カテゴリ:カテゴリ未分類
里見の歴史は前期後期となります。地に足のついた後期里見氏の歴史を、一緒に追いかけてみましょう。
いざ、出陣。 妙本寺の日我さん 里見家の歴史に欠かせない高僧がおります。 安房国保田妙本寺14世・進大夫阿闍梨こと日我です。この方が住した妙本寺は、江戸時代の里見家改易に伴い寺領を縮小させながら現存しております。夢酔、道の駅きょなんから、てくてく歩いて訪れたことがございます。おりしも檀家さんでしょうか、法要の真っ最中でしたので、邪魔にならないよう寺領を散策させて頂きました。 さて、日我さん。 有名な高僧らしいですが、この妙本寺に来たのは天文元年、25歳の頃とされます。里見義堯の知遇を得ていたことから、政治・宗教顧問も務めていたとされます。天文4年(1535)頃に生じた〈天文の内訌〉のとき、里見義堯に与しました。この心の支えをして、義堯は犬掛合戦に臨んだとされます。 日我は永正5年(1508)、日向国に誕生しました。6歳のときに妙本寺11世日要に入門します。日要も日向国の出身で、三河阿闍梨と称しておりました。この日要が入門年に没したため、日我は日蓮正宗総本山大石寺第22世法主・日俊に学んだのです。25歳の若さで妙本寺を継承したのだから、日我という人物は、実に優秀な僧侶であったようです。 房総、とくに安房は日蓮宗にとって格別の聖地です。そう、安房小湊誕生寺は宗祖日蓮の生家跡を寺と為したもの。だから安房には熱烈な信徒も多いのです。その安房保田の名刹を託された日我がいかに宗門の信頼が厚いものか、伺い知ることが出来ます。 宗門的にもかなり骨太で、本応寺(あの本能寺の前身)・日隆が唱える〈八品主義〉に反対して、師・日要の奉じた〈文底寿量説〉を発展させたとされますが、夢酔には難しいこと判りません。 日蓮の6人の高弟、いわゆる〈六老僧〉のひとり日興の法脈を継承する〈富士門流〉。その一山、小泉久遠寺を再興させるために、日我は功績を残しています。富士門流にとっても、日我は中興の祖なんです。富士門流は駿河国の派生流派、当時は今川家の庇護下にありました。太守として有名を馳せる今川義元の頃より、次代の今川氏真がお墨付きをつけていました。だから、日我を通じて、里見氏と今川氏はどこかで協調していたかも知れませんね。 この富士門流の発展に尽くしたことから、京都要法寺の日辰と併せて、〈東我西辰〉と称されました。 里見義堯との親密は終生続きます。先に亡くなったのは、義堯。里見氏自体は日蓮宗に帰依している訳ではないのに、日我さんが大法要を営んだのは凄い友情パワーですよね。そんなに厚い友情を武将と僧侶の間で交わしたケースって、日本史上では珍しいことではなかったようですね。武田信玄と快川紹喜、徳川家康と南光坊天海、今川義元と太原雪斎……あれ、みんなビッグネーム! 里見義堯が〈天文の内訌〉の頃に妙本寺を訪れて、日我と初めて対面したとき、里見義堯29歳、日我28歳のことでした。互いにまだ心に青雲の志を抱き、己の信じるまま、どこまでも走ることが出来ると思っていた頃に、二人は偶然出会ったのです。そして、こういう偶然を、我々はセンチメンタルを込めて、宿命とか、運命と、照れることなく確信してしまいます。 人間の出会いに理屈なんてありませんからね。 里見義堯は曹洞宗の信者ですが、このときの問答から、両人はすっかり意気投合したのです。以後、およそ40年間に渡り、両人は親交を深めることとなります。 以来、日我は里見義堯の政に対しては仁政であると称え続けました。 里見義堯もまた、日我の慈悲を称え徳の高さに敬意を表しました。 双方が共通して求める願いはただひとつ、安房・上総といった里見領国の安寧だったのです。互いの立場を超えて理解しあう、唯一無二の親友とも呼べる存在。 宗門を超えて里見義堯のために100日法要を行った日我には、赤心は微塵もなかったようです。 このとき日我が里見義堯を偲んで詠んだ歌を紹介しましょう。 隔つとも心の空に 照る月の 光は同じ眺めなるらん 夢酔は日我さんのことを学ぶために、この図書を用いました。 「安房妙本寺日我一代記(佐藤博信・著、思文閣出版・刊)」 みなさんも興味ございましたら、ぜひ。 ◆ ◆ ◆ 戦国武将里見氏のNHK大河ドラマ放映を目指す「里見氏大河ドラマ実行委員会」が組織されています。里見氏終焉の地である鳥取県倉吉市、里見氏発祥の地の群馬県高崎市、そして館山市で、NHK側にドラマ化を働きかける運動を行っております。 「2014年に里見氏の物語をNHK大河ドラマで!」 皆さまの温かいご声援をお願いします。 ◆ ◆ ◆ ランキング、一時期は一位を頂戴しましたが、毎日更新で結構しんどいと実感しました。焦らず急がず、地道に更新したいと考えております。基本的には、週1~2回の姿勢を取っていきたいと思いますので、皆さまご容赦ください。 いや、さぼり癖ではなく、里見関連新作の、いよいよ最終回起草中です!労力をそちらに回したいと存じます。御免なさい。 ささやかながらここで告知。 西多摩新聞社より発売の「聖女の道標」、ほぼ売り尽くされてはいるのですが、在庫がややございます。そこで、3月期以降完売までの売上げを、被災地義援金に寄付しようと決めました。 本当は3月半ばに決めたのですが、広告がなかなか紙面で組めず、ズルズル周知されないのも厭なので、mixiともども、この場で告知させていただきます。 どうか、ご協力お願いします。 問い合わせは西多摩新聞社出版センター(0120・61・3738)へ。また、下記のアドレスをコピーして、内容確認をお願いします。 http://www.nishitama-shinbun.co.jp/book/index.html 綺麗事にしかならないかも知れません。しかし、被災された皆さまが、一日も早い笑顔を取り戻されることを、心よりお祈り申し上げます。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|