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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会
当日はジャパン・プレミア試写会と言う事で映画上映前に、クエンティン・タランティーノ監督、出演者のブラッド・ピット、メラニー・ロラン、ジュリー・ドリュフェスの舞台挨拶があって映画が上映された。タランティーノはサニー千葉(千葉真一)から貰ったと言う侍風のスーツで登壇し上機嫌に喋りまくる。
★ポストカード5枚セット付き!(外付け)【トキメキ特価!】 【初回仕様!】 イングロリアス・バスターズ(DVD) ◆27%OFF! 映画の話 1941年、ナチス占領下のフランスの田舎町で、家族を虐殺されたユダヤ人のショシャナ(メラニー・ロラン)はランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)の追跡を逃れる。一方、“イングロリアス・バスターズ”と呼ばれるレイン中尉(ブラッド・ピット)率いる連合軍の極秘部隊は、次々とナチス兵を血祭りにあげていた。やがて彼らはパリでの作戦を実行に移す。 映画の感想 タランティーノ監督は前作「デス・プルーフ」で毒を吐ききったのか、一皮向けて大人になった監督は更に作風を進化させ会話によるサスペンスで魅せる。それもタランティーノ初の戦争歴史物である。映画はナチ占領下に置かれたフランスを舞台に、ナチに両親を虐殺された少女の復讐劇と並行して、「ナチ撲滅」と言う任務を与えられた連合軍特殊部隊“イングロリアス・バスターズ”の活動が描かれる。映画はチャプター1~5と1章節ずつが独立した形で描かれ、最終的にはそれぞれの章が融合して大団円を迎える形がとられている。 映画は同時期公開のサム・ライミ監督「スペル」と同じように70~80年代に使われたユニバーサル・ピクチャーズのロゴマークで幕を開ける。 以下ネタばれ注意 本作は戦争を舞台にした作品であるが劇中の中で流れる戦争映画のシーン以外の戦闘シーンは無い。しかし、タランティーノは戦時下に置かれた人々の狂気を見事に炙り出している。映画冒頭に登場して物語を牽引する“ユダヤ・ハンター”と呼ばれるランダ大佐しかり、連合軍から指令を受けて“ナチ狩り”を任務とする極秘部隊“イングロリアス・バスターズ”しかり、人種や生まれた国や喋る言葉が違うだけで、人が人を平気で殺す事が許された狂気の沙汰がシニカルに描かれる。 ユダヤ人が潜む山小屋まで自ら先陣を切って乗り込むランダ大佐は、物腰は柔らかく多国語を操り、人一倍洞察力に優れ、相手の会話から矛盾点を突き自白させてしまう尋問のプロフェッショナルだ。いざとなれば相手に直接制裁を加える恐怖の象徴である。それに対して、バスターズは民間人になりすまし、戦地に侵入してナチ狩りをする。彼らは戦利品の代わりに相手の頭部の皮を剥ぐというインディアンのような事をしている。彼らの存在はナチスも把握しておりヒットラー総統も戦々恐々としている。戦時中なのでどちらが悪いかは言及できないが、観客の目から見ると人間狩りを任務とする“同じ穴の狢”のようにも見える。 映画は今までのタランティーノ監督お得意の直接的な暴力描写は影を潜め、監督&脚本家として腕を磨き抑制された会話によるサスペンスが光る。タランティーノのデビュー作「レザボア・ドッグス」や「パルプ・フィクション」の頃を思い出させてくれる会話劇は秀逸だ。物語の趣旨は今年公開の「ワルキューレ」とも共通するもので、真面目に史実を映像化したブライアン・シンガー監督に対して、ifと言うキーワードを膨らませたパラレルワールドで物語を展開させたタランティーノの独創的な世界観が光る。キャラクターの掘り下げも上手く、ランダ大佐はタランティーノが作り出したキャラの中でも1、2を争う位のヒールキャラであろう。役者の組み合わせでもブラピと「トロイ」で共演したダイアン・クルーガーを配していたり、タランティーノ独特のキャスティングも面白い。彼らしい瞬発的なバイオレンスやシニカルなユーモアも健在だ。 映画の中でバスターズの捕虜となり解放するナチの額に、ブラピ演じるレイン中尉がナチのシンボルであるカギ十字をナイフで切りつけて刻印をするのだが、その姿を見た部下が「中尉も上手くなりましたねぇ」と誉めると、中尉は「練習する事で上手くなる」と返答している。この言葉は正に監督としてのタランティーノを客観的に表現しているようで、自分の作品作りに対しての自己評価の様に聞こえた。映画の最後にレイン中尉が発する「最高傑作だ」と言う言葉がタランティーノの映画に対しての自信の表れの様に聞こえてしまった。 映画「イングロリアス・バスターズ」関連商品 【予約】サントラ/イングロリアス・バスターズ [CD] [初版・映画ポスター] イングロリアス・バスターズ (タランティーノ新作) [D-DS] [初版・映画ポスター] イングロリアス・バスターズ (INGLOURIOUS BASTERDS) [C-DS] タランティーノがインスパイアされた作品。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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