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カテゴリ:大連うまいもの探検隊
大阪府民は幼稚園のままごとで標準語になる
これは、日本テレビのバラエティ番組「秘密のケンミンSHOW」で放映されたビデオクリップです。 大阪の幼稚園に通う4~5歳くらいの子供たちが、先生や他の園児としゃべるときは大阪弁なのに、ままごとをする時だけ、見事な標準語になるという・・・。 園児たちのやりとりがとても可愛いだけでなく、多言語教育の題材としても秀逸。もし私が将来、どこかの大学の客員教授になって、「子供をマルチリンガルにする」みたいなテーマで講演するならば、これを真っ先に題材として取り上げるでしょう。 番組のゲストは、大阪の子供たちの「見事なバイリンガルぶり」に舌を巻いていましたが、国際結婚して、二人の子供を多言語環境で育てている私に言わせれば、「これは子供たちに、当たり前に備わっている言語学習能力」だと感じています。 ビデオクリップを見て、思ったこと。 1)幼い子供は、周りの環境から耳に入ってくる言葉を、無意識のうちにコピーして、口に出すことができる 上の大阪の子供たちは、「サザエさん」、「ちびまる子ちゃん」のような、標準語のテレビ番組を、何度も何度も観て、頭のなかでコピーすることにより、標準語が自然に口をついて出るようになったようです。 一見、何の変哲もない話に聞こえますが、よく考えれば、実は凄い能力です。たとえば、大阪弁環境で育った人が、大人になってから、標準語のテレビをいくら見ても、あの子供たちのように、きれいな標準語になるとは思えないからです。 しかも、子供たちは無意識のうちに、この難作業を見事にこなしています。無意識ということは、頭のなかで大阪弁を標準語に置き換える作業をしなくても、反射的に標準語が出てくる。つまり「二つの言葉を身体で覚えている」わけで、その意味ではあの子供たちこそ、「真のバイリンガル」と言えるのでしょう。 2)幼い子供は、相手や文脈によって、言語や方言を使い分けられる 上の大阪の子供たちは、先生と話す時や、他の園児と普通に遊んでいる時は大阪弁ですが、ままごとという、特別な文脈になった時だけ、標準語になります。しかも、「大阪弁から標準語」、「標準語から大阪弁」がほぼ自動的に、一瞬で、きれいに切り替わります。 私の娘ソフィア(4歳)を見ていても、同じことがいえます。 私や、日本のおじいちゃん・おばあちゃん、幼稚園の先生や生徒と話す時は日本語で話す。 妻や、その兄弟姉妹、近所のインド人と話す時は英語で話す 妻の実家のおじいちゃん・おばあちゃんと話す時は中国語で話す といった3言語切り替えが、ほぼ自動でできています。そのパターンが「日本語から英語」、「英語から中国語」、「中国語から日本語」であっても、障害は全くみられません。 3)幼い子供は、複数の言語や方言を、脳内にきれいに分類して記憶できる 上の大阪の子供たちの話す言葉は、大阪弁にしろ、標準語にしろ、完璧。大阪弁をしゃべっている時に標準語が混じったり、その逆になったりする現象は一切見られません。 おそらく、頭のなかに、大阪弁の引き出しと、標準語の引き出しがあって、ごっちゃにならないよう、きれいに分類されているのでしょう。 娘ソフィアの例を挙げると、日本語も、英語も、中国語も、いずれもネイティブと言って良いほど、自然できれいで完成度の高い言葉が出てきます。多言語環境ゆえに、言葉が中途半端にならないかを心配した時期もあったのですが、それは全くの杞憂でした。 このように、幼児の言語習得能力は、大人の想像をはるかに超えるものがあります。 ところが大人に近づき、一つの言語が確立してくると、その他の言語を習得する回路が、急速に閉じてくるようです。だからこそ、日本人が英語習得に、あれだけ苦労しているのでしょう。 鉄は熱いうちに打て・・・ジオスやベルリッツみたいな英会話学校に行かせなくても、幼児期から英語環境を与えてやれば、子供は英語を難なく、身体で覚えてしまいます。 だからこそ私は、二人の子供たちには、できるだけバラエティ豊富な多言語環境を与えてやりたいのです。環境さえ与えれば、子供たちは大人の期待をはるかに超える能力を発揮してくれるはずです。 やり方によっては、2つ、3つ、いやそれ以上の言語のネイティブになれるはず。子供の素晴らしい能力を、どんどん伸ばしてやりたいものだと、いつも考えています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年10月17日 21時55分07秒
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