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カテゴリ:政治・行政
規制緩和の行き過ぎが所得格差を広げ、地方の疲弊を招いているという批判が革新派(左翼・リベラル)だけでなく、保守派の間でも根強い。
例えば、商店街をシャッター通りに変貌させ、クルマで買い物できない高齢者を中心に 思われる。私が古いタイプの自民党政治に戻りつつあると批判している点だ。 だが、こうした「大きな政府」政策はバラマキであり、皮肉なことに結果として地方を疲弊させてきた元凶だった。行政による保護政策は自力で考え、工夫して事業を伸ばそうという意欲を失わせ、安易で怠惰な現状を変えようとしないからだ。 例えば、以前、このブログで「農家の個別所得補償政策などのバラマキ型の保護行政が農業の効率化をいかに阻害しているか」、また「林業の保護行政がどれだけ林業の近代化を遅らせているか」と書いた。 今回は商店街問題について、自由競争に委ねると、結果として産業が活性化し、住民のためにもなるということを、北海道を例に挙げて指摘したい。 北海道最大の生活協同組合(生協)であるコープさっぽろは、行き過ぎた多角化経営と、店舗面積100坪以下の超小型店から4000坪の大型店まで展開するという非効率な店舗展開で、スーパーのアークスやイオンなどとの競争に敗れ、1990年代末に経営が行き詰った。 ここから希望退職募集、従業員の給与削減、不採算店の閉鎖、赤字の多角化事業の整理という大規模なリストラを実施、消費者が求める店舗の展開と事業開拓に乗り出した。 新事業の1つに移動販売車の展開がある。北海道内のあちこちに散在する高齢者中心の小規模集落にはコンビニエンスストアもないところがある。そこに住む買い物困難者に向けてコンビニの半分程度の品揃えで移動販売車を派遣した。 今では52台、80町村で展開している。その品揃えがきめ細かい。高齢者中心の住民で、仏壇に供える仏花の需要が予想以上に多いことがクルマに積んだPOS(販売時点情報システム)のデータでわかり、主要商品として充実させた。 また、年金支給日には寿司パックの注文がふえることもPOSデータでつかんだ。年寄りは料理を作るのが大変。だから作りたての惣菜を車に積んで行くとよく売れることもわかった。 こうした努力こそが、地域住民のためになり、地域経済を活性化させる。役所主導の補助金行政が築いた商店街はそうした工夫が乏しいから、消費者にソッポを向かれ、結果としてシャッター通りとなった側面が強い。 コープさっぽろだけでなく、過去20数年、全国の生協がジリ貧になったのも、集客力確保の努力が足りず、スーパーやコンビニとの競争に敗れたことが大きな要因となっている。 北海道ではコープさっぽろだけでなく、道内最大のコンビニであるセイコーマートや中堅ドラッグストアのサッポロドラッグストアーなども人口の少ない過疎地に店舗を展開、地域住民の求める商品をよろずやのように品揃えして顧客を確保している。 それぞれが競争し、工夫をこらした結果であり、怠けていればライバルに顧客を奪われてしまう。競合は生協、スーパー、コンビニ、ドラッグストアという業態の垣根を越えて激化しており、それが地域住民のきめ細かいニーズに対応する原動力となって地域経済を活性化、雇用を創出している。 役所主体の補助金行政、保護行政は、こうした民間活力を阻害するだけである。「小さな政府」が望ましい。 今の日本では、規制緩和は「行きすぎだ!」と言われるぐらいでちょうど良い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.01.14 16:42:24
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