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弁護士・伊藤和子のダイアリー

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2008.07.01
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先週水曜日、突然テレビ朝日の方から電話があり、突然金曜日深夜の
「朝まで生テレビ」に出てください、という。
テーマは2009年からはじまる「裁判員制度」

別に金曜日深夜に差し迫った予定もなかったことと、裁判員制度については
本も出版しているので二言も三言もあったこと、
水曜日は終日とにかく忙しく、裁判の準備で緊張しており、
躊躇し黙考する時間がなかったこと、
などもあり、あわただしくお引受けすることに。

そんなわけで、この著名な討論番組に参加させていただいたのであるが、
心配は、
1) 本番で眠ってしまわないか(とくに風邪をひいて疲れていたもので)
2) 司会の田原さんが怖いのではないか。

ということだった。

しかし、本番前に「討論に入ると白熱するのであっというまですよ」といろいろなひとに
言われたとおり、眠くはならず、
また、田原さんもたいへんやさしい方であった。

しかし、突然ふられると、思ったことの半分もいえないもので、
自分の弁護している死刑冤罪事件のことや、取調べの可視化などの刑事司法改革の必要性を
もっと話題にしたかった、と後悔、、。

とはいえ、討論は意外ではあるが、面白い方向に進んだのではないか。

最後に、某政党の党首の方が、「推進派」だったのに「裁判員制度を延期します」
とおっしゃり、私は心底驚いた。

私は、せっかくつくった市民参加制度、いまさら延期というのは現実的ではないし、
問題先送りに過ぎないと思う。
だから、討論の結論が「延期」みたいなかたちになったのは極めて遺憾である。

しかし、考えてみれば、
量刑に対する裁判員の関与、守秘義務違反に罰則を科すこと、
開示証拠の目的外使用、被告人に選択権を認めないこと、
など、以前から指摘されていた裁判員制度の問題点が十分に議論された。
このこと自体は、たいへんよかったのではないかと思う。
私もこれらの点、なかでも死刑を含む量刑への裁判員の関与について
大変心配になっていたのである。

問題があることがわかりながら、しゅくしゅくとすべてに目をつぶって
我慢をしながら導入しましょう、というのはこれまた不健全である。

取調べの全面可視化とか、選定手続、裁判員への説明など、スポットライトのあたって
いない問題点もいくつもある。

まだ導入まで一年近くあるのだし、国民的な議論をして、市民から出される議論や疑問には、運用・法律の一部手直しも含めて最大限の努力をして導入にぜひとも
臨んでほしい、いまから白紙のまま延期というのは政治と司法の怠慢であり、それまでに
論点を明らかにして、できうる限りの改善をすべきだ、と思った。

また、三年後には、見直しということもあるのだから、状況をウォッチしつつ、
いま出されている論点のうち、導入までに改善できなかったものは、
見直しのリストにいれて早め早めに見直し提案をしていくことではないか。

 実は、いまシカゴにいる。
日曜日にシカゴに飛び、弁護士会の調査に同行して
陪審制と取調べの可視化、虚偽自白の関係で米国関係者にいろいろ
話を聞いているのだ。
 ここでもまた選定手続、裁判員への説示、
無罪推定などについて、裁判員と裁判官の情報の絶対的格差、
など、日本の制度の不十分さが、歯に衣きせぬ米国の専門家から
次々と指摘されてしまった(勉強になった)。

「これでよし」と思った瞬間に、「まあ、これでもいいか」と思った瞬間に、
改革は止まる。
法律家の責任は重い。
よりよい制度にするための努力をこれからもすべきである。

これから裁判員制度について市民的議論が、あちこちで進み、
それが改革への原動力となることを期待したい。























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Last updated  2008.07.01 13:50:33
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