ＭＡＳＡ　ラボ　---鸚鵡（ｵｳﾑ）の会議は白昼夢---　

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  複眼同伴帰宅　---理不尽クイズで涙が止まらない話---

  図１は何でしょうか？図１赤と言うよりは紫色の食べ物の表面です。ヒントはないようで、よく見ると少しだけあるかもしれません。プチクイズなので、翌日に正解を発表いたします。----------抵抗を許さない帰宅ラッシュに翻弄され、無の境地で駅構内の階段を登っていた時、虫馬鹿のセンサーが一瞬反応しました。階段のすみに何か生物がいたようです。階段を登り切りすばやく柱の陰に身を寄せ、群衆をやり過ごしました。何食わぬ顔でもと来た階段を戻ると、やはり生物がいました。どこから来たのか、それはオスのオオカマキリでした。人ごみに反応していたのか、やる気満々です。よく踏ん付けられなかったものだと感心しながら、そいつをつまみあげて、カバンの上に載せました。ここには自然がないので、家まで連れていくつもりでした。途中で逃げ出したら、それも選択肢だと思いましたが、そいつはカバンの上でファイティングポーズをとったまま、バスに乗り、結局自宅までついてきました。後日、姉のがきんちょが庭で広い集めた昆虫死骸コレクションの中に、頭のないカマキリの死骸がありましたが、あのカマキリかどうかまでは分かりませんでした。仮にもしメスに食われたのなら満足だったはずです。しかし、カナブンの死骸が兵馬俑の如く整列している光景は、なかなかどうして不気味なものです。----------

  2009.10.26

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  ミクロのつぶつぶシリーズ　---最初はチンゲン菜の話---

  チンゲン菜の表を覗きます。図１　：　チンゲン菜　表表はスライスが困難だったため、１ミリメートル区間は取れませんでした。そのため４分の１スケールで区間を取りました。図２　：　チンゲン菜　表０．５ミリメートル四方で、３５個の気孔がありました。つまり、１ミリメートル四方に換算すると、この４倍に当たるためチンゲン菜の表側の気孔密度は　約１４０個/平方ミリメートル　となります。前回計測した裏側の気孔密度は　約１００個/平方ミリメートル　です。これから何がわかるかと言うと、チンゲン菜は葉の表側のほうが裏側よりも約４割、気孔数が多いということです。調査区間を大きくとればとるほど、個数密度はより正確になりますが、それほど精度を要求するデータでもないので、この程度で良しとします。（チンゲン菜　お終い）----------【ミクロのつぶつぶシリーズ】世の中には様々な粒々が存在します。今まで覗いてきた粒々をいくつか復習いたします。題名はカーソルを合わせると出てきます。ボーと見たり、正体を推理したり、お好きな鑑賞法でご覧ください。

  2009.10.23

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  白菜？　バックチョイ！　チンゲン菜のこと？　バックチョイ！　---単語だけでも話は通じる---

  謎の野菜「バックチョイ」を再掲します。図１（再掲）　：　チンゲン菜バックチョイとは、チンゲン菜の事でした。香港のおばちゃんが　『バックチョイ』　と言っていたのです。　さて何語なのでしょうか。英語ではパクチョイと言います。図２　：　チンゲン菜　裏側表皮　１チンゲン菜裏側の表皮です。規則性があるのかないのか、興味深い構図です。裏側の表皮とはややこしい表現ですが、葉の裏側の事です。ちなみに、今回は裏側のみの話となります。図３　：　チンゲン菜　裏側表皮　２図２の拡大図です。全体的に紫色をしていますが、これは使用した光線の波長の所為であり、細胞が紫色をしているわけではありません。図４　：　チンゲン菜　裏側表皮　気孔カウント　１さて、今回から　『気孔カウント』　という新しい試みをします。理科年表には載っていない為、データを溜めたら掲載できるかもしれません。調べ方は図４のように区域内の気孔数を数えて、単位面積当たりの個数を計算する手法を用います。図５　：　チンゲン菜　裏側表皮　気孔カウント　２１平方ミリメートルあたり、１０１個の気孔がありました。ということは、チンゲン菜の裏側の気孔密度は　約１００個/平方ミリメートル　ということが分かりました。話のネタに困ったときは、是非ともチンゲン菜の気孔数で盛り上がってください。----------さて、表の気孔数はどれくらいあるでしょうか。予想してくれる方は、理由も書いてくれるとうれしいです。（続く）

  2009.10.22

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  ミクロのしっぺ返し　---バックチョイ---

  　「バックチョイ！　バックチョイ！」この時期に花粉症になる自分は、注射を打ってくしゃみを止めます。このご時世、うかつにくしゃみすらできません。しかし先週、くしゃみが再び出るようになりました。はて注射の効果が切れたか、と思いましたが、熱が出てきたので風邪をひいたようです。このご時世、風邪をひいたら職場にすら出れなくなります。思わぬ休暇命令に、好きなことができると小躍りしましたが思いのほか病状が悪化し、踊ることすらできなくなりました。そのためブログを更新する気力がなく、数学問題集をつらつら解きながら回復するのを待っていました。----------図１　：　バックチョイ　表面よりこの野菜は、独特の歯ごたえがあって好きです。図２　：　バックチョイ　内部内部はこんな風にスポンジ状になっています。空気をふんだんに含むため、煮崩れしにくいようです。----------さて、このバックチョイとは、何の野菜でしょうか？プチクイズなので、解答は翌日発表いたします。

  2009.10.21

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  天下一品の素材　---ミクロのネット---

  人工的な代用品が存在しない天然素材があります。それはミズゴケです。図１　：　ミズゴケ　１半年前にクイズのネタとして掲載したミズゴケは、葉緑体があまり存在していませんでした。今回のミズゴケは再生したミズゴケなので、綺麗な緑色をしています。図２　：　ミズゴケ　２ミズゴケは環境を選ばず世界中に分布しており、特に他の植物が育ちにくい冷温帯で生育しています。冷温帯では微生物の活動が小さいため、ミズゴケが分解されることなく次々と層状に重なり、やがて　『泥炭』　という質の悪い固体燃料に変化します。園芸でよく使う　『ピートモス』　は脱水して処理した泥炭です。ピートは泥炭、モスは苔を意味しています。図３　：　ミズゴケ　３一見して空間に見える部分には、水が詰まっています。孔隙には繊維が張り巡らされており、それで水を捕らえています。図４　：　ミズゴケ　４この緻密な孔隙は、人工物では容易に真似が出来ないことからいまだに代用品が存在しません。乾燥させてクッションに。湿らせて保湿剤に。湿乾両用の素材であるミズゴケは、存在は地味ですが天下一品の素材なのです。

  2009.10.15

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  ミクロの分業制　---似たような仕組みでも実は異なる話---

  これまで、ムシトリスミレの構造を簡単に見てきました。今回は、少し突っ込んだ話をしたいと思います。図１（再掲）　：　ムシトリスミレ図１は葉を切断し、葉の横から見たものです。腺を観察するために洗浄します。図２　：　ムシトリスミレ粘液を分泌する器官を　『有柄腺』　と言います。文字通り、キノコのような柄を持つ腺だからです。図からわかるように、有柄腺の柄は表皮とセットで１つの細胞です。これは、有柄腺が多細胞で作られているモウセンゴケと大きく異なる点です。一方、葉の表面にある腺を　『無柄腺』　と言います。文字通り柄がなく、直接表皮に張り付いているからです。ここから消化液が分泌されます。図３（再掲）　：　ムシトリスミレ　無柄腺無柄腺をよく見ると何やら溝があるように見えます。しかしこれは１つの細胞に溝があるのではなく、８個の細胞が集まっているのです。この表面から消化液がじんわりと染み出してきます。消化したものは表皮から直接吸収します。それは分子スケールの話であるため、生物顕微鏡では観察ができません。図４　：　ムシトリスミレ　有柄腺先ほど解説したように有柄腺の柄は表皮細胞なので、柄内部に管組織はありません。１つの細胞内では管組織を使う必要がないからです。しかし透明なキノコとは、なかなか食べてみたくなる代物です。ニンニクとバターで軽く炒めて、パセリをかけると美味しそうです。図５　：　ムシトリスミレ　有柄腺柄の先には粘液を分泌する腺がくっついています。先端は若干赤くなっていますが、肉眼ではほとんど透明に見えます。----------簡単でしたが、ムシトリスミレの話はこれで一旦終了です。----------

  2009.10.14

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  ムシトリスミレの消化腺　---ミクロの間欠泉---

  粘球で捕らえた獲物は、表皮から分泌される酵素で消化されます。図１（再掲）　：　ムシトリスミレ図１の状態では観察できないので、粘液が取れてしまいますが、洗浄してスライスします。図２　：　ムシトリスミレ　消化腺キノコのようなものは、洗浄した粘球器官です。このキノコは次回、詳しく掲載いたします。キノコの根元に、何やら怪しげな器官があります。これがムシトリスミレの消化腺です。図３　：　ムシトリスミレ　消化腺図４　：　ムシトリスミレ　消化腺図５　：　ムシトリスミレ　消化腺消化腺の形は液状糊が入っているボトルの先端のようです。（続く）----------（お詫び）前日の日記は解説がなかったので、後日掲載しなおします。----------

