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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:劇場鑑賞
シアター6にて鑑賞、客入りは7~8割くらい。上映寸前に入ってきたアジア系外国人3人組が、自分達が座った席(スクリーンから3列目くらい)が気に入らないのか映画冒頭に大声で喋ってうるさい。
2012 スタンダード版 映画の話 2009年、リムジン運転手のジャクソン・カーティス(ジョン・キューザック)は、子どもたちとの旅行を楽しんでいた。ところが、偶然湖底に沈む巨大な研究施設を発見し、地球が滅亡に向かっていることを知る。この危機から逃れる手はないものかと模索するジャクソンだったが、すでに天災は地球上の至るところで起こり始め……。 映画の感想 ドイツ人監督ローランド・エメリッヒは「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」と言ったディザスター・ムービーを作り、観客に恐怖を植えつけた監督である。そのエメリッヒが、今度は“マヤ歴による2012年終末論”を題材にした作品を制作したと聞き、見る前は「またかよ!」と突っ込みを入れていたが、この作品はハッキリ言って「凄いです」。監督は観客の予想を2~3倍上回る仕掛けを用意したエメリッヒ・マジックの連続には感服するしかない。エメリッヒ映画に対して変な先入観に惑わされずに是非劇場の大スクリーンで堪能する作品である。 以下ネタばれ注意 映画は09年のインドで地熱の急上昇に気づく学者エイドリアンのエピソードから幕開けて、2012年のレッドラインに向けて科学的理論やマヤ歴の根拠はほどほどに、サクサクとエピソードが積み重なるパターンは、明らかにスティーヴン・スピルバーグ監督「未知との遭遇」以降の演出を吸収したエメリッヒ流の演出が続く。エメリッヒは昔からスピルバーグ演出を巧みに模倣していて、今回も臆面も見せずに模倣しまくっているが、映画全体を見るとある意味スピルバーグを超えてしまったかもしれない。 映画はカリフォルニアの地割れを口火に、ロスアンゼルスの大地震とディザスター・ムービーの真骨頂と言える映像の連続に仰天しつつ、驚愕のVFXクオリティに感動してしまった。この映画の展開は基本的に主人公関係者以外は虫けらのごとくにバッタバッタと死ぬパターンだ。そして、どんなピンチでも主人公達は生き残る在り得ない展開に目を瞑れれば、本作は大いに楽しめる。 終末論映画は時代と密接にリンクしているという。時代が不景気になると終末論映画が作られる法則がある。日本がオイルショックに陥った70年代には「日本沈没」「ノストラダムスの大予言」と言ったディザスター・ムービーが日本でも作られた。現在のアメリカはサブプライムローン問題、リーマン・ブラザーズの破綻など、不景気の真っ只中であり、そんな世相の閉塞感を反映して本作が生まれたのも納得である。 しかし本作は邦画が作り出すディザスター・ムービーとは大きな違いがある、それは悲壮感であろう。先にも書いたとおりに、どんな危機的状況でも主人公は生き延びる展開には悲壮感をまったく感じられない。観客もそれが判っているので画面上で起こる惨劇とは裏腹に安心して映画を楽しんでいる。しかし、監督の演出に抜かりは無い。崩壊してゆくロスアンゼルスの街を飛行機で脱出した主人公たちであるが、その崩壊する街を飛行機の窓ごしで見ていた主人公の娘が涙を流し泣いている。ここで観客は「ハッ!」とさせられる。映画を見ている観客はエキサイティングな描写を楽しんでいたが、登場人物たちは自分達の置かれた状況に苦しんでいる事に気づかされる。「さすがエメリッヒ!」と思わせる、こう言った細かい人物描写の積み重ねで観客はドンドン映画の世界に引き込まれてゆく。 本作は登場人物の設定もポイントであろう。民間人として大惨事に巻き込まれるカーティスの目線と、学者として政府の側から大惨事を冷静に見つめ対処するエリックと言う、二人の主人公がいるおかげで話が一本調子にならず、現場目線と政府目線を交互に描き全体像を観客に把握させる事に成功している。 そして映画は大惨事だけを描いた作品ではない。映画後半には窮地に立たされた人類が選択する驚愕のプランが描き出される、それはエメリッヒ流の“ノアの箱舟”である。選ばれし者と共に種の保存や芸術作品の保存を目的とした箱舟を登場させて、政府や金持ちのエゴや貧しい人々の選択など妙にリアルに描くエメリッヒの視線は、どこかアメリカを外から見てきたドイツ人監督ならではの冷ややかな視線の様に感じた。そんなエメリッヒはサービス精神を忘れていない。「ポセイドン・アドベンチャー」を思わせる自己犠牲や家族愛などアメリカ映画が描いてきた良い所を随所に盛り込んだクライマックスを用意して最後の最後まで手を抜かない。希望と余韻を残した幕引きも上手く、エメリッヒ流ディザスター・ムービーの集大成として有終の美を飾る作品として文句の付け様が無い、面白かった。 映画「2012」関連商品 2012 オリジナル・サウンドトラック ★枚数限定★[初版・映画ポスター] 2012 (ローランド・エメリッヒ) [ADV-SS] ★ローランドエメリッヒ監督作★[初版・映画ポスター] 2012 [REG-A-SS] インデペンデンス・デイ 新生アローランド・エメリッヒ 【新品】洋画DVD デイ・アフター・トゥモロー ’04米【05P24Nov09】【24Nov09 新規店】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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でも、私には観られないかも知れませんね。
ちょっと迫力あり過ぎるかも・・・。 血とか簡単に出てましたか?(^_^;) マサラさんが絶賛するくらいなので 是非観たいのは山々なんですけど・・・。 (2009.11.28 14:56:45)
これは期待をしていなかったのですが、凄く面白かったですよ。
たしか直接的な残酷描写はそんなに無かったけど、人がバッタバッタと大勢死にます。 かなり心臓に悪いシーンもありますので覚悟が必要な作品です。 (2009.11.28 23:02:10)
・・・だと思って何も考えずに見れば、かなりありがちなことかもしれないなーと思ったら、おっしゃる通り結構観れました(笑
予想★1だったんで(!)、これは大きな拾い物!? 笑 (2009.12.09 06:29:22)
足屋のオネエさん
>すごかった!見終わったときに、目がどわーっと疲れてました。 >大スクリーンで見ておいてよかったです。 >ありがとうございました。 ----- 本作のVFXは「素晴らしい」の一言です。 何処までが実写で、何処からがCGなのかサッパリ判らないクオリティには終始トリハダが立ちました。 他のブロガーさんからは評判が悪い作品ですが、監督自信がVFXについて理解力があるから、ここまでの映像が作り出せたのは言うまでにありません、エメリッヒ天晴れです。 (2009.12.09 17:49:54)
rose_chocolatさん
>・・・だと思って何も考えずに見れば、かなりありがちなことかもしれないなーと思ったら、おっしゃる通り結構観れました(笑 >予想★1だったんで(!)、これは大きな拾い物!? 笑 ----- そう、この映画って見るまでは“マユツバ”的な作品なんですけど見てしまうと、ただ、ただ映像の魔力に感服するのみなんです。正にエメリッヒ・マジックが炸裂した作品でした。 (2009.12.09 17:54:11) |
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