90年代F1で最も美しいフォルムを持ったマシンF641/2
90年夏、晴天の下南フランスの小さな町でフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』が風ではためく掲揚されるトリコロールの国旗と共に流れた♪地元の英雄の優勝にスタンドは大騒ぎ・・・そうポールリカールサーキットで行われたF1フランスGPで地元の英雄アラン・プロスト(フェラーリ)が優勝したからだ。このレース、レイトンハウスCG901を駆るイヴァン・カペリがレース中盤までトップで周回していた。誰もがカペリの初優勝か?と思われていたその時プロスト駆るフェラーリがひたひたと差を縮め、レースが終盤に差し掛かった時にズバッと一気にオーバーテイクしトップに立ちチェッカーを受けた。このレースでの英雄はもちろんカペリであったが、プロストは前戦メキシコGPではまさかの予選13位から優勝し、このフランスGPでも優勝は無理か?と思った時の終盤での逆転による優勝。セナ・プロストの火花の飛ぶようなタイトル争いは秋の日本GPにてあっけない幕切れを迎える。この641/2は前年デビューの641の空力を煮詰めまた当時問題を抱えていたセミオートマチックのギアボックスの信頼性を高めたモデルで90年サンマリノGPでデビューした。このミニカーはポルトガルのミニカーメーカービテスグループの『ONYX』ブランドより発売されたモデルである。当時はミニチャンプスやマテルもまだF1ミニカーを製造しておらずこのONYXのみがF1ミニカーを製造していた。価格も¥2200と今のF1ミニカーよりも半値であったがまだこの頃はディティール云々が叫ばれてなかった時代であった。このフェラーリのミニカーにはきちっとマルボロのロゴが入っている翌年91年から模型においてもタバコロゴの表示できなくなった。また91年田宮模型から1/12のビックスケールで『641/2』のプラモデルが発売された。その模型を手がけたのが、今やスーパーGTのミニカーを手がける『エブロ』ブランドのMMP社の代表である木谷真人氏が田宮模型で模型設計技師をしていた時代に手がけたモデルである。