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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2013.02.04
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カテゴリ:政治・行政
 私は「小さな政府」論者で、このブログでも役所の肥大化の危険について、何度も指摘してきた。だが、参院選を無事に乗り切ろうと考える安倍政権は中小企業や農業など、票がとれそうなところには補助金や低利融資など投入しようと、前のめりになっている。

 4日付け日本経済新聞夕刊でも、そんな政策が一面アタマで取り上げられている。

<中小企業の借金返済を猶予する中小企業金融円滑化法が3月末に期限が切れるため、政府は激変緩和の支援に乗り出す。中小企業の再生を支援する公的機関の出融資枠を2013年度に3倍の1兆円に拡大するほか、総額で2000億円規模の再生ファンドを育てる。強引な資金回収がないか監視も強める。公的支援を拡充し、中小企業経営の軟着陸を目指す>

なんとも中小企業に甘い政策ではないか。親方日の丸、「おんぶにだっこ」とは、このことだ。

中小企業金融円滑化法は、中小企業から返済猶予の要請があれば、できるだけ応じる義務を金融機関に課すという法律だ。2008年秋のリーマン危機後に亀井静香金融相(当時)が主導した。

企業の独立心、自助努力を阻害し、国税の垂れ流しを助長するモラルハザード(倫理意識の欠如)いっぱいの法律なのだが、09年12月に施行され、当初は11年3月末で終わる予定だったのが、2回も延長された。それなのに--。
 
<金融庁は3月末の期限切れ後の倒産増を避けるため4月以降も円滑化法と同じ対応を続けるよう金融界に求めている。同庁は返済猶予に応じた企業への融資を不良債権に区分しなくて済むようにしている>
 
 あきれるではないか。2回も延長して返済を猶予しても再生できないような企業は自力で生き延びる道を見つけさせ、それでもダメなら倒産させるのがスジではないか。

 記事は、円滑化法で借金の返済猶予を受けた企業の経営再建はほとんど進んでいないと指摘している。そんなゾンビ企業を、税金を投入してまで存続させる意義がどこにあるのか。

 「支援対象は、独自の技術やサービス、商品を持ちながら業績が低迷しているような地域の中堅・中小企業」だと言う。独自の技術や商品、サービスがあるなら、長く低迷しているはずがないではないか。

それなのに、「12年度中に……地域経済活性化支援機構をつくり、機構が出資で信用補完し、民間金融機関の融資を引き出しやすくする。そのうえで、販路拡大や新商品の開発、業務提携などの経営ノウハウを提供し、潜在的な競争力を持つ中堅・中小企業の稼ぐ力を高める」という。
 
 自分で販路を拡大できるノウハウがなく、民間金融機関も見放したような企業を、役所が支援しようというのだ。大体、役所に経営ノウハウなんてあるのか?

 たぶん、それは「民間金融機関やコンサルタント機関の力を借りて」ということになり、そのための組織を作って役人の天下り先にするというシナリオになる。

 ダメな企業は市場から退出させて、産業の新陳代謝を促し、ベンチャー精神に富んだ起業家に新たな企業、事業を創造させ、雇用創出に結びつける。労働の移動が円滑化するように、職業訓練の場は充実させる。これが北欧などで成功した経済成長戦略の本道だ。ゾンビ企業が居座るような政策を続けていると、雇用が流動化せず、新規産業の発展の芽を摘んでしまう。

 農家の戸別所得補償制度がいい例だ。若いヤル気のある農業者が、ヤル気のない農業者から農地を借りて大規模化と効率化を進めようとしても、戸別補償制度ができて働かなくとも補償金が入るようにしたため、農地を貸すし農業者が激減した。このため、農業の大規模化や効率化がなかなか進まない。ゾンビ農家を温存するからである。これでは農業の成長は起こらない。

 しかし、自由市場化を促進する「小さな政府」にすると、政治家や役所の出番が減るので、彼らは「大きな政府」をめざす。民主党から自民党に変わっても、この点はまるで変わらない。

 「参院選まではしょうがない」と安倍政権をかばう声があるが、参院選に勝利した後に、こうした甘い政策を変更する意思が、安倍政権にあるのだろうか。





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Last updated  2013.02.04 16:43:59
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