本日からの現場は澄川駅周辺。
澄川駅より徒歩1分のアパートに住んだのは20代半ば、我ら夫婦が若かりし頃、充実して映画、文学、詩、思想、哲学、美術、演劇、写真、ジャズ、クラシック、ファミコンに取り組んだ時期である。
夫婦とも、お互い深夜まで働きながら映画は年に300本以上観て過ごした時期でもある。
近在には映画に関わったり、古本屋であったり、写真家の卵であったり、プロデュサーであったり、ピアニストであったり、俳優であったり、呑んべいっであったり、酒乱であったり友人も多く、毎夜に渡る宴は当時流行りだしたビデオデッキにてレンタルビデオ屋より借りた往事の名作を流す毎日。
近所に「名門酒会」なる酒屋があり、貧乏ではありながら、各地の地酒を楽しんで夜が更けた。
多くの猫と人が交わう澄川の記憶は、私のまだ書いていない青春小説であり、その後皆がプロフェッショナルになったり、失敗したり、当然のごとく離れ離れになっていくほろ苦い別れの映画にあってもよいシーンを想起させる場でもあったのだ。
当時においては思いも及ばなかった仕事をしつつ、街を懐かしんでいると、自主上映で毎回のごとく顔を合わせていた、ほんの少し阿部薫似の男が当時とまったく変わらない印象で歩いていた。
そして、その後仕事で入った路地は、以前釧路の劇団が公演した「メリーさんの羊」を観た「グリ・グリラ劇場」のあるアパートであって、俄かに眩暈を覚えたのであった。
ホンに澄川は時を経てもどこかに魅力の残る良い街なのである。
表題とは関係が無いのだが、本日の朝日新聞夕刊トップ「プロフ ご存知ですか」において、「前略」を運営する楽天が「禁止表現を見回る体制をつくっているが、登録件数が多く、問題の発覚は多くは通報がきっかけ」と説明している(文章がややおかしいな)記事を読んだのだが、ネットで商売をする楽天さん、「登録件数が多い」なる言い訳は、どこにも通じませんぞ…。
責任もって仕事をしましょうよ。