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カテゴリ:政治・行政
池田信夫氏がブログで、自民党の憲法改正案の中にあるプライバシー権の規定は「言論弾圧につながる」と批判している。同規定はこうだ。
<第19条の2 何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならない> これについて、池田氏はこう書いている。 <これは個人情報保護法を憲法の条文に昇格させたようなものだが、……(個人情報保護法は)大混乱を引き起こしている……。法律用語でいう個人情報は、住所・氏名など個人を特定できるすべての情報なので、個人名はすべて規制対象になってしまう。つまりプライバシー権というのは、他人の自分についての言論をコントロールする権利であり、憲法に定める表現の自由に抵触する> 同感である。「自分の秘密(プライバシー)を他人が勝手に使うのを防止する」と言われると、「確かにそうすべきだ」と簡単に思うかもしれないが、憲法でプライバシー権を認めると、新聞、雑誌、ネット上で書いたものは、すべて差し止めされる危険があるのだ。 自由に記事や評論が書けなくなる事態の方がはるかに恐ろしい社会になる。 事実無根の誹謗中傷については現行法でも「名誉毀損」などで訴えることができる。さらに、規制を強めて、正確な情報でも「私の個人情報を勝手に、不当に取得した」などとして、損害賠償を請求されるような社会になったら、怖くて何も表現できなくなる。それに伴い監視、密告が蔓延し、新聞、雑誌、個人的なブログにまで糾弾されるようになる社会を想像してみればわかるだろう。 プライバシーが侵されることよりも、その方がはるかに息苦しい社会になると思いませんか? <FONTsize=3>個人情報の法的保護の考えは、2002年に小泉政権時代に提出され、その後廃案になって人権擁護法案や、2012年に野田内閣が閣議決定した「人権委員会設置法案」(安倍政権の誕生とともに実質的に消滅)に通ずる。 これらの法案は人権を擁護するとしながら、言論統制、言論弾圧が広がる恐れが指摘されている。このため、安倍政権では、こうした法案を否定した上で「個別法によるきめ細かな人権救済を推進」するとしている。 それなのに、今回の憲法改正案に言論の自由を侵す恐れの強い条文が入っているのはどうしたことか。自由を重んずるはずの自民党でも政治家(それにつながる圧力団体)の中には、やかましい言論を弾圧したいという望む者が少なくない。彼らはつねに、憲法をその方向に誘導したいと願っているのだろう。 一方で、自民党には言論の自由を尊ぶ勢力も根強い。今後の憲法改正論議の中で、上記の条文を消滅させるよう、望みたい。言論の自由を望む人間は今後どうなるか、注視していかねばなるまい。</FONT> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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