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弁護士・伊藤和子のダイアリー

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2008.09.07
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 土曜日の夜、中野サンプラザでスーダン・ダルフール地方の問題に関する
イベントをしたところ、「どこで聞きつけてくれたの?」と思うほど
たくさん若い人が集まってくれ、9時を過ぎても終わらないくらい
白熱した議論になりました。

 私とスーダンのかかわりは実は深くて、1994年に弁護士になったとき、
最初にやった難民事件がスーダンの事件。当然スーダンのことは何も知らず、
当時のアムネスティのタカハシさん(いまは国連)に頼って勉強して、
「ひどい国だなああ」と心底驚いた。しかし、当時スーダンのことに関心の
あったのはタカハシさんなど本当に一握りのひとだったので、いまでは
若い人がたくさん関心をもっていることが- 確かにその後本当に事態が
悪化してしまったからであるが--感慨ぶかかった。

 今回のテーマは、20万人以上を殺害し、300万人以上の人々の村を焼き払って
難民にさせた張本人、スーダンのアルバシール大統領を国際刑事裁判所
で訴追する、という国際刑事裁判所検察官の動きをサポートして、
なんとか人権侵害を終わらせよう、というで、私もそういう話をさせて
いただいたが、これは和平交渉と法的正義が両立するか、という点で
大変問題の多いテーマである。アルバシール氏は「私を訴追する
などというけしからん動きをストップさせない限り和平交渉は
進まない」という態度で出ており、アフリカ諸国のなかにも、
このような訴追を進めるのは和平交渉にとってマイナスだ、という
意見が少なくない。
 それでも、これだけの虐殺や人権侵害の責任者を処罰しないまま、
和平交渉を進める、ということでは、結局紛争の根本原因がそのまま残り、
(紛争の火種が残り)、安定的な平和は実現しない、正義を犠牲にした和平交渉
はみせかけの平和しかつくれない、と私は思っている。
 国連も1990年代後半以降、人権侵害の責任者の不処罰を約束する
かたちでの従来の和平交渉が国際的な批判を浴び、そういうことは
やらなくなっている- つまり、正義を犠牲にした、和平交渉を
是とする立場には立たなくなってきている。しかし、今やそれが
どうなるのか、非常にあやうい状況である。
 この問題は、10月以降の国連安全保障理事会で大きな議論になるが、
日本政府にも先日要請に行ったが、日本からも少しでも多くの声を届けたいと
思っている。

 ただ、悩ましいことは、ダルフールをめぐっては多々ある。
ダルフールが放っておけないからといって日本からPKOを出すのがいいのだろうか。
それに、スーダン政府の後ろ盾になっている中国を政治的に攻撃するために、
政治問題として西側がダルフール問題を騒いでいる、という見方もある、なとなど。
 放っておいたら、人道的介入、という議論だって出てくるかもしれない。
 海外の人権問題が放っておけない、他人のことだと無視する
のではなく、何かできることをしよう、という議論は良いのだが、
これからは、「ではどんなアプローチでいくべきか」について
議論を深めていく必要があるのだと思う。
 人権や自由というのはとかく政治的に利用されやすい概念であり、
人権の名のもとに人権侵害が正当化される、という悲劇は
世界でひろがっている(このあたりのことを、来週9.11に開催される
別のシンポジウムでお話したいと思っています。またご案内します)。
 このあたりをよく見て行動すべきだといつも自戒している。

 ところで、このシンポで報告した日置さんというNHKのプロデューサーの
方、初対面だったが、大学の二年先輩にあたるということがわかり、びっくり。
 突然、"YAYA あの時代を忘れない"状態になり(早稲田ですが)、
二次会はダルフールではなく、とめどなく、共通の知り合いの思い出話で
盛り上がってしまった。
 まだキャンパスが政治の季節のかすかな余韻があった、早稲田らしい
自由があふれてた、なつかしい時期のことを振り返ってしまった。
 母校からも才能のある人々が、なかなか生きにくいことと感じることも
少なくないこの閉塞した現代日本にありながら、それでもいろんなところで
元気に活躍しているんだな、と思って、嬉しくなりました。





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Last updated  2008.09.07 21:41:06
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