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2005年05月08日
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さて、5月5日に実施された
英国総選挙について
今日は書こうと思う。

まずは開票結果から。

       議席数   前回からの増減  得票率 
労働党    355     ―45   35.2%
保守党    197     +35   32.3%
自由民主党  62     + 8   22.0% 
その他     30     + 2   10.4%
(The Guardian誌より)

うん。。。

労働党が過半数を65議席上回り勝利。
労働党が3期連続して
総選挙に勝利したのは史上初の快挙。
ブレア政権も3期目の長期政権になった。

しかし、労働党は改選前には
過半数を166議席上回っていたわけで、
議席は大幅減となった。

日本のマスコミ報道をみてみると、
「イラク戦争に対する批判」
によってブレア首相が
国民の信頼を失ったことが
この選挙結果になった
というように論評しているようだ。

確かにね、「イラク戦争」は
選挙結果に関係があるだろう。

多少はね。。。

しかし実際はそんな単純なものじゃないのだ。
この「英国政治ウォッチング」でも書いてきたけど、
日本政治は「小選挙区制」とか「マニフェスト」とか、
英国政治を学ぼうとしてきたのだろう?

それなのにどうして今回の総選挙に関して
そんな何も考えないでもできるような
ええかげんな総括しかしないのだろう。。。

はっきり言えば
「イラク戦争支持→ブレア労働党議席減」から
「イラク戦争支持→小泉政権は?」
と、日本のマスコミ様は無理やりにでも
話を持っていきたいのだろう。

要するに、始めに結論ありきであって、
選挙をきちんと分析しようという気なんてなくて
自分に都合のいい部分だけを切り取って報道しているだけで、
完全に思考停止なのだ、日本のマスコミ様は。

ということで、
私がこの「英国総選挙」を
きちんと総括して差し上げる。(笑)

「英国総選挙」をきちんと総括するためには、
英国庶民院解散時から開票までの間を、
時間を追って見ていかなければならない。

この選挙でまず着目しなければならないのは、
4月5日に選挙戦がスタートした時の
各政党の支持率である。
労働党が30%台後半、
わずか2-5%の差で保守党が追い、
自由民主党が20%台。

前回総選挙時は、
労働党と保守党の差が
10%以上あった。

今回は非常に僅差での選挙戦スタートとなったわけだ。

しかしこれは、
「イラク戦争」が理由ではない。
労働党と保守党の支持率が接近した理由は、
保守党の政策が有権者から
一定の評価を得ていたからである。

前回(2001年)の総選挙で
労働党が圧勝した理由は、
労働党が教育・医療・社会保障の充実を、
保守党が減税を訴えたということで、
両党の間に政策の明確な違いがあって、
それに対して有権者がはっきりと
教育・医療・社会保障の充実を求めた
ということであった。

それに対して今回は、
私の前回のエントリーを読めばわかるように、
保守党が伝統的な減税政策を単純に訴えるのではなく、
使うべきところにはしっかりお金を使うとして、
教育・医療・社会保障、犯罪対策・移民問題
などで労働党と細かな違いを出そうと試みている。

保守党が減税一本槍ではなく
行政の無駄をカットしながらも、
使うべきところは使うという政策を提示し、
政権担当能力を有権者に示そうとしたこと、
それが与野党の支持率接近の
本当の理由だったのだ。

「イラク戦争」はこれには関係がない。
なぜなら選挙戦が進むに連れて
世論調査で労働党が
一時10パーセント以上
リードを広げたのだ。

イラク戦争批判が
選挙の争点だとするならば、
こんなことは起こるはずがない。

選挙戦の途中でいきなり有権者が
イラク戦争支持に変わることは
ありえないから。

労働党が選挙戦前半で
支持を拡大した理由は

「政策をまじめに訴えた」

からである。

まず労働党党首・ブレア首相は
微妙な関係にあり
一時は選挙キャンペーンの中心から外していた
ブラウン財務相とガッチリと握手。

「良好な経済状況」を、
それをもたらしたブラウン財務相を
キャンペーンの前面に立てることで
有権者に訴えた。

そして、細かな政策を
精力的に訴えた。

「私が実行したい政策は3つあります。
『教育』と『教育』と『教育』です。」

これは政権発足当時に、
ブレア首相がよく使ったフレーズだが、
この総選挙で再び彼は、
何度も何度も繰り返し
このフレーズを使った。

ブレア・ブラウンのコンビは
医療・教育を中心に、
国内の懸案事項に取り組むことを
精力的に訴えたのだ。

これに対して保守党ハワード党首は
比較的評価の高かった
犯罪対策・移民政策を
前面に押し出して
キャンペーンを行った。

政策を細かく説明するよりも、
国民の感情にシンプルに訴える
イメージ戦略を採ったのだ。

ところが選挙戦中盤、
保守党の選挙対策担当が、
各選挙区の候補者に
こう指示する事態になった。

「あまり『犯罪対策と移民政策』を強調せず、
幅広く政策を訴えるように。」

あまりに犯罪と移民だけをアピールしたために、
保守党が「単一争点政党」であるような
イメージが広がってしまって、
支持が拡大しなかったことを
なんとか修正しようとしたのである。
(「単一争点政党」とは、
要するに右翼政党とか
環境や女性問題に特化した政党。
一般的に政権を担当するよりも、
1つの政策の実現を目指す。)