  2009.10.13

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  マイクロギャラリー：Micro Gallery　---モウセンゴケシリーズ---

  全て、ナガバノモウセンゴケです。----------

  2009.10.12

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  ムシトリスミレの醍醐味　---蟲惑的なミクロの水滴---

  葉に粘性を持つムシトリスミレは、やはりその粘着質の葉を覗くことに楽しみがあります。図１（再掲）　：　ムシトリスミレ葉を一枚失敬して、覗いてみました。図２　：　ムシトリスミレ　１棒の先に球体という、このアンバランスな構造はとても面白いです。以前紹介したモウセンゴケの粘球は赤提灯でした。今回の無色のムシトリスミレには飾らない美しさがあります。図２　：　ムシトリスミレ　２このきらめく水滴に目がくらんでふらふらと近づいてしまいます。昆虫にとっては蟲惑的なミクロの水滴です。図３　：　ムシトリスミレ　３葉を表から見たのが図３です。葉の表面にピントを合わせたものが図３の上半分で、下半分は、粘球にピントがあっています。粘球で動きを封じられた生物は、やがて葉の表面から湧き出る消化液によって消化され美味しくムシトリスミレに吸収されてしまいます。（続く）----------

  2009.10.11

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  ミクロのパズル　---完成すればそれが正解である話---

  このムシトリスミレにも、以前紹介した別種と同じ特徴がありました。（過去の姫足長ムシトリスミレはこちら）図１（再掲）　：　ムシトリスミレ図１は花弁の表面です。図２に見られる、花弁裏の細胞の形はムシトリスミレの特徴と言えるのかもしれません。図２　：　ムシトリスミレ　花弁ジグソーパズルとしては高難易度です。パズルが完成しても、いまひとつ達成感がないところに侘びしさを感じます。図３　：　ムシトリスミレ　花弁面白い事に、色が付いている細胞は丸っこいです。このつぎはぎをしたような形は、ハナモモを思い起こさせます。（ハナモモはこちら）（続く）----------

  2009.10.09

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  くっつく前に受粉を期待　---紫色のジレンマ---

  前回掲載した粒粒の正体はこの花でした。図１　：　ムシトリスミレ以前紹介したムシトリスミレとは違う種類です。この花の大きさは２センチ程度です。図２　：　ムシトリスミレ地味な花が多い食虫植物の中では、ムシトリスミレは抜群に派手です。図３　：　ムシトリスミレ後ろ姿もなかなか興味深いものです。図４　：　ムシトリスミレ前回より花弁をさらに拡大しました。彼岸花の時はイクラでしたが、これははたして何と表現すべきでしょうか。（続く）----------

  2009.10.08

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  そこらじゅうにいる生物　---最後はツブツブな話---

  前回、謎の器官の役割について頭をひねりました。図１（再掲）意見をまとめると、　・生殖器である　・呼吸口であると言う２つの意見がでました。自分も同じ意見で、『生殖器』　もしくは　『バクテリアが発生させるガスを抜く栓』を考えました。前者を証明するためには交尾をしている瞬間を、後者の証明にはオナラをしているところを撮影する必要があります。どちらにしろ撮影は困難そうで非常に楽しみです。もしくは、予想とは違う役割かもしれません。いつになるかはわかりませんが、また進展があり次第掲載いたします。----------次回は、図２の話をする予定です。図２さてこの粒粒は何でしょうか。少しマニアックな植物です。（続く）----------

  2009.10.07

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  ミクロの富士山　---用途不明な器官の話---

  『図１において頭部はどちらか』　という話を前回しました。図１（再掲）　：　線虫正解は、細い方（左側）が頭部です。解答者の方々は全滅のようです。　ふっふっふ。一見すると細い方は、進むために必要な尻尾のように見えます。しかしこれは逆であり、進むために必要な触手なのです。目がないため、この触手で前方をまさぐりながら蛇のように進みます。触手の急に細くなっている根元のあたりに何かあるのがわかるでしょうか。これはいわゆる口に相当する部分です。今回のメインである謎の器官と言うのは、図１からも確認できます。どこの部分を言っているのか、是非探してみてください。----------（ＭＥＭＯ）　・１８世紀フランクリンが発明した避雷針は、神の意志にそむくという理由で長い間普及しなかった。----------図２　：　線虫の謎の器官謎の器官と言うのはこれです。図１のど真ん中にあります。さて、これは何の器官でしょうか。是非その推理を聞かせてください。読者の推理の邪魔になるので、自分の仮説は今回は書きません。----------そしてお決まりの失敗をして、線虫は昇天遊ばしました。図３　：　線虫の器官うっかりピンセットでつぶしてしまい、臓物が肛門から飛び出してしまいました。この失敗からも、色々と知ったことはあったのですが、それはまたの機会に。----------

  2009.10.06

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  ミクロのふかひれ　---つるりと喉ごし良い話---

  　　「毛虫を彷彿とさせます」　　「毛が駄目ですね♪」　　「可愛い」　　写真を見せた先生方は、そうコメントをしてくれました。ボウフラの人気がいまひとつだったのは、体毛が大きな要因だったようです。ということは、体毛がないこいつは人気爆発かもしれません。図１　：　線虫　１毛がないタイプの線虫です。線虫自体は過去に多く紹介しましたが、今回は謎の器官を見つけたので掲載します。さて、頭部はどちらでしょうか？----------図２　：　線虫　２器官の接続部分。茶色い部分は内容物の色ではなく、器官の色です。図３　：　線虫　３線虫のサイズからしてエサはバクテリアがメインであることが分かります。つらつら観察していると、不思議な器官を発見しました。（続く）

  2009.10.05

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  身の回りの化学物質（その２）　---気体の数珠つなぎ---

  前回、エタンはエチレンの製造に用いると書いただけで、説明はしませんでした。今回はそのエチレンが主役です。では、エタンとエチレンの違いは何なのか、図１をご覧ください。図１　：　エタン・エチレンＨ が２つ外れて、刺さっていた棒が余り、それが Ｃ に刺さっているのがわかるでしょうか。この２本刺さっている構造を二重結合と呼び、重要な役割を果たします。----------ところで、エチレンという名前をどこかで聞いたことはないでしょうか。頭をひねりながら図２をご覧ください。図２　：　ポリエチレンポリエチレンという名称は聞いたことがあるでしょうか。ゴミ袋や包装シート、簡易パック等がこれです。『ポリ』　は　『重合』　という意味で、つまりは結合するという意味です。　　エチレン同士が結合　＝　ポリエチレンということです。ポリエチレンは、エチレンの二重結合の１本が他のエチレンと結合しているのです。気体（エチレン）が固体（ポリエチレン）になるのはこういう仕組みだからです。これで、『身の回りの化学物質』　の話は一旦おしまいです。----------（おまけ）こんな記号をどこかで見かけたことはないでしょうか。図３　：　ＰＥＴこれはエチレングリコールとテレフタル酸が縮合　（これも結合するのでポリ）　してできる、ポリエチレンテレフタレートのことです。通称『ペット』で、ペットボトルの素材です。他にも、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルも、ポリが付いています。こういう名称を見て、　「何かが結合し合ってできているんだな」と考えるようになると、また違う新しい世界を知ることができると思います。----------

  2009.10.02

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  身の回りの化学物質　---入門編---

  以前の消毒液のコメントを読んで、身の回りの化学物質をネタにしようと思いました。なので今回のお話は　有機化合物（アルコール）　です。化学アレルギーの方は鳥肌が立ちそうなタイトルですが、身の回りの化学物質くらいは知っておいて損はないと思います。今回は入門編ですので、お気楽に読んでください。----------まずは、メタン・エタン・プロパン・ブタン　と何回か口に出して暗記ください。４つを順番に覚えるのがポイントです。何となく覚えたら、カラーボールの位置に注意しながら次の図１をご覧ください。メタン・エタン・プロパン・ブタン　と進むにつれてどのように形が変わっているでしょうか。図１　：　メタン・エタン・プロパン・ブタンＣが１つ、Ｈが２つずつ増えていくにつれて、メタン・エタン・プロパン・ブタンとなります。メタンは、メタンガスと呼ぶ方が有名かもしれません。生ごみから出るガスや、牛のげっぷがメタンです。また都市ガスのガスであり、温室効果ガスでもあります。メタンガスの数割が牛のげっぷ由来であることが、現在問題となっています。エタンは、後で出てくるエチレンの製造に使います。プロパンは、コンロなどに用いるＬＰガスのことです。ブタンは、ライターの中に入っているガスです。これらは、図１のような構造を取っています。----------そして、今回のメインであるアルコールです。アルコールとはそもそも何でしょうか？まずは図２をご覧ください。右側がアルコールです。カラーボールの変化と、名称の変化に注目してください。図２　：　メタノール・エタノール図１のような構造の物質は　『アルカン』　といいます。そのアルカンの　Ｃ　と　Ｈ　の間に　Ｏ　が１つ入ると、名称の後ろに　『オール』　がついて、　　　アルカン　＋　オール　＝　アルコールとなります。つまりアルコールとは総称なのです。プロパンだとプロパノールになり、ブタンだとブタノールとなります。メタノールは、アルコールランプの燃料です。飲むと失明することで有名です。エタノールは、お酒のアルコールです。原材料で酒精と書いてあるのはこれです。バッコスのような妖精が入っているわけではありません。また消毒用アルコールに用います。そして、人間が飲んだり使ったりできる唯一のアルコールです。----------アルコールはこれでおしまいです。是非、備忘録に書き留めて覚えください。----------≪おまけ≫図の記号の解説。　Ｃ　：　炭素原子。　カーボン紙のカーボン（Carbon）は炭素のことです。　Ｈ　：　水素原子。英語でhydrogen（ハイドロゲン）。　Ｏ　：　酸素原子。英語でOxygen（オキシゲン）。

