テーマ:海外生活(7782)
カテゴリ:ペルー生活
ある日のバスの中でのできごと。
杖を突いたばーちゃんが乗ってきた。 こういう時、どんな強面のコブラドール(バスの集金人)でも自然に手が伸び、 お年寄りがきちんとバスに乗れるよう、手伝う。 こういう何気ない風景が好き。 このばーちゃん、足は悪そうだがよぼよぼではない。 カクシャクとして目もぎらぎら、なかなかのツワモノとお見受けした。 「このバスは○○まで行くねっ」 と、コブラドールに質問だか詰問だかわからない口調で言う。 どれほど偉そうな男性でも、この手のばーちゃんには勝てないといった感じ。 コブラドールも慣れたもんで、「はいはい」と軽く流していた。 さて、その○○に到着。 ばーちゃんはまたコブラドールに助けられながら ゆっくり下りて行った。 そしてちょうどバスの横車線に止まっていたタクシーを捕まえて 次の行き先を告げているようだ。 私はバスの中から見下ろしてただけなので、 2人の会話は当然聞こえない。 でもタクシーの運転手が手を開いて「5」の数字を示した。 「ばーさん、5ソルでどーだい」 こんなところだろう。 ところがこのばーちゃん、その数字が気に入らなかったらしく つんっとそっぽを向いてしまった。 まあタクシーの言い値が高すぎる場合は、当然のことだ。 でも交渉した様子もなかったけど。 運転手は今度は指を4本立てた。 4ソルに下げたようだ。 そこですかさず指を3本立てるばーちゃん。 指4本で応戦する運転手に対し、 指3本でばんばんと窓を叩く。 そして… ばーちゃんの勝利らしい。 ゆうゆうとタクシーに乗り込んだのだ。 この分かりやすい値段交渉を上から見下ろしていた私。 ふと上を見上げた運転手と目が合って、思わず私も指を3本出してみた。 「そーだよ、セニョリータ、このばーさんにはやられたぜ」 運転手はちょっと困った顔をしながらも この負け戦を見守っていた私に対し、笑顔で手を振ってくれた。 そして信号が変わり、バスは直進、タクシーは右折。 ばーちゃん、ちゃんと目的地まで行けたかな? なんてことない日常だけど、こんな人間臭い光景が垣間見れるリマが好きです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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