『姿三四郎』 城山湖
峯の薬師の「姿三四郎決闘の場」が気になって図書館で『姿三四郎』を借りて読みました。「姿三四郎」富田常雄:著 新潮文庫上・中・下巻明治は鹿鳴館時代を背景に、実在の人物・講道館柔道の四天王の一人と言われた西郷四郎という人が主人公・姿三四郎のモデルだそうです。もっと新しい頃の話かなと思っていたのでちょっと意外。小説の中では・・・明治の文明開化のあおりを受けて“柔術”などの日本の伝統武術が廃れていくなかで、「人間の道」としての“柔道”を興そうとする矢野正五郎。主人公の姿三四郎は、その正五郎の弟子・四天王の一人ですが、もう、すごいのなんのって!その強さのために次から次へと決闘・死闘を挑まれる三四郎。決闘の相手も“柔術”家だけには限られなくって、空手の超人兄弟や、アメリカ人のスパアラの選手(ボクサー)とか、ラスラ(レスラー)のスペイン海軍大尉とかお相撲さんとかさらには剣の達人、さらにさらに忍者まで!ついには正体不明の蜘蛛男とかいうのも出てきます。で、峯の薬師の決闘の話ですが、相手は九州出身の空手の達人・檜垣兄弟。この兄弟は3人兄弟で、一番上の兄は当代きっての柔術実力者。日本の柔術界を牛耳ろうとする腹黒なちょっとイヤなヤツです。おまけに三四郎とは恋敵です。この一番上の兄は、三四郎との決闘に負けて、三四郎の高潔な精神に触れて己の生き方を恥じ、潔く柔術界から身を引きます。ところが残りの2兄弟がだまっちゃいなかった。この2兄弟は空手の達人なのですが、武術の達人というよりも、ただ自分より強い者は生かしちゃおけない一心の獣のようなヤツら。この2兄弟が三四郎に決闘を挑み、決闘の場所に選ばれたのが峯の薬師だったわけです。雪深い峯の薬師で、三四郎に投げ飛ばされて力尽きた兄は雪の谷間へ滑り落ちてしまいます。三四郎は危険を冒して雪の谷を下り彼を助け、檜垣兄弟の仮住まいの小屋に運び込むと、そこには、病床について起き上がることもできない檜垣弟が。三四郎は小屋に泊り込み慣れない雑炊などを作り、兄の手当てに弟の看病。体の不自由な兄弟に雑炊の椀を持って食べさせてあげるのです。兄弟の状態が落ち着いたのを見届けて、翌朝小屋を出ます。その時、兄にすらも口をきいたことなく獣の心を持っていると言われていた弟がたった一言・・・ 「負けた・・・」そして、子供のように大粒の涙を流すのでした。ええ話やなぁ・・・。この兄弟の行く末はちょっと哀れです。後日、三四郎を待ち伏せして無理やり決闘を挑み襲い掛かる檜垣兄。その後ろ姿を見ていた弟は何を思ったか実の兄に襲い掛かり、兄は弟の攻撃をかわしているうちに、ついに崖の端から姿を消してしまいます。つまり、落っこちたか・・・。「何故に?」と問う三四郎に、檜垣弟は「お前が好きだからよ」と。そして兄の後を追って身を翻し風のようにその崖を降りていきました。その後、この兄弟がどうなったか書かれてません・・・。文庫本の尾崎秀樹氏の解説によると、『姿三四郎』は戦時中、情報局の推薦図書になったとか。三四郎の師匠の目指す「伝統的民族精神に根ざす人間の道としての“柔道”」の教えが当時の世相と重なったためでしょうか。そんなことは知らずとも、次から次へと沸いてくる強豪と三四郎との因縁や、話が進むうちに彼を取り巻く人々の複雑にからんだ関係が飽きさせずに一気に読めてしまいます。ほとんどの決闘の相手が三四郎とあい対して負けを認めた後には、それまでの自分の生き方を見つめ直し、まるで生まれ変わったかのようにいい人になっちゃったりして・・・^^なんだかこんな感じのアニメがあったなぁ~、あ?○ラゴンボール!?などと思ったのでした^^;黒澤明監督の第一回監督作品にもなっているそうですね。 出演者の名前、知らない人ばっかりだわ・・・。見てみたいです。レンタルビデオ屋にあるかしら。 漫画化もされてるようです 21日に城山湖に行ってきました。3月に咲いていた花に↓実ができてました↓他にもこんな花が・・・。↓これは、もしかしてフタリシズカ?↓・・・シズカが五人・・ これは何だろ~?面白い形^^野鳥観察休憩所では やっと鳥に会えました^^