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テーマ:ミュージカル大好き♪(369)
カテゴリ:映画・テレビ・本
ジャン・バルジャン
どうして、徒刑囚だったバルジャンが、市長になれたのか。 たまたま彼がこの町に来た時に、市役所に火事が起こり 火の中に残された憲兵隊長の子どもを命がけで救ったので 憲兵達は彼にパスポートの提示を求めなかったから。 そうして、移り住んだ町で黒玉ガラスの製造で当て、 工場を大きくし、多くの人を雇用し、私財を投げ打って 病院と学校を作った。 コゼットという愛する対象を得たものの、 流転の日々で心安らかに暮せなくなることを思えば、 ここでの数年、栄光の階段を猛スピードで駆けのぼっていく バルジャンは運命の女神様のいたづらに翻弄されたかのよう。 司教が「あなた」と呼んでくれて、人として扱ってくれたこと その驚きと喜びが、バルジャンに正しく生きることを導いてくれた。 持てる物の少なさを嘆いて、世をすねていた人間が与えることの 喜びに目覚めるきっかけになった一言の大きさ。 ジャベール警部 執拗にジャン・バルジャンをつけ狙い、 最後に命を助けられても、自殺を選ぶ彼。 改心したバルジャンなのだから 見逃してやってほしいと思うけれど 非情に思えるジャベールも、また、 混沌とした時代に弄ばれた気の毒な人で、 本来ならば手を差し伸べてやりたいくらいの人だった。 ジャベールはエリートとして、 バルジャンを見下していたわけではなかった。 刑務所の中でトランプ占いの女から生まれたジャベールの 父もまた徒刑囚だった。 徒刑場の看守になった彼は苦労の末、警部まで上り詰めたのだ。 だからこそ、義務に忠実だったけれど、 追っていたバルジャンに命を助けられた時、 義務と秩序を冒したジャベールは自分を赦せなかった。 セーヌに身を投げてしまったジャベール。 最後には「おまえ」でなく「あなた」とバルジャンを呼んだジャベール。 新しい演出の「レ・ミゼラブル」で、ジャベールに会うのが楽しみだ。 (「レ・ミゼラブル」百六景 ~木版挿絵で読む名作の背景~ おわり) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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