極北の海戦
「極北の海戦」を読みました。第二次世界大戦、ドイツの侵攻により窮地に陥ったソビエトを助けるため,支援物資をアメリカ・イギリスから北氷洋ルートで送る話です。支援物資を送るルートとしては、 1.シベリア経由 アメリカ→太平洋→ウラジオストク 2.ペルシャ湾経由 アメリカ→大西洋→喜望峰→インド洋→ペルシャ湾→バスラ 3.北氷洋経由 アメリカ・イギリス→アイスランド→北ロシアの3ルートがあります。このうち、本書で扱っているのは、北氷洋経由の1941年9月~1942年7月までのPQ1~PQ17船団の行きと帰りまでです。最終的にはJW67(途中でPQより名称変更 PQになおすと36)まで船団は組まれています。輸送船団が直面する過酷な自然環境、ドイツ軍による妨害(爆撃機や潜水艦など)が詳細に書かれています。とくに最後のPQ17船団については、出港から船団の解散とその後、さらに途中のドイツ軍爆撃機や潜水艦などによる攻撃が、かなり詳細に記載されています。ちなみに、下の図は「極北の海戦」とネット上の資料から作成したものです。本書にもかかれてますが、夏はドイツの索敵を避けるようにして北側へ、冬は氷海にためやむなく南側の航路となっています(その代わり天候は常に悪い)。輸送日数は、はじめは出発地にもよるが夏は15日程度、冬は10日以内に目的地にたどりついています。PQ13船団以降はドイツの妨害もあり日数は多くなっています。イギリスの本国艦隊はオークニー諸島のスカパ・フローから、ドイツ艦隊はトロンヘイムにいました。縮尺がいいかげんな図ですが、結構近いところにいるような感じがします。HR船団はハリファックスからレイキャビクへ、HR船団はリヴァプールからレイキャビクへ行く船団を示しています。また、本書の中にはカタパルト船なるものが出てきます。これは、通常の商船にカタパルトを装備しハリケーン戦闘機を1機搭載したものです。ドイツ軍爆撃機に対して効果はあった(ドイツは空母がないので戦闘機がいるとは思っていないため)。当然、カタパルトのみであるため「発艦はできても着艦はできません!」状態である。戦闘終了後は味方艦の側に着水して救助を待つのだが、失敗すると怪我をしたり亡くなったりと大変です。輸送船団の防空としては、カタパルト船→商船空母→護衛空母という流れになるのですが、この辺は「護衛空母入門」に載っています。極北の海戦護衛空母入門