要は小遣いを稼ぎたいのだと思う。

私の理解度を裏付けるために先輩に電話する。なかなか出ない、10コールを超えてやっと出た。

「あぁ、先輩！スンマセンMOONDOGです。」

「おぉ！すまんな、ンコしてたんや、なかなか出えへんかったけど、お前の電話で出たヮ、ワハハ！それでどや？うち（保険会社）やったか？」

「はい、そうです、自賠責もそうでした。」

「そうか！そらウンが付いてるんとちゃうか？ガハハ！」

「・・・・。」こっちはマジメな話やのに、、、　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊以上のやり取りに誇張はない。

「それでね、これこれこうで、こうなんですよ、で、僕としては金目当てやと思うんですが、、」

電話の向こうで考えているのか、しばしの沈黙、

「お！スマン、手を洗ってたんや、」　　　　　　　ガクッ、、、、

「いやいや、話は聞いてたよ、最後のお前の考えは不確定なモンやからちょっと横へおいとくけど、今話してくれた内容が事実としたら、こっちは"被害者"やぞ、それも100対0に近いな、交通弱者を装った言いがかりや、それに自転車乗ってたんやったら歩行者ちゃうで、軽車両や。立派に道路交通法の適用があるがな、、それともお前の最初の電話を聞き間違えたんかな？」

「いや、間違いないです。僕も現場で話しを聞くまでは、こっちが加害者や思ってましたから。」

「ふ～ん、世の中おかしい奴も居るからのう、警察は何て言うてる？実況見分調書は出来たんか？」

「今　相手が呼ばれてますわ、その間に電話してるんですけど。」

「俺が初めに言うた確認ポイント覚えてるか？

1.道交法違反がないことを証明できるか？
2.事故を予見（予想）することができない状況だったのか？
3.事故を回避不可能だったのか？

今の話やと、2.と3.は当然消えるわな、事故は予測不能、何せ後ろからオカマ掘られてんねんからな、、、回避不可能や。車 対 車やったら100対0でお前らのもんやで。"前方不注意"は有るけど"後方不注意"なんか無いぞ、

あとは1.を警察がどう判断するかやけどな、、、そやけど、まぁ～～～無いと思うで、　　道に迷って徐行中やろ、徐行中の車いうても10キロは出てる。その車にオカマ掘るて、そのチャリンコのおばはん何キロで走ってたんや？な、おかしいやろ？こっちの車がパニックブレーキ踏んだんと違うわな、それやったら下手をすると「安全運転義務違反」かも知れんけど「業務上過失」と違うわ、、、ま、警察がキップくれたら分かるけどな...。」

「どういうことですのん？」

「「安全運転義務違反」でも赤やったら、交通事故扱い、青やったら反則行為、いわゆる反則金いうやつや、多分今日は何もくれへんと思うで、"後日連絡します"ぐらいやろ、その時にくれるわ、それかキップ無しの説諭だけで、お咎めなし」

「ほぉ～、、」

「お前の考えを肯定するわけとちゃうけど、その女おかしいヮ、その女の言う「示談」ちゅうのんがプンプン臭うわ、立場上 遠まわしにしか言われへんけど、、、
「車 対 歩行者は100対0で車が悪いのよ！法律で決まっているの！知ってるの？！」
って言うたんやろ？その程度の半可通な法律知識やのに、その子（Ｋ子ちゃんのこと）にハッタリかまして小銭せびるつもりやったんちゃうかな？お前も司法書士の勉強してたんやったら、刑法、民法 民事訴訟法　分かるやろ？」

「はぁ、理解は出来ますけど、、、」

というより 商社時代の飯の種である。社員の起こした事故や脅迫まがいのクレーム、製品不良の損害賠償等 、"誠意"を盾に文句を言われたことは数限りない、職務上知っていて損をしたことは無いし、役に立ったことの方が多い。

「和解契約ってわかるよな？、そう、示談のことや、、相手が"示談、示談！"て言うんやったら、

フランスのサッカー選手ですか？て言うたってみ？！」それはジダンやろがい！！って そのままんまやんけ、、、

・・・・。

「先輩、、、（怒！）」

「いや、スマン、、緊張感を解きほぐすウイットちゅうやつやないか、、そんな怒るなや、、
いっぺん遠まわしに聞いてみ？、
多分トンチンカンなこと言うやろ、笑ろたったらエエねん、間違いを訂正したったらエエわ。
それでもゴチャゴチャ言うんやったら、"どうぞ、裁判して下さい"て言うたったらどや？（笑）、
きっとうろたえるで、ゴネて小遣をせびり取るつもりが裁判になるんやから、相手もビビルわな（笑）
被害者やて自分で言うてんねんやったら立証責任は向こうにあるし、しんどい仕事やで（笑）
まぁ、そうなったら、うち（保険会社）の出る幕ないけどな。

ぬか喜びさせたらゴメンやけど、」

う～む、さすが海千山千の業界人、気の弱い私には想像できない心理戦までレクチャーしてくださる。”亀の甲より年の功”というのは、このことだろう。さすが、昨年末にお孫さんが出来たおちゃめなジジイである。

さぁ、攻撃方法は決まった。しかし、念には念を、なんせ、初動捜査の失敗（？）でタカビー女にアドバンテージを与えている。ぐうの音も出ないように叩き潰す為には、従兄弟にも意見を聞いておいたほうが良いだろう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく