学部学生の4年から大学院修士課程修了まで所属していた研究室の1学年上の先輩に、食べ物等に強い趣味を持つ男がいた。彼は生のコーヒー豆をどこかから入手してきて自分で煎って挽き、美味しいコーヒーを日常的に飲ませてくれた。最初のうちは彼が所有するカップで飲ませてくれたが、しばらくすると自分用のカップを買って来いという。ざっとカップのブランドについてレクチャーしてくれて、自分でデパートに行って選べと言う。1ヶ月ほどあちこちで下見をしたのち、吉祥寺のデパートで一つ買った。イギリスのロイヤル・ドルトンというメーカーのソネットというシリーズのティーカップにした。彼が、コーヒーカップとティーカップの両方を買う気がないならティーカップの方が良いだろうと言ったのでそれに従った。
その研究室ではいつも美味しいコーヒーを味わっていたが、就職した先はそういうスノブな雰囲気ではなかった。仕方がないので家に持って帰って自分でコーヒーをいれて飲んでいた。結婚した時、自分だけがブランドもののカップを使っているのも何なので、カミさん用に同じカップを買った。新婚の頃からヴァイオリン弾きが遊びに来てトリオを弾くのはよくあることだったので、客用にもう一つ、二人来ることもあるのでもう一つ、という感じで増えた。そのうちパン皿も同じソネットのにしよう、ミート皿も、という感じで洋食器全体が同じがらで揃っていった。
デパートで取り寄せて買っていたが、最初にオクスフォードの学会に出かけていった時、ロンドンのロイヤル・ドルトンの店でいくつか買ったりして必要なものはほぞ揃った。
ソネットという食器は薄い緑の縁取り模様がついており、豪華でも派手でもないし飽きが来ない。最初のティカップを選んだとき、ずいぶん慎重に考えたが正解だったと思っている。別に全部この柄で洋食器を揃えようと意識していたわけではないのだが。
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Last updated
2009.09.15 09:11:54
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