「今でも、お兄様の事を?」
「え・・・」
「違うわ、ルル―シュはあくまでお兄さん、初恋で終わってるの」
「・・・ユフィ姉さま、他に好きな人が?」
その言葉にユフィの心臓が震えた。すぐにスザクの顔が浮かんだ。しかし、すぐ冷静さを取り戻して、息を整えると、
「ええ・・・、いるわ」
「・・・スザクさんなんですね」
「君、年下のクセに何その筋肉、・・・気持ち悪い」
「スザクだって、軍人ならもう少し筋肉をつけたほうがいいんじゃないか。この前だって、子供に間違えられていたじゃないか」
大浴場まで喧嘩しないでほしいな、とロイドは思った。
「アスプルンド、彼らを止めなくていいのか」
「いいの、あれはただ単にいちゃついてるだけだから」
行政特区日本の宣言のあと、忙しさの中、少しだけ時間が取れたスザクはルルーシュに会いに行った。
「何だ、スザクか」
ルルーシュの部屋に入ると、ルルーシュは荷物の整理をしていた。
「・・・ルルーシュ?どこかに行くの」
「ああ、今度アシュフォードを出ることになったからな」
当たり前のように言うルルーシュの言葉にスザクは耳を疑った。今、彼はなんと言った?どこを出て行くと?
「出て行くって、どうして・・・。ここは安全なんだろう、それにユーフェミア様だって」
「そのユーフェミアのせいで、俺たちの命が危なくなる可能性があるとは思わないのか?」
「彼女は危険な人じゃない、兄弟である君なら僕よりわかっているだろ」
「ユーフェミアはな、しかしコーネリアや周りの人間まで慈愛に満ちているとは限らない。失敗するような場所にもナナリーを入れるわけには行かないからな」
「行政特区日本のことを言ってるの?」
「何だ、怒ったのか?」
行かなければいいんだ、あいつとの約束なんか。
でも、ゼロの事がばれたらナナリーの命は危なくなる。だから、これは必要な事なんだ。
そう言い聞かせながら、スザクは約束の休憩室に向かう。扉を開けると、ジノの姿があった。
「よく来たね、スザク」
睨んだが、それは何の効果を示さない事をもうわかっている。
「平和で優しい世界を、君に」
スザクはそっ、と灯篭を流した。自分やナナリー以外にもいたのだ、ユフィの死を哀しんでくれる人が。
ナナリーも君の意志を継いでくれる。きっとうまくいく、いかせて見せる。
彼女が望んだのは、ブリタニア人と日本人が共存する、誰もが笑顔でいられる優しい世界。
ゼロには邪魔をさせない。
シュナイゼルの話を聞いたとき、まず思った事は間違った道を進もうとしている兄を私が止めなければいけない。ギアスで人を操り、実の兄や妹に手をかけて、最後にはおとうさまのいのちまでうばったおにいさま。ずっと、私に嘘を付いていたお兄様。
・・・・私のせいなんだろうか。
私が優しい世界をほしいといったから。
紅茶の香ばしい匂いが部屋中に広がっていく。
「スザク、来るなら連絡くらいしろよ、いきなりは困るだろ」
「ごめんね・・」
「まったく、総督の補佐になったからって、少しルーズになりすぎじゃないか。なぁ、ロロ?」
「そうだね、兄さん」
あはは、うふふと笑いあう2人はどう見ても普通の兄弟にしか見えない。ナナリーのことを思うなら、彼が偽者なんかに気を許すはずがないのに。
「それじゃあ、紅茶を入れ替えてくるから2人ともここで待っていろ」
ルルーシュはそういって立ち去った。