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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2013.03.15
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カテゴリ:政治・経済
 東京大学の吉川洋教授は15日付け日本経済新聞「経済教室」で、「デフレの元凶は1998年以降の名目賃金の下落にある」として、次のように書いている。

 <賃金の下落こそデフレのコアであり、デフレ脱却の鍵を握るのは賃金の動向だ。先進国の中で日本だけがデフレに陥ったのも、98年ごろから名目賃金が下がり始めたからにほかならない。この点、景気下げ止まりと併せて、流通・自動車・電機などで賃金上昇の動きが広がり始めているのは、デフレ脱却に向けた明るい兆しだ>

 <ただし、首相の賃上げ要請だけでは不十分だ。そもそも国内投資の不振や賃金の下落など、デフレに陥るほどの日本経済の長期停滞が続いている究極の原因は、新興国が台頭する中で需要創出型のイノベーションが不足していることである。その意味でも、イノベーションを促す本格的な成長戦略が不可欠である>

 成長なくして賃上げなし。当然のことだが、経済が成長し、景気が良くなって企業がもうかり、それが賃上げを促す。逆に言えば、不況になって企業業績が低下し、賃金が下がり、デフレになったのである。

 日本企業が賃下げするのは失業を回避するためだ。その点、欧米とは対照的である。欧米の場合は企業業績が悪化すると、従業員を解雇し調整する。だから不況になって失業率は上がるが、賃金は下がらず、デフレになりにくい。
 
 現に、90年代半ば以降、米国では賃金が上がり、物価も上がった。日本は逆で、賃金も物価も下がった。2000年代に入って円高傾向になった大きな要因の1つも、物価下落で円の購買力が上がったことにある。
 
 だが、ここ数年はあまりの円高で輸出産業が打撃を受け、韓国や中国など台頭する新興国からの輸入がふえた。原発停止のために石油、天然ガスの輸入も急増して貿易赤字が拡大、これにアベノミクスの金融緩和政策が加わって昨年秋から円安が急ピッチで進んだ。

 輸出産業を中心に企業業績は回復し、安倍首相の賃上げ要請もあって、流通、自動車、電機などの産業界で賃金上昇が広がりだした。だが、業績回復はまだ十分ではない。だから、企業の賃上げにも限度がある。

 一方で、円安に伴い、輸入物価が上昇、ガソリン、食品などの物価が上昇しつつある。原発停止のもと電気料金の大幅値上げも必至だ。

 安倍首相も次期日銀総裁の黒田東彦氏も「2%の物価目標」を掲げて悦に入っているが、インフレ、物価高とは国民の生活水準を下げる「増税」なのだ。

 消費者の生活費が上がるだけではない。企業の生産・物流コストが上がって業績を圧迫するのは時間の問題で、今冬から来年にかけては賃上げどころか賃下げに追い込まれる懸念もある。今、株価が上がっているからと言って浮かれてはいられないのだ。

 13日のブログで紹介したように、政府・自民党が、消費増税の際に大手スーパーなどによる「消費税還元セール」を禁止する方針をとるのも、コスト上昇分を値上げできる環境を整え、弱小企業の業績悪化を防ぐのが大きな狙いだ。

 だが、それは物価高を助長し、消費者の生活を圧迫する。それだけではない。安売り規制は価格競争を弱めて、強い企業の技術革新やコスト引き下げ努力に水をかける。その一方、生産効率が悪く、商品開発力に欠ける企業を保護することになり、経済成長を阻害する。

 吉川教授がいうように、イノベーションこそ経済成長の要である。とすれば、イノベーションを抑える規制は極力排除し、自由な営業・生産活動を推進しなければならない。

 安倍首相にはその点をよくよく認識し、規制強化に動きがちな役所をけん制してもらいたい。





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Last updated  2013.03.15 14:16:55
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