村上春樹氏のエッセイに「自由で孤独で、実用的ではない」という小品があり、オープンカーについて語っている。
「オープンカーのどこが楽しいのか?」について、信号待ちのとき空が見えることを上げている。特に、流れ行く雲を眺めることを語っている。また、「動く標的」という映画の主人公がポルシェのおんぼろコンバーチブルに二日酔い明けの朝乗っていると、もう一度生き返ったような気持ちになる、少なくとも俺は自由なんだと思う、という話も書いている。
村上氏自身はどうやらポルシェ・ボクスターを三台乗り継いできているらしいから、これらの話は作り話ではないだろうが、どこか読者へのサービスというかウケ狙いというか、という感触がある。
私も、オープンカーのどこが楽しいのか?と聞かれたとしたら答えようが無いという気持ちになり、相手に合わせて適当な返事をするだろう。その答えは作り話ではないかもしれないが、本当の気持ちというわけでもない。嫌いになるのにはほとんどの場合理由があるが、好きになること気持ちの良いことに関しては理由など無いし分析などできないのが正統だと思う。なぜベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番を気の合った名手と演奏するのが気持ち良いのか、と聞かれても返事のしようがない。
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Last updated
2023.07.12 09:01:27
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