  2009.10.01

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  彼岸花の○○　---海鮮好きにはたまらない話---

  まずは、生物顕微鏡用に彼岸花の花びらの表皮を剥いで観察します。図１　：　彼岸花　花びら彼岸花の花びらの細胞は、特に特徴もない丸い形をしています。しかし、彼岸花の威力が分かるのはスライスしてつぶした図１ではなく、つぶさずに観察した図２です。図２　：　彼岸花　花びら表層　１彼岸花の花びらの表層です。さらに違うレンズで覗いてみます。図３　：　彼岸花　花びら表層　２ミクロの世界はイクラの如し。左上にある長方形の物は気孔です。とても窮屈そうです。

  2009.09.30

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  彼岸花のスライス　---ミクロのカニカマ---

  前回のサラミもどきの表面をスライスしてみました。図１　：　ヒガンバナ　おしべの茎まるで酢酸カーミンで染色したような色合いですが、染色はしていません。細胞の形を見れば、どちらの方向に伸びようとしているのかが判別できます。何とも細長く伸びたものです。この努力が、あの火花のような花を演出しているようです。図２　：　ヒガンバナ　花粉花粉の形はラグビーボール型です。

  2009.09.29

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  曼珠沙華（まんじゅしゃげ）　---それは毒のある彼岸花の由来話---

  庚申待（こうしんまち）の夜、賽子（さいころ）で時間を潰していた良時は藤麻呂に負けてしまった。負けた方は楽器が置いてある雅響倉へ、指定の楽器を取りに行くことになっていた。こんな夜更けに人気のない離れの雅響倉に行く人はいない。鬼が出るかもしれない。　あやかしが出るかもしれない。しかし勝負事の約束である。良時は３歩進んで２歩戻りながら、震える足を励まして雅響倉へ向かった。実は闇に包まれた雅響倉には、藤麻呂の家来が隠れていた。指定の楽器は藤麻呂の家来によってとっくに運び出されており雅響倉にはなかった。もちろんそんなことは知る由もない良時は、冷や汗を流しながら灯を右に左に盛んに振り、必死に楽器を探していたが、もちろん楽器などあるはずがない。灯を動かすたび影がゆらゆらと踊る。　　どこかで何かが動いている。　　誰かがどこかで見つめている。そんな錯覚が良時を震え上がらせた。いくら探しても楽器が見当たらず、良時は我慢できずに雅響倉を飛び出した。すると誰かが廊下に座っていた。良時は驚いたが、すぐに誰かがいた安心感で包まれた。よく見るとその人間は探していた楽器を抱えている。家来の誰かが探してくれくれたのだろうと思い話しかけようとし、そして良時は気絶した。その座っている人間には首がなかった。それはただの俵に衣装をまとわせただけの物であり、藤麻呂の嫌がらせであった。---気絶していた良時は、家来より先に同僚の貴族達に翌朝見つかってしまった。それは良時の不運であり、見っとも無い噂に尾がつき鰭がつき、たちまち都に広まってしまった。良時は藤麻呂の陰謀にまんまとはまり、宮廷に出ることもできなくなった。　「この恨み、藤麻呂しかと飲みこむがいい」謎の言葉を残し、良時は食事もとらずにやがて餓死した。---良時の葬儀に参列した藤麻呂は、懐に入れていた菓子を摘まんで退屈を散らしていた。その菓子は曼珠沙華（まんじゅしゃげ）という渡来物の植物であった。藤麻呂はそれをユリ根と勘違いし、蒸しあげて砂糖をまぶし菓子にしていた。程なくして、それを摘まんでいた藤麻呂は葬儀の途中で突然悶え出し、あっという間に死んでしまった。葬儀の最中の頓死とあったため、藤麻呂の亡骸は祓いを受けた後、藤麻呂邸へと人目を忍んで運び込まれた。主人を引き取った藤麻呂の家来は、藤麻呂の口の中から曼珠沙華の欠片を見つけた。それを摘まみだした家来は、その物体が主人の舶来物の中にあったユリ根であることに気がついた。そのユリ根は不吉であると考えた藤麻呂の家来はそれを庭に埋めた。藤麻呂の家来は家を引き払い、屋敷は無人となった。引き取り手もない屋敷はやがて朽ち果て、いつしか狐狸のねぐらへと変貌した。やがて名もなき草が生い茂るその庭先に、妖しい赤い火花が咲き出した。人々は良時の悲願が彼岸で達せられたのだと噂をし、その草をいつしか彼岸花と呼ぶようになった。----------　自分　　「・・・というのは嘘です」　ＴＧ　　　「え？　何が嘘なんですか？」　自分　　「今の話全部が嘘　ということ」　ＨＭ　　「ちょっと本当ですか！？　どの辺が作り話なんですか？」　自分　　「今の話全部、作り話　だよ」　ＴＧ　　　「本当に？」　自分　　「うん」　ＴＧ　　　「本当に？」　自分　　「うん」　ＴＧ　　　「本当ですか？」　自分　　「本当ですよ」　ＴＧ　　　「もう！　真面目に覚えようとしていた私はどうなんですか！　真面目にギャグを飛ばさないで下さいよ。　どう思います（ＴＨ先生）？」　ＴＨ　　　「何も言えません♪」----------思いのほか長引いたボウフラシリーズが終わり、彼岸花を覗いてみることにします。図１　：　彼岸花のおしべの茎サラミじゃございません。----------≪用語解説≫【ＴＧ先生】：自分は内容を知らないが、情報経済専門。　　　　　　　長身の清楚な女性だが、性格は和田アキ○のような姉御肌である。　　　　　　　　虫やなま物が苦手。【ＨＭ先生】：自分は内容を知らないが、哲学専門。男性。　　　　　　　おとなしい性格だが、かなり気難しい。　　　　　　　森山直太郎似であり、語尾を延ばすクセがある。　　　　　　　使う用語は難解で、独特の敬語を使用する。【ＴＨ先生】：自分は内容を知らないが、経済専門。　　　　　　　スパッゲッティーとリラックマが好きな女性。　　　　　　　語尾に♪が付くような独特の発音をする。　　　　　　　最近、リラックマが付いているペットボトルのふたを入手したようだ。　

  2009.09.28

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• 黄昏の休憩室　　---添付写真はない話---

  休憩室でのんびり珈琲を楽しんでいると、ＧＭ先生が話しかけてきました。　ＧＭ　「こんなものが隅っこに置いてありましたよ」それは消毒液でした。恐らく、インフルエンザ予防の一環として、誰かが置いたのでしょう。　自分　「随分減ってるね。エタノール？」　ＧＭ　「（表示を見て）　エタノールが８０％入っているようです」　自分　「残りの２０％は思いやりかな」　ＧＭ　「惜しいですね。ヒントは保湿成分です」　自分　「・・・ヒアルロン酸ナトリウム？」　ＧＭ　「正解ですね。　あと４つです」　自分　「あと４つ！？　それをあてるのは困難だな～」　ＧＭ　「ヒントは、お口をゆすぐモンダミンに入っているやつです」　自分　「グリセリン？」　ＧＭ　「あたりです。　ほかは？」　自分　「ヒントは？」　ＧＭ　「残りは自分も用途がわかりません」　自分　「そんな無茶な」名称から構造を想像し、ｐＨ調整剤やら保湿成分やら手触りの向上目的やらと、カントリーマアムをつまむＧＭ先生とのんびり議論を交わしていたところ・・・　ＳＳ　「う～ん。話に入ろうと思ったけど専門すぎて突っ込めない」　ＧＭ　「ふふふ」　ＳＳ　「やっぱり酒税法対策で飲めないように添加物を入れているんだね。（話を）聞いていて知ったのは、アルコール１００％は肌に良くないことかな」　自分　「この添加物は飲めないの？」　ＧＭ　「どうなんでしょう？　死にはしないと思いますが不味そうです」　自分　「蒸留したらどうかな？」　ＳＳ　「なんてまずそうな蒸留酒なんだろう！」----------【ＧＭ先生】：自分は内容を知らないが、化学専門。　　　　　　　妙にエレガントな雰囲気をまとっている女性。　　　　　　　動作やしゃべり方は非常にゆっくりしている。　　　　　　　彼女がイラついたり怒ったりした姿を見たものはいない。【ＳＳ先生】：自分は内容を知らないが、経済専門。　　　　　　　ヨン様に似ており、ヨットマンというダンディーな一面を持つ。　　　　　　　　冬でも長期休暇を取り、こんがり焼けて帰ってくる。　　　　　　　相模湾から鳥取県までヨットで行き、鬼太郎饅頭を買ってきてくれた。

