿なのでは、どっちが怖いのだろう」という潤也の台詞が響く。
暇だと悩むというのも一理ある。
紙を25回折りたたむと富士山くらいの高さになるというのは驚きだ。
国民投票の結果が気になる。

兄が見た自分が鳥となっていて、それを観測する潤也を見る夢が現実となったような場面が映像で浮かび、美しかった。

「リアリティ、リアリティとうるさいが、映画ばかり見ているお前はさぞかし現実社会に詳しいんだろうな」と評論家に食って掛かった3本しか映画を取らなかった孤高の映画監督というのも他の作品に出てきたような?"蛍のように輝く森のシーン"がポイントか?
伊坂作品は他作品との連携がどこでなされるかも楽しみの一つなのだが、さりげなさ過ぎて素通りしそうである。





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Last updated  July 6, 2006 05:00:42 PM
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