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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2013.01.11
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カテゴリ:政治・行政
 一般用医薬品(大衆薬)のネット販売について、最高裁が「国の規制は違法」として、ネット販売を認める判決を下した。

 最高裁は、ネット販売を一律に禁じる厚生労働省令の規定は改正薬事法に反し無効」とし、厚労省を相手どって違憲訴訟をしていた医薬品のネット通販会社ケンコーコムとウェルネットの販売権を認めた二審判決を支持、国の上告を棄却した。
 
 法律で規定をあいまいにし、省令や通達で禁止する――。お役所の常套手段だが、最高裁はこの問題点を突いて、ネット販売を自由にする判決を下したのだ。

 英断と言えよう。本来、行政の仕事は国民、消費者の利便性の追求にある。

 ネットで買えれば便利この上ない。世の中には歩くのが不自由な人や離島、山間地などに住み、求める医薬品を買うのが困難な人はたくさんいる。2009年6月に施行された改正薬事法の施行規則(厚生労働省令)は、そのことへの配慮がまるでない。

 同省令によりビタミン剤など副作用の少ない第3類の薬を除き、風邪薬、胃腸薬など第1、2類の大衆薬はネット通販や郵送では買えなくなった。店頭での対面販売が原則となった。
 
 このため、この省令が出て以降、「これまで通販で薬を買っていた人は困る」という苦情が広がった。

 ただ、当然のことながら便利でも安全性が損なっては困る。法は国民の利便性に加え安全性にも配慮しなくてはならない。

 厚労省の言い分はこの点にあった。ネット販売は便利でも、対面販売と違って安全性に不安があるというのだ。だが、以前から電話や郵送で医薬品を買っていて問題のない人はいっぱいいた。省令はその人々の不便をかけるのみならず、薬を買いにくくさせた点で健康に不安を与える副作用を生んだ。利便性と安全の追求という法の趣旨に逆行することとなったのだ。

 厚労省の説明には首を傾げる点が多かった。例えば、ネットで大量に買った睡眠薬で自殺者が出たという。しかし、店舗だって何店かで分けて買えば大量買いはできる。

 厚労省は「対面販売による服薬指導が大事」というが、ネットや電話でも対面販売と同様の服薬指導はできる。対面以上に正確できめ細かい説明のある例も少なくない。対面でなければ危ないという決定的な論拠はない。
 
 大体、薬局やドラッグストアで大衆薬を買う場合、薬剤師に相談することなく買う方が圧倒的に多いというのが実情ではないか。医者の処方箋を必要とする調剤と違って大衆薬はもともと危険性が少ないものに限っているのだ。

 では、なぜこんな省令を出したのか。背景に薬剤師団体やドラッグストア団体の政治的圧力と、天下りなどを通じた厚労省との癒着があるという指摘は少なくない。「安全」の名のもとに出される規制強化の裏に既得権の確保という狙いがあるのではないか、というわけだ。

 経済成長は消費者の求めるものを多様な方法によって自由に入手できるようにすることで促進される。だから、不要な規制をなくし、自由競争を広げるべきなのだ。

 それなのに、財政悪化の副作用も考えず、役人の天下りがはびこりやすい官民ファンドを創設したり、建設土建業を潤す公共投資をふやしたりすることに政治家も役所も執念を燃やす。

 規制緩和と行政改革を進めれば財政負担をかけることなく、経済は望ましい方向に進む。今回の判決はその一助になったと言える。





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Last updated  2013.01.11 15:59:28
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