NHKBS空旅中国「李白・長江をゆく」で流罪に処せられ、奥地夜郎への長江の川旅が淡々と放映されていましたので感銘を受けました。
李白(701年~762年)は、中国の盛唐の時代の詩人で、同時代の杜甫(詩聖)とともに最高の存在とされ、奔放で変幻自在な詩風から後世に「詩仙」と称されますが、その生涯は栄枯盛衰に満ちていて興味深いのです。
742年、長安に上京し宮廷に入り玄宗に仕え、以後3年間、朝廷で詩歌を作り続けた。抜群の才能を発揮する一方で、礼法を無視した放埒な言動を続けたことで宮廷人との摩擦を引き起こし、744年、宮廷を去ることとなった。
756年、李白は廬山に隠棲していたが、玄宗の第16子永王の幕僚として招かれたが永王は異母兄の粛宗が皇帝に即位したのを認めず、粛宗の命令を無視して軍を動かしたことから反乱軍と見なされ、追討を受けて斬られた。李白も捕らえられ、潯陽で数カ月獄に繋がれ、夜郎への流罪とされた。配流の途上の759年、白帝城付近で罪を許され、来た道を帰還することになる。この時の詩が「早に白帝城を発す」である。
赦免後の李白は、長江下流域の宣州を拠点に、再び各地を放浪し、762年、宣州当塗県の県令李陽冰の邸宅にて62歳で病没死した。
夫天地者万物之逆旅、光陰者百代之過客。
而浮生若夢、為歓幾何。
夫れ天地は万物の逆旅にして、光陰は百代の過客なり。
而して浮生は夢のごとし、歓を為すこと幾何ぞ。
上記の、「春夜宴桃李園序」は松尾芭蕉にも「奥の細道」の冒頭に大きく採用される中華文明を輝かす偉大な詩なのです!