  2009.09.26

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  ミクロの蛇腹（じゃばら）　---職人の癖を見抜く---

  （続き）説明が下手故に、読者が勘違いしているかもしれないので確認します。前回や今回の写真のパイプのようなものは気管ですが、血管ではありません。そして、気管ではない部分が血管といえます。開放血管系のイメージは、お汁粉にストローを突っ込んだようなものです。あんこの汁が血液代わりの体液で、具が各器官で、ストローが気管です。そして茶碗は外殻に相当します。　　汁粉（体液）に具（器官）がぷかぷか浮かんでおり、ストローで息を具（器官）に吹きかける。といった感じです。つまり開放血管系では、血管に起こりえる　『詰まる』　ということが物理的に無理になります。パイプは詰まりますが、茶碗は詰まらないからです。----------ボウフラの気管系において、面白い規則性を見つけました。図１　：　ボウフラ　気管系　１気管が分岐している部分の隣に、パイプのつなぎ目のようなものがありました。それは図２のように、非常に規則的なものでした。図２　：　ボウフラ　気管系　２パイプ職人の癖を見つけたり。しかし何故このような構造を取っているのでしょうか。今後の研究をお待ちください。----------図を再掲します。図３（再掲）　：　ボウフラ　気管系　頭部気管の先端は頭部に直結しており、そこの分岐は他と比べて随分と直径が太いです。それだけ重要器官が頭部に多い為でしょうか。図４と見比べて、どのように気管が配置されているのか想像するのも一興です。図４　：　ボウフラ　初期　頭部質問にあった、　『頭部の二本のブラシ』　ですがこれは顎です。トンボの口をイメージするとわかりやすいかもしれません。----------内臓の写真ばかりではつまらないと思い、何か代わりの画像を探しましたが、面白い虫の画像は見当たりませんでした。なので、先月釣った魚を載せます。図５　：　ワカシ　ソウダガツオ　ワカシ上と下が、ブリのこどもワカシです。　関西ではツバスというようです。ハマチの子供とも言えます。真ん中が、ソウダガツオ（メジカ）　です。ソウダガツオというのは属なので名前ではないのですが、まあ良しとします。一緒に行った研究員のＴＳさんは、船賃として諭吉一枚を手放し、船上でゲロゲロになり、１匹だけワカシを釣って、お高い昼寝をしてしまいました。おそらく遅くまで仕事をして、寝不足だったのでしょう。彼の仕掛けは船頭さんが代わりに遊んでいました。ワカシやイナダ、ソウダガツオが計４０匹ほど連れ、満足な結果でした。----------

  2009.09.25

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  まるでまるで血管のよう　---何度言ってもそうは見えない話---

  思えば、このような図は掲載しないように気を配っていたはずなのですが、一体どうしたことでしょうか。　（いまさらか？）器官系の話は非常に多岐にわたるので、話のネタにはもってこいですが、苦手な方もいると思うので、反応を見て一度に載せる量やネタを調整します。図１（再掲）　：　ボウフラ　外皮腹部図１では大直径の気管系に目が行ってしまいますが、よくみると細かく分岐しています。図２　：　ボウフラ　外皮腹部　１このような図を見ると、　　「あ、なんか血管が細くなってきたような・・・」という錯覚に陥る繊細（？）な方もいるかもしれませんが、心配はいりません。これは血管ではなく気管系ですから。しかしそう言われても、血管が細くなる方は一体どうすべきか・・・　ＧＭ先生　「きゅっと（穴に）指を突っ込みたくなりますね」という猛者もいることをお知らせして、解答とさせていただきます。図３　：　ボウフラ　外皮腹部　２別の場所です。血管と同じ役割ですから、血管のように見えるのは当然です。開放血管系の長所といえば、血管のように詰まらない事でしょうか。----------器官系の写真ばかりではつまらないかもしれないので、小虫を載せます。図４　：　虫顕微鏡の撮影中にちょろちょろしていたので、ついでに撮った小虫です。水滴に足をつっこんでしまったらしく、うんうん足を引っ張っているところです。このサイズの昆虫にとっては、表面張力は無視できない力となります。----------≪用語解説≫【ＧＭ先生】：自分は内容を知らないが、化学専門。　　　　　　　妙にエレガントな雰囲気をまとっている女性。　　　　　　　外見とは裏腹にかなりエグイ話をさらりと話す。　　　　　　　実にゆっくりとしゃべる。

  2009.09.24

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  昆虫のため息　---血も涙もない話---

  昆虫には血管が存在せず、血液に直接組織が浸っています。これは開放血管系と呼ばれる仕組みです。背脈管（はいみゃくかん）という器官が心臓の役割を果たし、血液を循環させています。また、昆虫の血液には酸素を運ぶようなヘモグロビンは存在しません。では、どのように酸素を各組織へ運ぶのでしょうか。図１（再掲）　：　ボウフラ　外皮尾部　「キモイ」　「これは何だ」　「ご飯がすすむ」　と評判だった図です。何やら血管のようですが、軽く圧力をかけてみます。図２　：　ボウフラ　外皮尾部　２圧力をかけると気泡が出てきました。昆虫の血液には酸素を運ぶヘモグロビンは存在しないため、酸素は気門から直接組織へと運ばれます。つまり、この血管のようなパイプは呼吸のための気管系だったのです。この管で、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出します。昆虫のような小型のサイズでは、血液を用いるよりも、直接組織へ運んだ方が酸素の供給効率が良いのです。（続く）----------

  2009.09.23

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  『蚊』　シリーズ（その１１・最終話） 　---また来年、相見えましょう---

  前回の図を再掲します。図１（再掲）　：　ボウフラ　尾部　ゾウリムシこれは、ボウフラの内部にゾウリムシが入り込んでいます。何をしているのかというと、ボウフラの死骸でランチをしているバクテリアや微生物を狙って、ゾウリムシが内部に侵入していたのです。バクテリアの宴会中に乱入したゾウリムシは、忙しそうに暴れまわっていました。図２　：　ボウフラ　尾部　ゾウリムシ生物の特定部位を得るために、不必要な部位は薬品で処理するのが一般的です。しかしＭＡＳＡラボでは微生物の力のよる処理も行っています。代表的なサンプルでは、細胞壁だけの葉などがあります。外皮まで分解されないように微生物を調整した処理水にボウフラの死骸をいれると、外皮だけが得られます。----------得られた外皮です。図３　：　ボウフラ　外皮尾部図４　：　ボウフラ　外皮腹部図５　：　ボウフラ　外皮頭部次回もこのボウフラの写真を扱いますが、内容は昆虫の呼吸システムになるので、『蚊』シリーズはこれで一旦おしまいです。この３枚の写真が何を意味するのかは・・・次回に続きます。----------

  2009.09.22

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  　『蚊』　シリーズ（その１０） 　---支持率低迷中---

  シリーズの中でも、いま一つ人気が上がらないボウフラです。成虫の吸血行動がその理由のようです。図１（再掲）　：　ボウフラ　初期体が小さいと厚みも薄いため、頭部の観察ができます。図２　：　ボウフラの頭部この写真では正直よくわからない構造ですが、ブラシ状の突起物で、わっしわっし削り取ったり、丸のみしたりするようです。この観察にはカバーグラスをかぶせています。時間がたつにつれカバーグラス内の水が蒸発し、サンプルには大気圧がもろにかかります。その状態でカバーグラスに触れようものなら、生体試料は圧力差でつぶれます。図３　：　ボウフラの内容物そんなわけでつぶしてしまったボウフラの内容物です。つぶしてしまったからといって捨ててしまうのはもったいないです。ボウフラが何を食べたのか調べられるよい機会なので覗きます。予想通りですが、微生物や有機物を食べていたようです。----------微生物の力を借りて、試料を処理することもあります。十分成長したボウフラの構造を知るために、微生物たちの力を借りました。図４　：　ボウフラの外殻　尾部中心の丸いものがゾウリムシです。ボウフラをつぶすことなく、内部の有機物をせっせと食べてくれています。（続く）----------

