会社法編第6章 特別決議
第6章 特別決議株主総会は普通は過半数の賛成で可決となりますが(これを普通決議と言います)、特別決議というのは3分の2の賛成が無いと可決しない決議であり,逆に言うと3分の1の反対で可決を阻止できます。ですから,いつもはあんまり株主総会に興味がないとしても,以下の特別決議が必要な議案が記載されていたら,できれば株主総会に出るべきでしょう。(株主総会の決議) 第三百九条 2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。 一 第百四十条第二項及び第五項の株主総会 二 第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。) 三 第百七十一条第一項及び第百七十五条第一項の株主総会 四 第百八十条第二項の株主総会 五 第百九十九条第二項、第二百条第一項、第二百二条第三項第四号及び第二百四条第二項の株主総会 六 第二百三十八条第二項、第二百三十九条第一項、第二百四十一条第三項第四号及び第二百四十三条第二項の株主総会 七 第三百三十九条第一項の株主総会(第三百四十二条第三項から第五項までの規定により選任された取締役を解任する場合又は監査役を解任する場合に限る。) 八 第四百二十五条第一項の株主総会 九 第四百四十七条第一項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。) イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。ロ 第四百四十七条第一項第一号の額がイの定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。十 第四百五十四条第四項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。) 十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会 十二 第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会 条文番号だけで分かりづらいですね。代表的な事項だけでも挙げておきます(これら以外でも特別決議が要求される事案はあります)。株式の併合(180条)監査役の解任(339条1項)役員等の責任一部免除(425条1項)資本金の額の減少(447条1項)現物配当(454条4項)定款の変更事業譲渡解散合併会社分割株式交換・株式移転こうやってみると,解散など会社にとって重要なのに,わずか3分の2の賛成で成立してしまう議案もありますね。ですから,せめて特別決議が要求される議案については注目を向けて欲しいです。ちなみに、株主総会は普通決議・特別決議だけでなく特殊決議・特別特殊決議・全員一致がありますが、特殊決議・特別特殊決議は譲渡制限が絡む場合に必要となるので、普通に証券会社で株式を買っている場合にはあまり気にしなくて良いでしょう。また、証券会社で株式を売っている会社において、全員一致の議決が出来ることはまずありませんからこれも気にしなくて良いでしょう。気になる方は、下記の【参考本】の108ページをご参照ください。さて,これで株主として最低限知っておきたい条文のご説明は終わります。次回はからは、倒産法をやってみましょう。会社法編にお付き合いいただき、ありがとうございました。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】会社法マスター115講座この本は、会社法で分かりにくい部分を適確に解説してくれる本です。また、会社法の条文を頭から読んでも分かりづらい分野(少数株主権や会社再編や株主総会議決要件)を表にしてくれて分かりやすくまとめてくれています。会社法の勉強がある程度進んだ方にオススメしたい本です。