ヤマガタ・サンダンデロ
銀座一丁目5-10山形県の物産館がある。「おいしい山形プラザ」といって、結構いろんなものがおいてある。生鮮野菜もあって、キュウリを輪切りにすると☆型だったりハート型だったりというようなもの。この時期、さくらんぼの佐藤錦も、リーズナブルなお値段のものから、立派なものまで各種取り揃えている。もちろん、そういうものも、夕方来店すれば、割引になっていることも多い。で、サンダンデロ。山形は庄内に「アル・ケッチァーノ」というイタリア料理店と、その姉妹店で「イル・ケッチァーノ」という菓子店がある。ここの奥田シェフのプロデュースで、東京出店したのが、「サンダンデロ」。そもそも「アル・ケッチァーノ」というのは、「庄内に、こんなうまいもんが、あるけっちゃ~の~」というわけで、イタリア語でもなんでもないのだが、それらしく聞こえてしまうのがおかしい。だから「サンダンデロ」も「山形産なんだろ?」が語源。人を食ったはなしではある。その、洒落のわかる奥田シェフがとびきりの素材を見繕って東京に送ってくるわけで、それをいただく。刺身様に切り付けられた魚を、粗塩で食べる。シェフは素材の持ち味を生かしたいということで、極力ソースは使わない。何種類もの塩を使い分ける。これがなかなか、なぜ今まで醤油だったんだろう、という新鮮さ。シェフは、庄内の海を熟知している。どの川の水が注ぐ、どのあたりの漁場でとれるどの魚、貝類の味がどう違うのかを知っているので、それぞれにふさわしい調理法を提案してくる。そんな人を今まで見たことがなかった。大間のマグロだ、関アジ関さばだと言ってもあまり意味がないのかもしれない。山形産のうまいものを、いちばんおいしくいただく。そのために相応しいお店が東京にできたことを、喜びたい。