  2009.09.21

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  再び　『蚊』　シリーズ（その９） 　---ミクロのカキピー---

  終わったと思っていたのは、人間の方だけであった。図１　：　蚊の卵シャーレに浮いていた蚊の卵は、やがて水中に没した。しかし、今回は研究の予備演習のつもりであったため、卵が水没したことには特に気を払っていなかった。そして、数日後。処分しようとしていたシャーレに一瞥をくれたところ、ふと違和感を覚えた。　　何か微生物が増えているようだ。シャーレごと顕微鏡で覗きこんだ。図２　：　蚊の卵水中にはおびただしい数の蚊の卵が沈殿していた。そして図２（上の卵）のような、カキピーの如く欠けている卵をいくつか発見する。室内が暖かいため、どうやら孵化したらしい。図３　：　ボウフラやはりボウフラが孵化していた。ボウフラといえども、孵化したては顔があどけなく見える。とは言っても、彼らはシャーレ内で一生を終え、解放されることはない。（仕方なく続く・・・のか？）----------【今日のちょっぴり衝撃話】　・　シャーレの中でボウフラが、共食いをしていた。----------

  2009.09.18

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  ケンミジンコ　---ミクロの旅はしゃもじで進む---

  再び、ケンミジンコです。図１（再掲）　：　ケンミジンコ今回は、ケンミジンコの裏側を覗いてみました。図２　：　ケンミジンコ 横向き厚みがあるため、焦点が統一していませんが、泳ぐために使われるパドル　『腹肢』　が確認できます。腹の下で腹肢をわっしゃわっしゃと漕いで、ケンミジンコは泳ぎます。つまりは海老と同じ泳ぎ方です。図３　：　ケンミジンコ　裏側裏側です。見難いですが、腹肢があるのが確認できます。図４　：　ケンミジンコ　腹肢棘の生えているしゃもじのような器官が腹肢です。この棘は泥の中をかき進むのに役に立つのでしょう。水が表面ににじみ出るか出ないかという極度にぬかるんだ土壌からも、ケンミジンコをよく発見します。

  2009.09.17

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  『蚊』　シリーズ（その８・最終話） 　---何が出るかはお楽しみ---

  たらふく血を吸った蚊は、あえなくシャーレに監禁され、釈放されることなくそこで息絶えた。そのシャーレの水面上には、何やら怪しげな物体が浮遊している・・・図１　：　蚊の卵ゴーヤではありません。アルマジロのような質感で頬ずりしたくなるかも知れませんが、蚊の卵です。落ちていても持って帰らない方が賢明です。今シリーズの主役であったヒトスジシマカ　（一筋縞蚊）　は卵の状態で越冬します。そして来年また、人間と相見えるのです。図２　：　蚊手前にいるのが、ヒトスジシマカです。奥の蚊は随分と恰幅がよろしいです。これは、また別の種類の蚊なのですが・・・続きはまた来年です。（蚊シリーズ　これにておしまい）----------

  2009.09.16

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  『蚊』　シリーズ（その７） 　---蚊のように舞い　蚊のように刺す---

  蚊の隠密行動の必須道具　『羽』　に注目です。図１（再掲）　：　蚊の羽肉眼では視認できない細かい羽毛が生えています。図２　：　蚊の羽 拡大をしてみました。奇妙な樹木が生えている異世界。蚊の羽の上であるとは思えない光景です。様々な大きさの羽毛が規則正しく生えています。図３　：　蚊の羽 羽脈を拡大しました。対になった羽毛が等間隔で並んでいます。自然の規則性はとても不思議です。図４　：　蚊の羽 羽の先端部分です。先端前後で羽毛の大きさが違うのは、風切羽を彷彿とさせます。この羽で、人間の必殺ビンタを機敏にかわすのです。蚊の羽毛はセンサーになっており、大気の乱れをキャッチします。そのため、必殺ビンタは蚊の近くからお見舞いしないと、羽毛レーダーでビンタ接近を感じ取り、尻をまくって逃げ出してしまいます。図５（再掲）　：　蚊の羽の羽毛クイズのネタになった、蚊の羽の羽毛です。偏光板のような構造に、見とれてしまいました。（次回、シリーズ最終回の予定）----------

  2009.09.15

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  『蚊』　シリーズ（その６） 　---ミクロの座頭市---

  今シリーズのメインです。図１（再掲）　：　蚊　頭部蚊の注射針ですが、よく見ると案外太いです。こんな愚鈍そうなものが、はたして人間の皮膚に刺さるのでしょうか。そう油断していた人間は、いきなりブッスリと・・・図２　：　口吻　管実は、『仕込み杖』　ならぬ　『仕込み注射針』　になっています。そろりと獲物に近付き、これでさりげなくブスリとやります。やられた～と、気がついたときには風と共に去りぬ。図３　：　口吻の管　先端部このノコギリ状の歯で、傷口を押し広げます。この写真ではわかりにくいですが、この注射針は厳密にはストロー状ではありません。棒状の物体に溝が彫ってある感じです。血液はこの溝にそって、毛細管現象によって自然と蚊のおなかの中へ。つまり、ブスリとやった後は思う存分飲み放題です。そのため抜くのが遅いと、蚊のお尻から血液がたらたら垂れる事態に陥ります。・・・というのは自分の体験談ですが。図４　：　口吻の管しっかり図４のように空気も吸いこみます。溝とはいえども、使用感はストローと遜色はないようです。さて、ミクロの座頭市の武器を拝見しました。次回は、その移動手段である羽に注目です。（続く）

  2009.09.14

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  『蚊』　シリーズ（その５） 　---ぷぃい～ん♪---

  ついに成虫になりました。図１　：　蚊　頭部蚊　「こんにちは♪」蚊の頭部です。頭部の半分は複眼に覆われており、その先端に触角が生えています。触角の根元は、銀色の玉に支えられています。図２　：　蚊　腹部囚人服のような、特徴的な腹部です。今回の一連のシリーズで登場した蚊はこの　ヒトスジシマカ　（一筋縞蚊）です。図３　：　蚊　足の先どこにでも着地できる足です。図４　：　蚊　口吻そして、自慢の注射針です。血を吸うのはもっぱらメスだけです。卵を産むためにタンパク質を必要とするメスと違い、オスは花の蜜などを摂取して生きています。よく注射針と形容される口吻ですが、実は・・・（続く）

  2009.09.12

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  『蚊』　シリーズ（その４） 　---推理クイズ１５（解答）---

  　　蚊のサナギはどのように呼吸をしているのでしょうか？というクイズでした。図１（再掲）　：　ボウフラとサナギサナギの状態でも尻尾が自由なので、それなりに動き回ることができます。全形を見てみます。図２　：　蚊のサナギ蚊のサナギは、別名『鬼ボウフラ』　とも呼ばれます。『鬼』　とは何でしょうか。ポイントとなった頭部に注目します。図３　：　蚊のサナギ　頭部わかりにくいですが、写真上部に筒状の器官があります。つらつら眺めていると・・・図４　：　蚊のサナギ　頭部　ぷく～っと、気泡が出てきました。ということで正解は、　　Ｃ　：　水面に触れている頭部に、呼吸器官がある。でした。実は、呼吸するための管が頭部まで伸びているのです。図５　：　おまけの画像----------そして、うかうかしている間に、ついに封印が解かれる・・・図６　：　羽化----------解答を下さった、snowrun29さん、emairさん、pipキムさん ありがとうございました^^（続く）

  2009.09.11

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  『蚊』　シリーズ（その３） 　---推理クイズ１５---

  ボウフラの時期が終わると、いよいよ蛹（さなぎ）になります。図１の真ん中にいる、『ロダンの考える人』　のような物体が蚊の蛹です。図１　：　ボウフラとサナギ右下の２匹は食事中のようです。　シャーレに沈んだ沈殿物を摂取しています。前回書いたように、ボウフラは尾部で呼吸をしています。ところが図１に見られるように、蛹は尾部が水面には接していません。----------ここでクイズです。　　蛹はどのように呼吸をしているのでしょうか？　　Ａ　：　この時期は呼吸をしない。　　Ｂ　：　たまに逆立ちをして、呼吸をしている。　　Ｃ　：　水面に触れている頭部に、呼吸器官がある。　　Ｄ　：　サナギになるとエラをもち、水中で呼吸をする。　　Ｅ　：　サナギになると体内に空気袋をもち、それで呼吸をしている。----------解答を下さる方は、答えを決めた理由も書いてくれるとうれしいです。何かしら思ったことがあればご教授ください。解答は、明日１１日に掲載します。（１２日午前１時に更新予定）

  2009.09.10

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  『蚊』　シリーズ（その２）　　---ふらふらする棒---