また、「イラク戦争批判」で
労働党支持者を取り込もうとした
自由民主党も支持が広がらず、
この時点では明らかに苦戦していた。

要するに、
「政策をまじめに訴えた」労働党が
「有権者の感情に訴えようとした」
保守党・自由民主党を
世論調査の支持率で
大きくリードしたということなのだ。

選挙戦の終盤4月28日、
英国各紙やTVが、
イラク戦争開始前に
ゴールドスミス法務長官がブレア首相に、
新しい国連決議なしのイラク攻撃は
違法の可能性があると助言した
秘密文書の内容を一斉に報じた。

その結果、
ゴールドスミス長官が、
イラク開戦にお墨付きを与える「法的見解」を
開戦派の圧力で翻したという疑いが強まり、
「ブレア首相の信頼性」に対する疑問が、
投票日直前になって再び高まった。

そしてイラク戦争に反対していた
第3党の自由民主党が(保守党は賛成だった)
ブレア批判票を拾うことになったり、
労働党支持者の投票率が下がるなどして
労働党は議席数を減らすことになった。

しかし、労働党は確かに議席数を減らしたが、
史上初の3期連続の政権を獲得したのも事実。
「イラク戦争」が選挙結果に
影響を与えなかったとは言わないが、
それはさほど重要ではなかった。

選挙戦序盤・中盤はほとんどイラク戦争の影響はなく、
後半の強烈なネガティブ・キャンペーンはあったが、
それは政権交代を起こすほどのインパクトはなかったのだ。

要するに、選挙は
内政問題に対する政策を争点として争われたのであって、
「最もまじめに政策を訴えた」労働党が
多少ネガティブ・キャンペーンに苦しみながらも、
確実に有権者の支持を獲得した、
というのが正確な総括であろう。

最後に1つ、
前回のエントリーで書いた、
「1つの仮説」
についてなのだが、
それを書いてみたい。

よく日本では、
「各政党が政策の違いを明確に示すこと」
が重要であるとされるし、
その違いを示せることが
政権担当能力を示すことであるように
言われることが多いのだけれども、
英国を見ていると
それはちょっと違うのではないかと
考えるようになった、

というのが私の「仮説」である。

前回総選挙(2001年)で労働党が大勝したのは、
保守党が減税一本槍の政策を訴えたからであった。
労働党との政策の違いは確かにものすごくあったのだけど、
それだけに政策の現実性の乏しさもはっきりしていて、
保守党は有権者の支持を得られなかった。

今回の総選挙、
選挙戦開始の時点で保守党が労働党に
支持率で肉薄したのは、
労働党との政策の違いがあまりなかったからであった。
減税一本槍でなく労働党的な公共投資もやるとし、
そのやり方で労働党との違いを見せようとした。
この姿勢が保守党の現実的な政権担当能力を示し、
有権者の支持を拡大させた。

選挙戦に入ってから、
イメージ戦略とネガティブ・キャンペーンに終始したのは
残念だったけれども。。。

考えてみれば、1997年の総選挙でも、
トニー・ブレア率いる労働党は
「ニュー・レイバー」として、
伝統的な労働党の政策ではなく、
保守党的な市場重視の改革政策に、
伝統的な社会政策をミックスさせるという
「第3の道」を訴えて政権奪取に成功した。

それまで労働党は18年間野党に甘んじていたわけだが、
保守党との違いを強調している間は
政権を獲ることができなかった。
保守党にある意味歩み寄り、
政策の違いを少なくし、
現実的な政権担当能力を示したことで、
初めて政権を奪取できたということだ。

つまり、英国では政権交代が起こる時は、
「与野党間の政策が明確に異なっていて、
野党の政策が支持を得た時」

ではなくて、

「与野党間の政策が接近し、
与野党ともに政策担当能力が
あることを示した時」

であるように思われる。

これはまだ仮説でしかない。
なぜなら、これは
1997年の総選挙以降という
短い期間を見て
英国の総選挙には
そういう傾向が出てきたのかなあ、
というふうに思うだけだからだ。

これが正しいかどうかは、
まだこの後何回も英国総選挙を
見てみないといけないね。

ただ、今回の総選挙を見ていて、
英国では「政党間の政策の違い」というのが、
右と左というような大きな違いではなくて、
細かないろいろな政治課題に関して
ほんとに細かい違いを争っていること、
有権者もそれを厳しくチェックしていて、
ごまかすことができないということを、
強く感じさせられた。

私は英国が日本より
政治に関して優れているとは
決して思わないのだけれども、
英国の「まじめに政策を訴える選挙」
というのは日本の政治家も有権者も
謙虚に見習ってみる必要が
あるんじゃないかな、とは思ったね。

それでは、また。





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最終更新日  2005年05月09日 11時30分42秒



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