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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2013.11.10
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カテゴリ:規制緩和
8日の日本経済新聞に、厚生労働省が規制改革に逆行する動きが掲載された。

 <厚生労働省は医療用医薬品(処方薬)のインターネット販売の禁止を法律で定める>

 処方薬も大衆薬も省令でネット販売を禁止していた。ところが、大衆薬のネット販売は、1月に最高裁が省令での規制を違法と認定した。この伝でいくと、医薬品の本丸である処方薬まで、省令による規制を違法とされかねない。それを恐れて省令ではなく法律で定めることにしたのだ。法律にしてしまえば最高裁も違法とは言えなくなるからだ。

 処方薬の市場規模は6兆円以上で大衆薬の10倍以上。これがネット販売されて価格競争が激化すれば、市場が縮小し、薬剤師や製薬業界や医師会、彼らを後押しする自民党などの族議員にとって打撃が大きい。厚生労働省の役人にとっても同様だが、厚労省の最大の打撃は権限の縮小なのである。

 池田信夫氏はブログでこう書いている。

 <(厚労省が粘る最大の理由は)現在の医療制度を守ることにある。ここで薬価に市場原理が導入されると今の社会主義的な医療制度が崩壊するからだ>

 <「法律にない禁止規定を省令で定めてはならない」という最高裁判決は、法治国家としては当然のことだが、官僚機構にとっては衝撃だった。法律では抽象的に決めて国会を通し、中身は省令で決めるのが彼らの常套手段だからである。ここで譲歩したら、日本は法治国家になってしまう。厚労省としては、役所が立法する官治国家を守り抜かなければならないのだ>

 「法治国家」ではなく「官治国家」――。これこそ役所のめざす国家のあり方なのだ。省益あって国益なし、である。

 6兆円以上の処方薬コストが縮小されれば、財政再建に役立つ。厚労省は「処方薬は重篤な副作用のおそれがあり、対面でなければ安全性が保てない」と反対するが、苦しい言い訳である。

 ネットで店頭で袖を通し、手に触れなければわからないと言われたアパレル・ファッション商品までネットで買う時代だ。

 対面、対面と言うが、ネットの向こうで販売しているのは薬剤師であり、ネット販売では「買い手への情報提供や情報収集が正確」「買い手が何度でも説明を受けられる」など、安全性の観点からも利点がある。ネット販売を推進している楽天は「医者から処方箋をもらって使用する処方薬は安全の面でネット販売に適している」と反論する。

 対面販売のほうが安全だという根拠は薄弱なのだ。現に米国や英国、ドイツなどではネット販売が認められている。米国では主治医から薬局に処方箋をメールで送り、そこから薬が届く。薬を処方してもらうためだけに病院で長時間待つ煩雑さがなくなる。価格競争で医療費も削減されるのだから、良いことづくめなのだ。

 それなのに規制強化をゴリ押しする厚労省。行政改革とそれによる成長戦略をめざすアベノミクスを無視するものではないか。

 楽天の三木谷浩史社長は今回の決定を理由に、政府の産業競争力会議をやめると表明した。海外では、この動きをアベノミクスの後退ととらえている。安倍政権にとっては打撃である。

 薬事法改正を小さな改悪に過ぎないと軽視するなかれ。ここで譲歩したら、蟻の一穴、行革、規制改革はなし崩しとなり、アベノミクスの「第3の矢」は終わってしまう。そう心得て、かつ「法治国家」路線を推進するためにもネット販売をつぶす薬事法改正(改悪)を阻止すべきである。

   





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Last updated  2013.11.17 18:19:00
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