  前回のボウフラが、シャーレの中ですくすくと育ちました。図１（再掲）　：　発育初期のボウフラこんなだったのが・・・図２　：　ボウフラもう、人間に見つかってしまうサイズまで成長しました。図３　：　ボウフラ　頭部血管や神経が透けて見えます。図４　：　ボウフラ頭部の後ろ側頭部の後ろ側の毛。　束になっているようです。透けて見える内部組織も非常に興味深いです。図５　：　ボウフラ頭部の後ろ側の毛毛の根元には基部が存在しています。まるでエビのような毛根です。図６　：　腹部十分成長した個体の腹部です。ここまで成長すると、防御毛を含めた胴体の幅が１ｍｍ以上になり、メダカの口に入りにくくなります。（続く）

  2009.09.09

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  写真クイズ　その１７（解答）　---蚊シリーズの開幕---

  この物体ははたして・・・図１図２正体は、　『蚊』　でした。図３　：　シャーレに閉じ込められた蚊図１は蚊の微小毛であり、図２は蚊の羽です。ユスリカと蚊は、形が異なります。どのように異なるのかは、ユスリカを捕獲次第、後日掲載予定です。----------といことで、身体がむずむずする　『蚊シリーズ』　の開幕です。図４　：　発育初期のボウフラこの時期は非常に細い体型をしているため、視認が困難。図５　：　発育初期のボウフラ　頭部の後ろ五臓六腑が透けて見える。何とも腹黒い。図６　：　発育初期のボウフラ　胴体部分この時期はサイズが小さい為、防御毛の効果は薄い。もう少し成長すると防御毛が発達し、メダカの食害から身を守る。図７　：　発育初期のボウフラ　呼吸器官下の部分がボウフラのシュノーケルである呼吸器官。この先端を水面から出して、呼吸をしている。上の羽は安定した逆立ち構造をとるために役に立つ浮き輪である。（続く）----------解答を寄せてくださった方々、ありがとうございました。

  2009.09.08

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  写真クイズ　その１７（その２）　---ありふれた見えない世界---

  ブル　　「大変です博士！　この証拠写真はサイズが変です！」　何だって？　そんなまさか！図１　訂正版（訂正前）０．５mm　⇒　（訂正後）０．０５mmブル　　「画質や透過状態から判断すると、目盛りは０．０５mmが正しいようです」　成程。　しかしこんな大事なことをミスするようでは、あいつも焼きが回ったな。ブル　　「読者の皆様には、謹んでお詫び申し上げます」----------写真の正体は依然として判明しなかったが、何やら怪しげな情報を得た。----------　むむ！　ちょっとこれを見てくれ！ブル　　「これは、一体何でしょうか！？」図２　何だかわからないが、この散らばっている物体は、例の写真に似ていないか？ブル　　「似ているどころか、この物質ではないでしょうか」----------そして決定的な証拠をブルは手に入れた。----------ブル　　「博士！　これを見てください」　　これは！　まさかあの写真の正体がこれだったとは・・・。図３今回こそ、この物体は何でしょうか？今回解答を書く予定でしたが、写真にミスがあったので次回に致しました。解答を下さる方は、答えを決めた理由も書いてくれるとうれしいです。何かしら思ったことがあればご教授ください。解答は、８日火曜に掲載します。（書き込むのは９日水曜の午前１時の予定）

  2009.09.07

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  写真クイズ　その１７　---ありふれた見えない世界---

  ブル　　「博士。何だか写真が送られてきましたよ」　どれどれ・・・なんだろうね、これは？ブル　　「手紙も入っていますよ。　（ガサガサ）『この写真の正体がわかるかな？』　ですって」　ううむ、こんな挑戦状を送ってくる暇人はあいつしかいない！ブル　　「そりゃあそうですよ博士。　この話には３人しか登場人物がいないんですから」図１図２　訂正版----------様々な話や現象に対して、博士とその助手のブルが、気の向くまで解説し掘り下げていくという物語を、６年前に講義で使ったことを思い出し、ちょっと使ってみました。----------　やつが送ってくるくらいだから、きっと身の周りにあるものだろう。ブル　　「では、さっそく調査を開始します！」　----------そして博士たちは、夜も寝ないで昼寝して、思いつく限りの調査を敢行した。----------ブル　　「博士！　どうやら蝶の鱗粉（りんぷん）ではないようです！」　ううむ。数は少ないが水たまりの中に散見するようだ。ブル　　「風で飛んで水の中に入ったのでしょうか？」　そう思ったが、何度やっても空気中のサンプルからはまったく検出されていない。ブル　　「では、一体何なのでしょうかね？」----------さて、この物体は何でしょうか？解答を下さる方は、答えを決めた理由も書いてくれるとうれしいです。何かしら思ったことがあればご教授ください。解答は、７日月曜に掲載します。（書き込むのは８日火曜の午前１時の予定）

  2009.09.06

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  鶏卵　---内側から包む天然の紙---

  鶏卵の内側には卵殻膜という薄い膜があります。ゆで卵の殻をむく際に、たまに白身に張り付いている例の薄膜です。今回はその卵殻膜を覗いてみます。図１　：　卵殻膜繊維が入り乱れていて、まるで和紙のようです。卵殻膜が柔軟で丈夫な理由がわかります。図２　：　卵殻膜の縁（酢酸カーミン）卵殻膜を引きちぎってみました。　（見やすくするために染色しています）丈夫そうな繊維がしっかりと絡んでいるのがわかります。これからゆで卵を食べる際には、卵殻膜に気を配るのも一興だと思います。

  2009.09.04

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  自然の美　---ケンミジンコ　その３（最終話）---

  ケンミジンコの最終話です。図１（再掲）　：　ケンミジンコ今回はボディーに注目です。図２　：　ケンミジンコ画像を鑑賞するポイントは、隅々までよく感じることです。線をたどり、輪郭をなぞり、質感を感じ、凹凸を想像します。頭の中で切開手術ができるようになれば、研究者の仲間入りです。図３　：　ケンミジンコさて、ここの部分を握るには、どのように包丁を入れればよいでしょうか。【本日のお勧め】　ケンミジンコの握り　　図４　：　ケンミジンコこの防御から、ミクロの世界の厳しさを感じることが出来ます。（おしまい）

  2009.09.03

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  自然の美　---ケンミジンコ　その２---

  ケンミジンコは０．５ミリメートル程度の大きさであるため、「ピッ　ピッ　ピッ」　と移動する姿を、肉眼で確認することができます。図１（再掲）　：　ケンミジンコ頭部に注目です。図２　：　ケンミジンコ　頭部触角と思しきものは蛇腹になっており、内側に棘が生えています。触角の先端部は鋭利な構造です。これを用いて、目の前にいる獲物ををかき集めるのでしょう。透けて見える頭部の構造も面白いものです。図３　：　ケンミジンコ　触角この先端はどこまで曲がるかというと・・・図４　：　ケンミジンコ　触角ここまで曲がります。こんなにも曲がるということは、やはりかき集める目的がありそうです。内部の筋が、ぐにぐに動くのが確認できました。どうやら動く仕組みは、カニのはさみと同じようです。なかなか興味深いことを知りました。その仕組みを知りたい方は、ボイルしたズワイガニやタラバガニのハサミ部分を食してみてください。身の部分がなくなると、ハサミを動かす仕組みがよくわかります。（続く）

  2009.09.02

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  自然の美　---ケンミジンコ　その１---

  自然の世界は非常に優美である。特に生物の造形美は驚異的であり、説明をする言葉すら見当たらない。そんなわけで、退職する友人の寄せ書きには、エチゼンクラゲを緻密に描いた。----------ミミカキグサの受け皿に、水藻が生えていた。さては微生物でも湧いたかと、期待してスポイトで採取し、覗いてみたところ・・・図１　：　ケンミジンコ水中のワラジムシ、ケンミジンコがいました。頭はアノマロカリスによく似ていて、非常に楽しいです。スライドガラスを所狭しと動き回るので、秘技で動きを止め、じっくりと鑑賞です。図２　：　ケンミジンコ　尾部まずはこの尻尾。サーベルタイガーの牙のような、大きなトゲに注目です。このトゲの強度は如何ほどのものでしょうか。かなり頑丈そうです。いつか計測したいと思います。アメーバやミドリムシくらいならこのトゲで刺して、ネギマでも作れそうです。図３　：　ケンミジンコ　尾部何層にもなる入れ子状の構造が分かります。防御毛が何本も生えており、後ろからの攻撃は万全です。体内に、武運つたなく喰われてしまった微生物達が見えます。（続く）

  2009.09.01

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  【番外編】 真夏のホラー劇場　---生物顕微鏡で覗くお化け屋敷---

