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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2013.09.23
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カテゴリ:政治・行政
  数日前の話だが、安倍首相が福島第一原発を視察し、東電に第5・6号機を廃炉にするよう「要請」した。
 
 理由は「事故対処に集中するため」という。だが、5,6号機は事故当時は定期検査中で損傷していないから、ただちに廃炉にする必要はない。何より廃炉の判断は東電の経営陣がするのが本道だ。

 ここから「安倍首相の行動は政治的スタンドプレーだ。汚染水処理や廃炉処理を自ら前面に出て実行する姿を内外に見せ付けて政権基盤を強化しようという狙いだろう」という声が強まっている。

 東電は安倍首相の要請に応えながら、政府の全面援助を得る狙いだろう。安倍首相の周辺も「悪いようにはしない」とか、水面下で東電と話してしているのだろう。法的ルールとは無縁の前近代的な政治の横行である。 

 安倍政権に期待していたのに、ガッカリである。これでは2011年春に当時の菅直人首相が中部電力の浜岡原発停止を要請したのと同じではないか。菅氏は東海地震の可能性の高い東海地域にある浜岡原発を止める力を見せ付けることで、福島原発事故で揺らぎつつある自身の政権基盤を再強化しようとした。

 実際、当時は原発の放射線汚染に対する恐怖感が広がっていたから、脱原発派、反原発派のみならず、一般庶民の間でも菅首相の措置に対し一時、「大英断」との評価が高まった。

 だが、戦前からある、こうした法的根拠のない不透明な行政指導が日本社会の自由を制限し、経済効率を損なうことは1970年代から指摘されてきた。1994年に行政手続法が施行され、根拠のはっきりしない政治や行政の要請をはねつけるルールが整ったのはこのためである。

 ところが、デフレ経済のもと、行政手続法は使われることもなく、再び「オカミ」のご威光がハバを利かす社会に戻ってしまった。

 これは法治国家の放棄と言っても過言ではない。これでは、時の政権や役所の意向で、ルール無視の行政が広がってしまう。人治の国、中国の政治を笑うことなどできない。

 人治の政治家は自らを賢人政治と言い、支持者も拍手するが、人は変わる。法規制がなければ、善政が専制、独裁に変わり、恐怖政治に転換する例は歴史上、数え切れない。法治国家はその犠牲と反省に立って築かれてきたのである。

 安倍政権は法に基づいた政治、行政を貫いてほしい。東電は法的根拠のない行政指導に従う義務はない。政府が5,6号機の廃炉を「強制」したいのなら、正式の経産省令で廃炉にする命令を出し、その法的根拠を明らかにするのが法治国家のあり方だ。廃炉には巨額の費用がかかるので、政府はそれに見合った損害賠償も必要となる。

 安倍首相の廃炉要請は、その点が極めてあいまいなのである。菅元首相の浜岡原発停止の要請もあいまいで、浜岡停止に伴う損失の補償も今もって不明確なままだ。

 そもそも、法的には定期検査を終えた原発は再稼動していいというのが、現在の法的なルールである。原子力規制委員会の新たな規制基準ができたので、それに則る必要はあるが、基準に合っているかどうかの検査が済むまでは、法的には、原発を稼動し続けていいのである。

 原子力規制委員会は人手不足とかで、審査が思うように進まない。ならば、その間動かしていて何の問題もないはずだ。

 原発を1日、動かさないと100億円の売上高が吹っ飛ぶ。年間動かさなければ、化石燃料の輸入費用に3兆8000億円もかかっている。

 廃炉費用も輸入燃料費も、どうやって負担するのか。政府か電力会社か、その辺の責任分担もまことに不明確だ。それでいて民主党政権が決めた、不透明「原子力損害賠償支援機構法」のもと、被災者の損害賠償や除染の費用は雪だるま式に膨れ上がりつつある。その金額がどこまで増えるのか、わからない。

 法治国家なら、債務超過に陥った東電を破綻させるべきなのに、それに伴う株主や債権者の損失負担の大きさや、政府が原発事故を直接負う破目に陥るの恐れ、民主党政権が法的処理から逃げたためだ。そこから巨額のモラルハザードが広がりつつある。

 今からでも遅くはない。法治国家として、すでに経営破たんしている東電を法的整理し、東電を管財人のもとで再建させることが肝要だ。被災者の補償や除染、廃炉処理は政府の責任で行い、管財人が運営する東電と切り離した東電の清算会社が政府の全面指示のもとで、被災者補償や除染などの実務的な処理を進めて行く。

 これに伴い、東電の株主の株は紙くずとなり、銀行も大幅な債権カットを余儀なくされるが、これは資本主義化のルールに従えば当然のことである。 

 重ねて言う。安倍首相が決断すべきなのは、民主党政権時代の無責任体制から決別し、東電を清算して国が全責任をもつことだ。

 現に、法的整理した日本航空は、国費を投入したものの会社として再生した。安倍首相は、不透明な廃炉要請などで民主党政権の犯した愚策の跡を追うことを即刻中止し、法治国家の本道に戻り、その道をまい進することが肝心である。





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Last updated  2013.09.23 19:53:21
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