本願清水「イトヨの里」のビデオ
国の天然記念物に指定されている本願清水「イトヨの里」(大野市)のイトヨは、昨年(2006)1月に鳥(サギ)被害に遭って、5000~6000匹から一時1千匹ぐらいまで激減したのですが、同年秋ごろには、元の数に戻ったようです。当初は元の数に戻るまでに2~3年はかかるとみられていたのですが、サギに捕食されたのがイトヨだけでなく、イトヨの卵を食べてしまうウグイやアブラハヤの雑魚にまでおよんだことから、昨年(2006)春以降に生まれたイトヨの生存率が高まったらしい。関係者の喜びもひとしおといったところでしょうか。
もっとも、まだまだ安心できる状態ではないようです。今冬は、ネット(合成繊維製)やテグス(釣り糸)を従来より細かく張るなどの対策を講じたものの、サギはとても賢いし、効果のほどは分らないという。今後の成り行きが心配されるところですが、一日も早く、鳥害対策を確立して、イトヨが安心して棲めるような環境になってほしいものです。
ところで、大野市の本願清水は、一生を淡水中で生息する「陸封型イトヨ」の生息地南限として、昭和9年(1934)に、国の天然記念物に指定されました。イトヨは、トゲウオの一種で体長4~5cmの小魚。背ビレにトゲを持ち、体側部鱗板に特徴がありますが、雄が巣を作って産卵後の雌を守り、稚魚を育てるという、珍しい習性もあります。また、「陸封型イトヨ」が生息するのは、全国でも大野を含めて三ヶ所だけです。
大野に「陸封型イトヨ」が棲みつくようになった経緯については、大野のイトヨは、もともと、海と川を行き来していたのですが、大昔、地殻変動などで川に閉じ込められて、一生を淡水域で過ごすようになったといわれ、湧水豊富な大野盆地で独特の進化を遂げたようです。それも、15度ぐらいの豊富な湧水があったことから、これまで生き続けることができたと考えられています。また、イトヨはきれいな湧き水に棲む習性があることから、「大野の水のシンボル」にもなっていますが、最近は地下水の水位低下で、かつてほど見られなくなったとか。それでも、本願寺門徒が掘った本願清水「イトヨの里」など大野の数ヶ所でみることができるようです。
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