  　　「しょり・・・しょり・・・」聞きなれぬ物音で、旅人は目が覚めた。　　「しょり・・・」その奇妙な音はどこから来るのか。灯りのない部屋に寝ていると、音の方向がいまいち掴めない。するりと寝床から抜け出し、壁の隙間から外を覗いた。今日は満月だろうか。月明かりが木々を照らしていた。暫らく目を凝らしていると、背後から音が聞こえてきた。　　「しょり・・・」どうやら障子の向こうから聞こえてくるようだ。障子へにじり寄り、隙間へ目を近づけた。揺らめく蝋燭のそばで、白無垢の老婆が何かを砥石で研いでいた。小柄(こづか)だろうか。否、南蛮渡来の小刀かもしれない。いずれにしろ、見慣れぬ光景に目は釘付けになった。不意に老婆が立ち上がり、意外な速さで奥の部屋へ消えた。立ち上がったことに思わずたじろいだが、旅人の視線がまたひきつけられた。砥石の横には、重厚なカラクリが鎮座していた。その怪しげな造形に魅せられたか、気が付けば旅人は、その物体の傍らにいた。老婆は小刀で何かを刻んでいたようだ。生物とも無生物とも言いがたい物体が、これでもかと切り刻まれて散乱している。棚には瑠璃(るり)の小壺がずらりと並んでいる。中に何かが入っているようだ。蝋燭の灯りを近づけ目を凝らしたが、見たことがないものばかりだ。おや。　これは目玉だろうか。小壺を手に取り、灯りに照らした。目玉に身体のようなものが直接生えていた。気が付けば、目玉がこちらを凝視していた。不意に奥の部屋から物音がし、思わず小瓶を落としてしまった。とっさに旅人は足の甲で小瓶を受け止めた。鈍い痛みは、目玉が走り去ったことでどこかに消し飛んでしまった。　　嗚呼、やはり普通の家ではなかったか。気が付けば、旅人は全身に汗をかいていた。ここを出なくては。しかし足は震えるばかりでどうにも動かない。顔を横に向けると、あの重厚なカラクリが目に入った。そして、無意識に旅人はカラクリの双頭の筒へ目を近づけた。　　　---了---《現代語に解説》　・白無垢　：　白衣　・南蛮渡来の小刀　：　解剖メス　・重厚なカラクリ　：　顕微鏡　・瑠璃の小壺　：　ビーカー　----------秘術を使って、気泡を抜くと図２のようになります。　　　　　　　　　　図２　：　竹気が抜けたので、生気が感じられません。----------画像がぶれているように見えますが、それは後ろ側の細胞が見えているため、ぶれて見えるのです。立体的に映っているとわかれば、また見え方が異なる不思議。スライス技術はまだまだ修行中です。----------

  2009.08.04

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  【番外編】　蚕（カイコ）　---うかうかしていられない話---

  蚕（カイコ）が羽化しました。うっかりしていたので、出てくる瞬間は見逃しました。茶色い染みは、羽化した後に排出される蛾尿（がにょう）という排泄物です。メスですが、なかなかハンサムです。　----------カイコは繭を溶かす酵素を出し、繭から脱出します。がきんちょが持ってきたカイコの内で、羽化に失敗したものがいました。頭だけ繭から出ており、見た目は　『黒ひげ危機一髪』　です。がきんちょの持っているカイコのうちでオスは１匹だけのようで、この黒ひげ君がオスだと期待しているそうです。ナイフでコリコリと繭を切開し、無事に黒ひげ君は釈放されました。黒ひげ君は期待にこたえ、オスでした。さっそく自分のカイコと引き合わせたところ、すぐにお知り合いに。右上が黒ひげ君。----------

  2009.07.05

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  とげとげしい幕引き　---締めは○○だけに質素に---

  今回の更新をもちまして、およそ二ヶ月間ブログの更新をお休みいたします。再開は９月を予定しております。皆様への訪問・覗き・襲撃は引き続き行います。----------質素に締めのクイズです。図１は一体何でしょうか？すぐ下に答えがあるので、考えてみてください。図１----------≪ＭＥＭＯ≫　・角膜は空気中から酸素を直接得るため、血液を必要としない唯一の組織。----------図１は、さわやかな香りが特徴の紫蘇（シソ）です。シソの側面には、視認が困難なとげが生えています。防御の為だと思われますが、美味しく食べられてしまっては、やんぬるかな。図２　：　紫蘇（シソ）図２はスライスをしていない直接観察のため、右側が暗くなっています。では、スライスをしてみます。図３　：　紫蘇（シソ）細胞の形ははっきりとしませんが、なんともさわやかな緑です。これでご飯が３杯はいけそうです。（追記：図は全てシソの葉です）----------それでは、ＭＡＳＡラボのブログはしばらくお休みいたします。覗き＆ご指導してくださった皆様方、ありがとうございました^^

  2009.06.30

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  顕微鏡写真・生物総集編　---ミクロからマクロまで---

  ＴＯＰページの冒頭でお知らせしている通り、７月及び８月はブログ更新をお休みいたします。更新再開は９月を予定しております。というわけで、今回を含めて残り２回となりました。今回は、今まで掲載した写真で気に入ったものをいくつか再掲したいと思います。　（写真一覧は、ＴＯＰページ左の欄にあるFreepage Listに掲載しています）----------図１（再掲）　：　ダニ華麗なバタフライで水中を猛進していました。とにかく突き進む姿に感銘を受けます。----------図２（再掲）　：　線虫水中や土の中など、どこにでもいる線虫です。その無駄のない形は、外の生物に見られることを前提としていません。----------図３（再掲）　：　線虫毛を生やしたごっつい線虫です。思いのほか、動きも荒々しく感じました。----------図４（再掲）　：　線虫の毛図３とは違う種類の線虫の毛の拡大図です。この線虫は、全体に名彩色のような模様が付いていました。全体像を撮ろうとした矢先、ピンセットでスライドガラスを押してしまい・・・合掌。----------図５（再掲）　：　ゾウリムシ認知率９０％（脳内データ）の暴走プランクトンです。スライドグラス上を毎秒１ミリメートルもの速度で飛び回り、撮るか撮られるか（？）の死闘を繰り広げました。薬品で動きを止めることは出来るのですが、あえて挑戦してみました。----------図６（再掲）　：　ゾウリムシの最後水質が悪化し、イオンバランスが崩れると一瞬でこうなります。----------図７（再掲）　：　繊毛虫ミクロの掃除屋です。 本人は掃除してる意識はないですが。粒々が繊毛虫です。----------図８（再掲）　：　ハエトリグモカマキリを美味しく頂いている最中です。この単眼が目に入らぬか！----------図９（再掲）　：　コリドラス・ジュリー気に入りの模様。なかなか味わい深いものがあります。----------図１０（再掲）　：　江ノ島猫：モデルバージョン お後がよろしいようで・・・。----------カイコを少し覗いてみます。図１１　：　蚕・足足は前方に集中しており、それがイモムシのチャームポイントとなっております。図１２　：　蚕・横腹中腹から後腹にかけて存在する吸盤です。ゴマのような模様は、呼吸器官である気門です。図１３　：　蚕・後ろ側後部は気門が目のように見えて、まるでパグやブルドックを彷彿とさせます。

  2009.06.29

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  顕微鏡写真・総集編　---ミクロの画廊へようこそ---

  ＴＯＰページの冒頭でお知らせしている通り、７月及び８月はブログ更新をお休みいたします。更新再開は９月を予定しております。というわけで、今回を含めて残り３回となりました。今回は、今まで掲載した写真で気に入ったものをいくつか再掲したいと思います。　（写真一覧は、ＴＯＰページ左の欄にあるFreepage Listに掲載しています）----------図１（再掲）　：　姫足長ムシトリスミレの花毛　（酢酸カーミン染色）捕らえた虫の墓標でしょうか。その怪しげなたたずまいは、ここがミクロという異次元世界であることを教えてくれます。----------図２（再掲）　：　ナガバノモウセンゴケ危険な場所に漂う好奇心。知ってしまったら後戻りはできない。----------図３（再掲）　：　パセリ（葉） 『ジグソーパズル　パセリ』　は近日、ＭＡＳＡラボより発売！！気孔はさっぱり見分けがつかない為、難易度は高めです。　ぐりぐり回して、気孔細胞をはめよう！----------図４（再掲）　：　ミズゴケ近日、ＭＡＳＡラボより発売される　『ジグソーパズル　ミズゴケ』　は高難易度！死ぬ気で作り上げてもできる絵はミズゴケというシュールさが、マニアにはたまらない一品です。----------図５（再掲）　：　ドクダミ　茎自分自身の中に存在していた　『あたり前』　を打ち砕いてくれた１枚。再スライス候補です。----------図６（再掲）　：　ナガバノモウセンゴケの葉ＭＡＳＡラボのジグソーパズルシリーズの中でも最難関を誇る、『ジグソーパズル　ナガバノモウセンゴケ』。間違っていてもピースがはまっちゃいそうなところが、理不尽極まりない一品となっております。----------図７（再掲）　：　ナガバノモウセンゴケ気に入りの１枚。----------前回掲載したアジサイの萼（がく）に、何だか妙なものが存在していました。図８　：　アジサイ　萼（がく）　酢酸カーミンところどころに、このようなものが生えていました。レンズを換えて更に覗いてみます。図９　：　アジサイ　萼（がく）　酢酸カーミンこれは一体なんでしょうか？何かの名残なのか、それとも機能している組織なのかも謎です。これも調査の対象とします。----------危うく忘れるところでしたが、ジクソーパズルの発売はジョークです。発売する予定は毛頭ありません。しかし、個人的には作ってみる予定です。

