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カテゴリ:大連の暮らし
先日、うちの奥さんが、妊娠8ヶ月の大きなお腹を抱えて、マンションの敷地内を歩いていたときのことです。突然、見知らぬ老婦人から、声をかけられたんだそうです。
老:「ちょっとあんた、妊娠してるね?」 妻:「そうですけど。何か?」 老:「私は計画生育委員会の者だけどね。このマンションに住む妊婦は、すべてうちの名簿に登録しなくちゃならないの。あんた、まだ登録してないでしょ?」 計画生育委員会、というのはもちろん、あの有名な「一人っ子政策」を着実に実施するために、各地区に設けられた組織です。例の老婦人の話によると、妊婦の定期健診などのほか、産後のアフターケアも行っているらしい。ですが、一人っ子政策の対象となるのはもちろん中国人(中国国籍保持者)だけで、私の妻はオーストラリア国籍だから、もともと関係ないはず。 妻:「登録はまだだけど、私は外国人だから、登録の必要はないでしょう?」 老:「えっ?・・・あんた外国人なの?全然そうは見えないけど」 妻:「私は中国人じゃなくて、オーストラリア国籍の華僑なの。分かった?」 老:「たとえ外国人でもね、このマンションに住んでる妊婦は、すべてうちのシステムに登録しなくちゃならないの。あんた、身分証持ってる?」 妻:「今は持ってない。家に置いてきた」 老:「あんた、何号棟の何号室に住んでるの?」 妻:「○○号棟の×××号だけど・・・何で、そんなプライベートなことまで聞かれなきゃならないの?」 その後、妻は例の老婦人に、生年月日だの、家族構成だの、プライベートなことを根掘り葉掘り、いろいろ聞かれたんだそうです。妻の育ったオーストラリアは個人主義の国で、赤の他人にプライベートなことを聞かれることは滅多にないもんですから、余計、戸惑いとともに、不快感が湧き起こってきました。 妻:「分かった。登録はするけど、いま急いでいるから、後回しにしていい?」 老:「後回しって、あんた、何時頃に帰ってくるつもりなの?」 妻:「12時前には帰る予定だけど・・・」 老:「分かった。12時きっかりにあんたの部屋に行くから、それまでに、絶対に帰ってきなさいよ。分かった?絶対よ。うちのマンションは、生育計画に熱心に取り組んでいるんだから!」 「熱心なのはいいけど、私は外国人なんだから、そもそも関係ないでしょう?」という、心のつぶやきを噛み締めながら、妻は海賊版DVDを買いに、繁華街に向かって歩いていきました。 かくして、12時になりました。「ピンポーン!」・・・予期していた音が鳴り響きました。インターフォン越しに覗き込むと、そこには、予期した通りの人物が立っていました。私たちの住まいは、3階。この時点では、例の老婦人は1階の入口にいました。 妻:「いま、パスポート取ってくるから。ちょっと待っててね」 約1分後、オーストラリアのパスポートを手に、1階の入口に行こうとして、ドアを開けたその瞬間、なんと、 老婦人が、すぐそこに立っていたのです・・・わずか1分足らずの間に、3階まで、駆け上がってきたようです。これには、妻もビックリ!! かくして、妻の名前は、見事に計画生育委員会の名簿に載ることになったのです。合掌。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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