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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2014.07.01
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カテゴリ:政治・行政
 安倍政権がようやく集団的自衛権の行使容認を決めた。1日の臨時閣議で、自国が攻撃されていなくても密接な関係にある国への攻撃を阻止する同自衛権の行使を認めるため、憲法解釈の変更を決定した

 これほど長く論議した後でも、行使容認に反対する声は根強い。日本経済新聞社とテレビ東京による27~29日の世論調査で、集団的自衛権を「使えるようにすべきだ」との回答は34%で「使えるようにすべきではない」の50%を下回った。

 憲法改正でなく憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認することには賛成が29%で、反対が54%だった。国連決議に基づき侵略国を制裁する集団安全保障での武力行使についても賛成の35%を反対の50%が大きく上回った。

 世論とは勝手なものである。怖い原発はゼロにすべきだという声が強い反面、電気料金の値上げにも反対意見が多い。

 原発ゼロなら、化石燃料コストのかかる火力発電を増やさざるをえず、その分電気代を値上げせざるを得ない。それを知ってか知らずか、「後は政府がなんとかうまくやれ」という心境なのだろう。

 財政悪化は困るが、増税はイヤ。ならば年金、医療などの社会保障は抑制せざるをえないというと、それもイヤという。それが世論だ。日本が攻め込まれるのはイヤだが、自分が戦うのもイヤ、米国を守るために戦うのは真っ平ごめんということだ。

 だが、米国の軍艦が攻められても守らないような日本を米国は助けに来るか。怒って安保条約を破棄するかも知れない。となると、単独で自国を守らざるをえないが、米国の後ろ盾のない日本は、中国の攻撃を誘発しやすい。尖閣諸島に中国艦船が攻め込んで来たら、どうするのか。

 「米国が助けにきてくれる」――。そう集団的自衛権に反対する論者は勝手に思い込んでいるのだろう。

 以上の問題は以前にも書いた。ここでは別の問題を指摘しておきたい。

 政府はなぜ、憲法の解釈でこれほど慎重に議論を重ねるのか。法的に問題のないことを議会や国民に説明し、自衛隊法など関連法の改正に結び付けたいということなのだろう。他国を守ることができるよう自衛隊の出動手続きなど、運用面で見直さねばならないからだ。

 一応、そう説明できる。でも、イザとなったら、日本政府は超法規的に行動をとるのだから、平時に今、それほど厳密に憲法解釈論議を重ねる必要はあるまいという声もある。

 好例が原発の再稼働である。現行法では原子力規制委員会に原発の稼働を認可する権限はない。規制委は新規制基準に適合するかどうか審査するだけであり、電力会社は原発を稼働させながら並行して審査を受けることができる決まりだ。

 だから、定期検査を終えた原発は再稼働できるはずなのである。ところが、すべての原発が停まっている。これは法を無視した異常事態と言っていい。だが、世論は原発が稼働しないのは当然と思っている。

 なぜか。福島の原発事故のショックが今も尾を引き、「原発は怖い。稼働させるべきではない」という世の「空気」が原発の再稼働を抑えているのだ。

 空気が変わると超法規的に法を無視した行動をとる。それが日本社会だ、と言わざるをえない。だから、もし中国軍が尖閣諸島に攻め込んで来たら、さらに余勢を駆って、沖縄に上陸してきて、それを阻止しようと米軍が動いたら、自衛隊も日米共同で、時に米軍を守りつつ中国に対抗するだろう。まさに集団的自衛権のなし崩し的行使である。

 イザという有事には、法は関係なくなる日本社会。だから、今の集団的自衛権論議は平時の遊びごとという意見もある。

 でも、それだと泥縄式で、自衛隊の準備も乏しく、米軍との共同歩調もとりにくく、効果的に中国軍に対処できない。軍拡著しい最近の中国はいつ、行動に出るかわからない。北朝鮮の脅威もある。そこで今から集団的自衛権の行使容認の憲法解釈をして、イザという時に備える。それが安倍政権の狙いだろう。

 基本的に賛成である。ただ、それなら安倍首相は、原発についても正当な法規制にしたがって、今でも再稼働できると表明してほしい。

 法律問題でやるべきことは集団的自衛権だけではない。






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Last updated  2014.07.02 08:43:05
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