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カテゴリ:奄美の自然
笠利町の海岸沿いに生えているモクマオウの木々。 松に少し似ているこの木は、もともと奄美に生えていたものではありません。 成長が早いので、戦後防風林として植えられましたが、 増えすぎて、もともとあった生態系に悪影響を及ぼすとして 特に小笠原などでは、大きな問題となっています。 この森を、このそばの地元でモクマオウが植えられる前後子ども時代を過ごし その後、小学校の教員生活を経て退職後再び地元に住んでいる60代の女性と 歩きました。 彼女いわく、 ”私が小さい頃、砂浜から砂が集落にしょっちゅう飛んできて 屋根に積もることもあり、大人たちは対策に悩まされていた。 その解決策として、昭和27.8年ごろ、役所が海岸に2列だけ モクマオウを植え、そのおかげで砂の被害はなくなり、 集落の人たちは珍しがって、自分の屋敷にもモクマオウを植える人もいた・・” (屋敷跡に植えられているモクマオウ) ”けれども、2列だけだったモクマオウは、 見る見るうちにどんどん増え、砂浜を侵食するようになった・ 今私は、モクマオウが島の生態系に悪影響を及ぼすものであると知っている。 けれども、モクマオウのおかげで、集落の人たちが助かった面もあることを 知ってほしい・・ そして、モクマオウがなかった頃、 森には今のようにリュウキュウアサギマダラが越冬したりしなかったし、 こんなにたくさんの蝶や鳥が来ることもなかった。 モクマオウを全部切ったほうがいいという人もいるが、 もし全部なくなったら、砂が再び集落に飛んでくるかもしれないし 蝶や鳥がいなくなってしまうのでは?と思う・・・” (モクマオウの葉で越冬するリュウキュウアサギマダラ) 何事にも表と裏、いい面とそうでない面があります。 モクマオウが植えられて約60年。 そこには、すでに新しい生態系が生まれているのです・・ もともといたもの 今いるもの そしてすぐそばで暮す人たち みんなが幸せに生きるために いったいどうすればいいのだろう? いろいろ考えさせられるお話でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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