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身体・感覚とアート

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ゆぱさん

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2005年11月17日
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夏になりM氏は草刈り作業(コルホーズ)にかりだされることになった。

酷暑の中の激しい労働。

それでもいままでのシベリア奥地での労働にくらべれば楽なものだったという。

日本へ帰れるといわれ半年以上過ぎていた。

いったいいつまでこのままの生活が続くのか・・・。

しかし、ある日、ついに知らせがやってくる。

「わたしが洗濯ものを抱えて外へ出ると、一台のトラックが砂塵を上げて、こちらにやってくるのが見えた。

トラックの上では、二、三人の黒い影が何かを喚(わめ)いているけれど、聞きとりにくかった。
 
 近づくほどに、「ダモイだ、ダモイだぞ!すぐ引き上げて来ーい!」

と叫んでいるではないか。

 
 信じられないけれど、「こんどこそ信じたい」気持ちで一杯だった。

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

 続々と、作業場から引き上げてくる連中の、まっ黒に陽焼けした顔が、万面に笑みを湛(たた)え、

喜びを隠しきれない養子だったけれど、今まで何度も騙(だま)されてきたわれわれには有頂天になるようなことはなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・

 全員を乗せたトラックはコルホーズの農場を一路炭坑の町へ向けて引き返すことになった。

 久しぶりでにぎやかな町なかに入ってくるにつれ「こんどこそ間違いなく帰れそうだ」

という予感がしてきて、ニーナさんとユーリヤだけにはぜひ一目会っておきたいと思った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日は、帰国挺団(ていだん)を編成するのに多忙を極めた・そして、その翌日も準備に追われ、病院へ抜け出す機会を失ってしまった。

ついに出発時刻が迫ってきた。

(「野バラの実に」より)





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最終更新日  2005年11月17日 09時24分33秒
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