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カテゴリ:漢詩・漢文
雜詠八首(上禮部李侍郎) 春鏡 劉長卿
寶鏡凌曙開、含虚淨如水。 獨懸秦臺上、萬象清光裏。 豈慮高鑒偏、但防流塵委。 不知娉■(「女」のみぎに「亭」。テイ)色、回照今何似。 【韻字】水・裏・委・似(上声、紙韻)。 【訓読文】 雑詠八首 礼部李侍郎に上(たてまつ)る。 春鏡 宝鏡凌曙に開き、虚を含みて浄きこと水のごとし。 独り懸かる秦台の上、万象清光の裏。 豈(あに)慮(おもんばか)らんや高鑑偏へにして、但だ流塵に委(す)てらるるを防ぐのみ。 知らず娉(ヘイ)■(テイ)の色、回照して今何にか似たるを。 【注】 ○雑詠 特定の題によらず、折に触れて色々な事物・季節などを詠んだ詩歌。 ○凌曙 夜明けがた。 ○独懸秦台上 秦の始皇帝は四角い鏡で、人の善悪、病気の有無などを照らしたという。 ○万象 あらゆる姿形ある物。 ○清光 清らかで澄んだ光。 ○流塵 空中にただよう塵。 ○娉■(テイ) 女性の穏やかで美しいさま。 【訳】 春の鏡。 夜明け開くは増鏡、空を映してきよらかに、澄んだ水かとまがうほど。 秦の宮殿ひっそりと、懸かる鏡はめずらしや、あらゆる物の真実を清き光にうつしだす。 いまは高鑑もちいられ、忘れ去られし増鏡、漂う塵をかろうじて防ぐばかりぞ憐れなる。 ああはかなきは人の世ぞ、かつてみめよき宮女とて、いまは見る影なかるべし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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