  2009.06.28

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  アジサイの表皮細胞　---コアラは熊ではない話---

  アジサイの花は、色とりどりの 『萼（がく）』 の中心にポツンとあります。どの部分を装飾的に変化させるのかは植物のお好みなのでしょう。----------アジサイのガクを覗いてみます。ガクは、予想通り表面の細胞のみに色が付いておりましたが、撮影できるほどうまく切れなかったので、断面図はまたのお楽しみです。図１　：　アジサイの萼（がく）　酢酸カーミン染色アジサイのガクの細胞もまた、独特の形をしております。彫刻刀の丸刀を押し付けたような区域の分け方です。何故、細胞の形に違いがあるのでしょうか。これはなかなか面白そうなテーマです。図２　：　アジサイの萼（がく）　酢酸カーミン染色図２は、ガクにある気孔です。気孔は存在している深さが表皮細胞と微妙に異なっています。そのため気孔にピントを合わせた図２は、周りの表皮細胞がぼやけて見えます。----------コメントにて教えてもらった 『楽天子熊餅』 を聞いてみました。中国において、ロッ●・コア●のマーチを意味するようです。　　　自分　　　　「これは何を意味してるかわかる？」　ＧＭ先生　　「それは生き物ですか？」　　　自分　　　　「違うよ」　ＧＭ先生　　「食べ物ですか？」　　　自分　　　　「そうだよ」　ＧＭ先生　　「硬いものですか？」　　　自分　　　　「硬くはないね」　ＧＭ先生　　「天然ものですか？」　ＧＭ先生　　「そのまま食べられるものですか？」　ＧＭ先生　　「お菓子ですか？」　ＧＭ先生　　「普通に売っていますか？」　ＧＭ先生　　「中国で売っているのですか？」　ＧＭ先生　　「パンダですか？」　ＧＭ先生　　「レッサーパンダですか？」　ＧＭ先生　　「コ●ラのマーチですか？」予想以上の質問の嵐に、たじろいでしまいました。何がそんなにもＧＭ先生を熱くしたのかは謎ですが、答えまでたどり着いて満足そうでした。条件を数多くそろえて思考するのがＧＭ先生の好みの思考方法のようです。しかし、あんなにも矢継ぎ早にＧＭ先生から質問を受けたのは初めてでした。はい・いいえで答える質問文は２０個もあれば、答えまで完ぺきに持っていけることをふと思い出しました。　　　自分　　　　「これは何を意味してるかわかる？」　ＴＨ先生　　「何かの漢字表記ですか♪」　　　自分　　　　「そうだよ」　ＴＨ先生　　「楽天な小熊で餅・・・リラックマですか♪」　　　自分　　　　「ちょいと違うね」ＴＨ先生は、飴をなめながらしばらく無言で考えていました。　ＴＨ先生　　「コア●のマーチですか♪」　　　自分　　　　「正解！　ヒントなしでよくわかったね！」　ＴＨ先生　　「ふっふ～ん♪　お菓子は任せてください♪」なかなか鋭い洞察力です。小熊はコアラだとひらめいたそうです。----------《用語解説》【ＴＨ先生】：自分は内容を知らないが、経済専門。　　　　　　　スパッゲッティーとリラックマが好きな女性。　　　　　　　語尾に♪が付くような独特の発音をする。【ＧＭ先生】：自分は内容を知らないが、化学専門。　　　　　　　妙にエレガントな雰囲気をまとっている女性。　　　　　　　動作やしゃべり方はゆっくりしている。

  2009.06.27

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  アジサイのスライス　---基本形が多数とは限らない---

  維菅束の基本形について以前確認しました。　（復習はこちら⇒その１・その２・その３）植物が大型化するためには、形成層を持つ ・ 維菅束が円形が条件です。それらを備えた植物は木本と言い、一般的には樹木と呼ばれるものです。では、それなりに大型化する草本の構造はどうなっているのでしょうか。----------双子葉植物のアジサイを覗いて見ます。アジサイはかなり大型化する草本です。図１　：　アジサイの葉の茎維菅束が独特な形をしており、見る角度によっては顔のように見えます。図１はアジサイの葉の茎です。詳しい図解は別の機会にいたします。

  2009.06.26

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  動体視力が世界の全て　---それでも地球は回っている---

  早朝、インコの水を変えている水場の傍らで、とある激闘が静かに終結していました。図１　：　ハエトリグモとカマキリハエトリグモがカマキリを捕らえていました。ハエトリグモは１センチメートル程度の大きさです。図２　：　ハエトリグモとカマキリ互いに動体視力を誇る複眼と単眼の勝負は、おそらく一瞬で決着が付いたことでしょう。図３　：　ハエトリグモとカマキリハエトリグモの８個ある目のうちで特に目立つのは、前方の２つです。この２つは距離感を計るという高機能を備えたレーダーです。昆虫の微小脳は非常に効率よく出来ており、さかんに研究されています。書くと長くなるので、今回は割愛します。図４　：　ハエトリグモとカマキリカメラは静止しているので、クモにはカメラが見えません。しかし、カメラは存在しています。存在を感じ取れないものが、世界に存在していることをクモは知りません。そもそも世界を認識できること自体がとてつもないことなのです。世界がピアノならば、人間が認識できる音は１鍵だけです。聞こえる音が１つなのに、聞こえぬ和音を追求するのが研究者です。どの音を探しているのかは人それぞれですが、発見した音を合わせると素晴らしいハーモニーを奏でます。　　「なんと言う壮大な楽譜なんだ！　聞こえないがきっとすごい曲に違いない！」

  2009.06.25

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  豚肉のソテー　オクラと梅肉ソースがけ　---夏がくれば思い出す　具体的には忘れたが---

  リクエストがありましたので、レシピを載せます。いつもながら、サブタイトルに意味はありません。----------豚肉のソテー　オクラと梅肉ソースがけ　≪食材≫　４人前　・豚ロースの薄切り　好きなだけ　・オクラ　１０本　（好きなので若干多い）　・梅干し　数個　・調味料、他（塩、酒、メンつゆ、ショウガ、小麦粉）----------４月に入ってあたたかくなってきたらオクラの種をまきます。頑張って育てていると、６月中旬ごろからオクラを収穫することができます。図１　：　オクラみじんオクラ　⇒　ざく切り　⇒　みじん切り【その１】オクラは塩もみをして軽くゆでたら、これでもかというくらい、みじん切りにします。包丁で叩いていると粘りが随分と出てきて、一部をつまむと全体が持ち上がります。かなり細かく切っても、歯ごたえはちゃんと残るので、躊躇なくみじん切りです。梅干し図２　：　梅干し唾が出てきたでしょうか？それが書きたかっただけの理由で掲載。【その２】梅干しの身を、包丁でたたいてペースト状にする。甘い梅干しはソースとしてはいまいちだったので、塩辛い梅干しをお勧めします。【その３】みじん切りにしたオクラと梅干を、　水　大さじ　1/2　酒　大さじ　1/2　メンつゆ　大さじ　１と混ぜ合わせる。（図３）図３　：　天下統一前オクラの粘りに負けないようによく混ぜます。図４　：　天下統一後これで、ソースは完成です。肉の調理は各自のお好みです。サラダオイルが冷たいうちにショウガをいれて、ショウガの香りがでるまで炒める。筋切りした豚肉に、ソースの塩味があるので塩コショウを控えめにつけた後、小麦粉を茶こしでまんべんなく両面につける。フライパンが温まったら、豚肉をぶち込んで完成。【その４】焼き上げた豚肉に先ほどのソースをかけて完成。図５　：　豚肉のソテー　オクラと梅肉ソースがけ図６　：　本日の夕食≪本日の献立≫　・豚肉のソテー　オクラと梅肉ソースがけ　・自家製サラダ　（レタス、玉ねぎ、シソ、トマト）　と　ボイルしたトウモロコシ　　・簡単コーンスープ　・自家製漬物　（キュウリ）　・鮭の昆布巻き　・白米　・茶　（十六茶とドクダミ）トウモロコシは、ラップしてレンジで２分したあと、１分休み、上下を返した後２分すれば、できあがりです。-----------『調味料』　とタイプしたところ　『超魅了』　と変換されて笑ってしまいました。確かに超という言葉はよくタイプしますが。　コショウ一粒、黄金一粒という文句が思い起こされます。調味料は、料理を魅力的に演出するものです。その魅力のために戦争さえ起こったことを思うと、超魅了でも納得できます。

  2009.06.24

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